「マイファミリー」若き日の玉木宏が初々しい名作3選
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TBS系ドラマ「マイファミリー」に出演中の玉木宏。相変わらず、鋭い目付きといい声である。
低く響くいい声。鋭い眼光。しかし、笑うと途端に優しくなる目。
以上が、玉木宏の主な特徴である。さぞモテるだろう。うらやましい。
近年は年齢を重ねた深みが出てきて、より大人の魅力を際立たせている。
二枚目は、どうなっても二枚目だ。
大人の魅力あふれる玉木宏の姿は、これから何年も何年も見ることが出来る。
あえて本記事では、若き日の玉木宏について、まったく趣きの異なる代表作を3本紹介したい。
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『ウォーターボーイズ』バカな高校生の玉木宏
2001年公開。監督・矢口史靖。
なりゆき(下心)から、文化祭でシンクロナイズドスイミングを発表することになってしまった男子高校生たちの奮闘を描く。
この作品をきっかけに、玉木宏は注目を浴びるようになる。
玉木宏はクール・ビューティーなイメージがあるが、この作品の玉木宏はクールでもビューティーでもない。
元気でうざくてエロくて調子乗りでやたらテンションの高い、ただの“バカ高校生”である。髪型も、前半はアフロで後半は坊主だ。今の玉木宏にはない要素で溢れており、それだけでも必見である。
特筆すべきは、玉木宏の“変化”だ。
映画前半の彼は、声も高く細身で、しばらく玉木宏だと気付かなかった。しかし、映画途中から突然声が低くなり、今の玉木宏の声になった。
ちなみに当時売れない役者だった筆者も、この映画のオーディションを受けている。
その時は映画の内容は教えてもらえず、「矢口史靖監督の新作」との情報しかなかった。
緊張している筆者に矢口監督は穏やかな笑みを浮かべ、「カメラの前で笑顔を浮かべてください」と言った。
役者のくせに作り笑いの下手な筆者の笑顔は、おそらく困り笑いや苦笑いといった種類のものだったと思う。そもそも、どんな笑顔が正解なのかもわからない。
30秒ぐらいニヤニヤしたところで、「はい、オッケーです! ありがとうございました!」「えっ、これで終わり……!?」と帰らされ、数日後、不合格通知が届いた。
公開された本編を観ると、男子シンクロの話であり、みんな弾けるような笑顔でシンクロしていた。
正解は、「思いっきり笑う」だった。
オーディションでの玉木宏は、120点の笑顔を浮かべたのだろう。
『雨鱒の川』不器用かつ繊細な玉木宏
2004年公開。監督・磯村一路
サヴァン症候群の少年・心平(玉木宏、幼少期は須賀健太)と聾啞の少女・小百合(綾瀬はるか、幼少期は志田未来)との、10年以上に渡る純愛を描く。
心平は、絵を描くことにしか興味がない。少年時代は授業中もひたすら絵を描き、成長して小百合の実家の酒造会社に就職しても仕事中に絵を描き、結果ミスして大量のお酒をダメにしてしまい、ぶん殴られる。
やはり「絵を描くことしか出来ない」心平は、画家の仕事を得て、小百合を置いて東京へ出る。その間に小百合の父(阿部寛)は、小百合の縁談を進めてしまい……。
耳が聞こえないはずの小百合は、心平の声だけは聞こえる。そして、喋れないはずの小百合の声も、心平にだけは聞こえる。
心平の不器用で常に不安気な横顔は、同性の筆者ですら錯覚した母性本能を刺激される。『ウォーターボーイズ』のバカ高校生が、たった3年でこんなに繊細な役を演じるようになったことに、感動を覚える。筆者が玉木宏の母親なら、多分泣いている。
ラストは、小百合の結婚を知った心平が北海道に戻り、花嫁をかっさらう。まさかの『卒業』エンド。しかも、イカダで川を下って逃げる。
一見ハッピーエンドだ。しかし、このイカダという物凄くおぼつかないアイテムによる逃亡が、2人の前途多難な未来を物語っている気がしてならない。
器用に生きることの出来ない2人だ。心平の画家としての成功を、切に願う。
『MW-ムウ-』美しく残酷な玉木宏
(C)2009 MW PRODUCTION COMMITTEE
2009年公開。監督・岩本仁志
手塚治虫の暗黒面が生み出した、傑作ピカレスク・ロマンの映画化。
16年前、ある小さな島において某国が開発中の毒ガス「MW」が漏れ出し、島民は全滅。その事件は隠蔽された。
だが、実は2人の少年が生き残り、賀来裕太郎(山田孝之)は神父に、結城美智雄(玉木宏)はエリート銀行員になった。
事件の際に微量のMWを吸ってしまった結城は、脳の一部を侵され、良心や罪悪感という概念を失う。結城は、事件や隠蔽に関わった人間に近付き取り入っては、次々と残酷な復讐を遂げていく……。
筆者は原作が大好きなので、映画化の話を聞いた時は、複雑な心境だった。結城美智雄を演じられる俳優が、今の日本にいるのか。
果たして、“美しく残酷な復讐者”として、玉木宏は完璧だった。
(C)2009 MW PRODUCTION COMMITTEE
手塚治虫の描く美形キャラのソリッド感を、体現できる実在の人物はなかなかいない。1976年に発表された原作を33年も経ってから突然映画化したのは、玉木宏の出現を待っていたのではないか。
玉木宏は完璧で、クライム・アクション映画としても出色であり、ところどころスタイリッシュな映像も素晴らしい。
ただ、原作ファンとして気になった点も2ヶ所ある。
1つ目は、結城と賀来の関係性における重要な要素が、丸々カットされていること。神職に就いている賀来は、罪の意識に苦しみ悩みながらも結城の復讐に加担せざるを得ない。それは、ある”要素”のせいである。映画ではその要素が一切描かれていないため、なぜ賀来が結城に協力するのか、いまいちわからない。
実にもったいない。
2つ目は、結城の家族構成について。この要素がラストの重要な伏線となるのだが、この部分も丸々カットされている。そのため、ラストで何故そのような展開になったのか、いまいちわからない。ラストの衝撃も、ややぼやけてしまう。
実にもったいない。
1つ目はコンプライアンス上の問題、2つ目は配役上の問題があったことは予想がつく。理由はわかるが、歯がゆい思いがある。
映画を観た方は、ぜひ原作も読んでほしい。その際は、主人公・結城美智雄の声は、ぜひ玉木宏で脳内再生してほしい。
「マイファミリー」いよいよ佳境へ
このドラマでの葛城警部(玉木宏)がずっと沈痛な面持ちであることが、気になっていた。
基本的に仕事中なので、厳しい表情なのはわかる。いちいち突っかかってくる日下部管理官(迫田孝也)にも、イライラしていることだろう。
一連の誘拐事件の参考人として拘留されてしまった温人(二宮和也)に、葛城は心情を吐露する。
5年前の誘拐事件を解決出来ず、結果、後輩の東堂(濱田岳)の人生を狂わせてしまったことを、ずっと悔やんでいる。
葛城の時間は、5年前から止まったままだ。そして、東堂の時間も。
厳しくクールな葛城が、鉄格子の向こうの温人に見せた感情の“ぶれ”のようなもの。それを見た時に、ただの傍観者である筆者ですら、犯人への憎悪が湧き上がった。
いよいよ今夜が最終回である。
「日下部が怪しいのではないか」という雰囲気もあるが、果たして……。
無事解決、大団円、犯人以外全員笑顔……という結末を希望する。ほとんどの登場人物がひたすら沈痛な顔をしているので、最終回ぐらいは笑ってほしい。
『ウォーターボーイズ』も『雨鱒の川』も『MW-ムウ-』も、ラストは玉木宏が笑顔になって終わる(ハッピーエンドか否かは別として)。
「玉木宏には最後は笑っていてほしい」という勝手な希望が、筆者にはある。
最終回での、玉木宏の満面の笑顔を期待する。
万が一、犯人であっても、その時は思いっきり憎たらしく高笑いをしてほしい。
玉木宏には、笑顔が似合う。
(文:ハシマトシヒロ)
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