2022年06月14日

BiSH短編オムニバス映画インタビュー:セントチヒロ・チッチ「こういうときだけは強運なんです」

BiSH短編オムニバス映画インタビュー:セントチヒロ・チッチ「こういうときだけは強運なんです」


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BiSH6人をそれぞれ主演に迎えた短編オムニバス映画『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL』が6月10日(金)に全国公開される。2023年をもって解散を発表している彼女たちが、このタイミングで映画公開に踏み切った。

セントチヒロ・チッチが主演を務めたのは、行定勲監督の『どこから来て、どこへ帰るの』。初めての演技、初めてのラブストーリーに挑む彼女に対し、行定監督の第一声は「覚悟しておいてね」だったという。

かねてより行定監督との映画作りを熱望していたセントチヒロ・チッチに、詳しく話を聞いた。

あみだくじで掴んだ、行定監督とのタッグ実現


――本編では、行定勲監督の元で、ラブストーリーの主演を務めていらっしゃいますね。

セントチヒロ・チッチ(以下、チッチ):WACKの事務所に入った当初からずっと「お芝居をやりたい」「映画を作るなら行定監督と」って言ってたんです。

今回の企画が立ち上がったとき、行定監督も「チッチ主演で撮りたい」って言ってくれていて。でも、どのメンバーがどの監督と組むかを決めるのはあみだくじだったので、神頼みだな、と思っていました。

そうしたら、行定監督が私を引いてくれたんです。奇跡的じゃないですか? 私、こういうときだけは運を持ってるんですよ。



――お互いに引き寄せあったんですね。行定監督とは、撮影前にどんなやりとりをされたんですか?

チッチ:シナリオをいただく前から「ラブストーリーにするよ、覚悟しておいてね」と言われていました。チッチがこれから演技の仕事をするきっかけになるように、僕も頑張るから、と。

シナリオの内容は、自然にスッと身体のなかに入ってきましたね。行定監督だからこそ描けるストーリーだと思いましたし、日常にもあり得る世界観が良いな、と感じました。役柄も、私自身のパーソナルな部分を取り入れて作ってくださったので、とてもしっくり馴染んで。



――実際に演じられてみて、どんな感覚でしたか?

チッチ:私は私のままで、パラレルワールドに紛れ込んだ感じでしたね。

私が演じた”チヨ”は、生き方だったり好きなものだったり、あとは日頃から使う言葉なんかも、私に似ているんです。行定監督が、私自身に寄せて作ってくださって。あまりガチガチに役を作り込まずにチッチらしくね、と言われたので、私らしさを大事にしながら演じました。



――小悪魔的な魅力がある”チヨ”は、チッチさんが演じるからこそ、また新鮮に感じられます。少しあざとくも見える部分は、ご自身のなかから頑張って引き出した面もあったのでしょうか。 

チッチ:そうですね……。振り返ってみると、自然に会話を交わすような演技ができたな、と思います。行定監督が引き出してくださった部分もたくさんありました。チヨは、純粋だからこそ相手を振り回してしまう面もあって。チヨだったらこういう表情をしそうだな、と少しずつ想像しながら、自分のなかに取り入れていった感じです。

初演技を通して「新しい自分を見た」


――今回初めて演技をされてみて、最も難しかったポイントについて教えてください。 

チッチ:たとえば、会話の間合いって、日ごろ人と話してるときは意識しないじゃないですか。

でも、お芝居ではあらかじめ先の展開がわかっていて、決められたセリフを言う。どういった空気感で二人は話しているのか、この場面ではどんな表情をしていたら自然なのか、わからなくなっちゃうことが多かったです。悩んだら、行定監督や相手役の中島(歩)さんに相談しながら進めていました。

とにかく“ぎこちなく見えちゃう”のが嫌だったんですよ。なるべく自然に映るように、観てくださる方に何の疑念もなくストーリーが入ってくれるように。常にそう思いながら、頑張りました。



――客観的に自身の演技をご覧になって、どう感じましたか?

チッチ:新しい自分を見た感覚でしたね。見たことのない表情をしている自分、こんな声を出してたんだ、って初めて気づく自分がいて。プロの手ですごく素敵に映してくださって、感動しました。

――お気に入りのシーンはありますか?

チッチ:部屋でコーヒーを飲むシーンがあるんですけど、あの部屋の雰囲気がすっごく好きでした。物語の展開としては、少し切ない場所なんですけどね。みんなで丁寧に時間をかけた場所とシーンなので、すごく思い入れがあります。

私が実際にコーヒーを注いで運んだりもしたんですよ。些細なことでも、演技としては初めてなので……いろいろなことを吸収できた、新鮮な時間でしたね。

私たちは奇跡のグループなんだと思ってほしい


――今後のチッチさんにとって、演技のお仕事に対する興味はどれくらいありますか?

チッチ:いまの私にはBiSHがあって、毎日メンバーといろいろなことをしているので、それに集中したい。この瞬間、目の前にあることをやり遂げるのが最優先だと思っています。

それを大前提として、これからもなんでも挑戦していきたいし、機会があればお芝居もやってみたいです。

私、日常では味わえないスリルを体験するのが好きなんですよね。もちろん苦労や大変さもあるんですけど、いまの私はいろいろなことに興味があるので、もっとたくさんの役柄に挑戦してみたいって気持ちが強いです。




――最後に、映画のアピールポイントを教えてください。

チッチ:BiSHって、やっぱり面白いグループだなって再確認しました。映画作りを通して、メンバーそれぞれの個性が絶妙なバランスで成り立っているのを痛感して。こんなグループは二度と生まれないし、奇跡なんだと思ってほしいです。私は常にそう感じています。6人で体当たりしたこの映画を、ぜひ楽しみにしていてください。
 
(撮影=Marco Perboni/取材・文=北村有)


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