<やんごとなき一族>松本若菜が魅せる、唯一無二の松本劇場

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主人公・佐都(土屋太鳳)にプロポーズしてきた彼氏・健太(松下洸平)は、”やんごとなき一族”深山家の次男だった……。やんごとなき深山家のさまざまなしきたりや、モンスター家族たちが印象的なドラマ「やんごとなき一族」。特に、長男・明人(尾上松屋)の妻・美保子を演じる松本若菜の”怪演”とも呼ばれる濃いキャラクターに注目が集まっている。

本記事では、今までの美保子を振り返りつつ、美保子、そして松本若菜の魅力に迫っていく。

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美保子の役柄と立ち位置



はじめに、本作における美保子の立ち位置について説明しておくと、長男・明人の妻で老舗和菓子屋の娘だ。深山家では、跡を継いだ者のみに財産が渡り、他の家族や兄弟たちは主人に従い支配され養ってもらうしかない。ちなみに当主の妻には、女主人という立場が与えらえる。

明人は長男のため当然跡取りに……と思っていたところ、ドラマ冒頭で現在の深山家当主であり、健太たち兄弟の父である圭一(石橋凌)の「明人の性格は経営に向かない。自分にも意見できる健太に跡を継がせたい」という発言によりいろいろと状況が変わったのだ。

もともと庶民の佐都が深山家の一員になるのも気に食わないのに、自分がなるとばかり思っていた女主人の座までも奪われそうである。もともと次期当主が住むことを許される離れも、健太と佐都夫婦に取られて追い出されてしまった(健太と佐都の意志ではなく、あくまで圭一の強制的な指示なのだが)。

美保子は、佐都にあの手この手で嫌がらせを行い、明人を跡継ぎに返り咲かせようとする。やっていいことと悪いことの区別がついてなくて心底ムカつくのだが、反面おもしろすぎて声を出して笑ってしまう……というアンビバレントな感情を味合わせてくれる人物だ。

プレイバック:これまでの美保子



第1話から第9話までの美保子の活躍を振り返っていきたい。
また公式Twitterでは、美保子を演じる松本若菜を見て、松下洸平が発した“松本劇場”という言葉をハッシュタグに、毎週美保子の動画を更新中。こちらもかなり面白いので一緒にご紹介する。

–{第1話:美保子の鮮烈なデビュー戦(?)タケノコ節と顔芸}–

第1話:美保子の鮮烈なデビュー戦(?)タケノコ節と顔芸



オンエア直前のカウントダウンムービーからして拍手のクセがすごかった美保子。一見親切な振りをして、わざと佐都が笑いものになるように仕向けるなど、嫌味な言い方と態度がすごかった。自分ではなく佐都が”女主人”になると聞いてヒートアップ!

「この雨後のたけのこが! ずうずうしく 人の家にのこのこのこのこニョキニョキニョキニョキタケノコタケノコ ニョッキッキと生えてきやがって!」

と言う早口セリフが忘れられない。それだけでなく、佐都が兄弟の祖母・八寿子(倍賞美津子)に一目置かれたのが許せなかったらしく、佐都に瓶に入った液体を頭からかけ、サウナに閉じ込める。

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閉じ込められた際に落ちた佐都のスマホに「佐都の母・良恵(石野真子)が倒れた」という連絡がきたが、代わりに出た美保子は佐都に窓越しに変顔で伝え、閉じ込めたまま行ってしまう。

ここでわかるのが、美保子には善悪の基準などないということだ。例え嫌がらせをしたいといっても、親が倒れたのに閉じ込めて放置というのは、さすがにまともな神経じゃない。自分の目的のためなら、気に入らないやつに嫌な思いをさせるためなら何でもする、それが美保子なのだ。

そして、大変腹立たしいシーンであるにも関わらず、彼女の変顔が抜群に面白いのだ……。1話からして、すでに美保子に釘付けだった。


第2話:ここから始まる、歌による嫌がらせ



第2話もノリノリの美保子、倒れた母と深山家のしきたりの間で苦しむ佐都の顔を「グーチョキパーで グーチョキパーで 何つくろう~何つくろう~♪ 右手もパーで左手もパーで板挟み~板挟み~♪」と歌いながらはさんできた。「何なのこの人」と言う佐都、大正解。この回からたびたび歌(童謡が多い)を歌いながら佐都を刺激してくる機会が増えた。しかも、歌がうまいところがたまらない。

さらに、健太の就任パーティーに健太の幼なじみで元許嫁の泉(佐々木希)が来ると知り、わざと佐都のドレス選びについてきて、全く同じものを泉に送ったのだ。泉と佐都のドレスがかぶっているのを見て騒然とする会場の人たちを見て、他の人から見えないように手で顔を隠しながらカッ! と勝ち誇った顔(変顔)を佐都に向けたのが最高すぎた。

明人がたしなめようとすると、にらんで黙らせる。夫婦の力関係がはっきりとわかった瞬間でもあった。

第3話:離れ離れの誕生日、嫌味な替え歌をプレゼント

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佐都と健太は誕生日が一緒なのだが、圭一が仕事の予定を入れたことにより一緒に過ごせなくなってしまった。そこへわざわざやってきた「バッドバースデイトゥーユー♪」「ぼっちバースデイフォーユー♪」と嫌味な歌をプレゼント。や、嫌なやつ~! しかし、歌が無駄にうまいのだ。



また第2話で佐都が大介夫妻の離婚に加担したと怒る圭一が、健太に任せるはずだった大きな仕事を明人にやらせることにした。その瞬間の美保子の表情とガッツポーズも忘れられない。

–{第4話:つねる・ものまね・歌…美保子の芸オンパレード回}–

第4話:つねる・ものまね・歌…美保子の芸オンパレード回



明人に健太の仕事が取られ、圭一からの無理難題にさとけんたが走り回った第4話。明人・美保子夫妻は、徹底的に2人の邪魔をした。

明人の腕をつねったり、おでこをぐりぐりしながら焚きつけたほか、佐都をドブネズミ呼ばわりしてネズミの真似をする、(さとけんたを)潰す! と言いながら、水牛のチーズのようなものを手で握りしめて潰す。「さっちゃんがね~♪」と佐都に向けた嫌がらせを歌い出すなど、絶好調であった。

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もう、毎回美保子が何をするのか楽しみになってしまっている自分がいた。

第5話:ついに明人が覚醒し大暗躍だが、内面も垣間見えた



はじめはあからさまな嫌がらせをする美保子に引いていた夫・明人が、ついに覚醒して自発的にさとけんたとの対立を始めた。三兄弟の妹・有沙(馬場ふみか)のお見合い話が持ち上がり、実は彼氏がいるため逃げ出した有沙をかばうさとけんたをつけて彼氏を脅し、夢にはお金が必要だろうと買収する。

美保子は指パッチンからの目つぶしピース、連れていかれる有沙を止めようとする佐都を「えええ~い」と腕で止める。指でハートを作りパカッと割るなど、相変わらずの芸達者っぷりを見せつけた。

有沙を車で連れ戻す車中、後部座席で並んだ有沙に私たちは幸せなんだと言い聞かせる美保子の様子から、彼女なりの苦悩や今の美保子になった理由が垣間見えるようで心に残った。

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だが、圭一から有沙の結婚イベントの進行を任され、大喜びで「幸せなら手を叩こう(パンパン)」と歌い手を叩く様子はもはや通常運転だった。

第6話:佐都を陥れようとするも失敗、屈辱のゴリラ拍手

前回の騒ぎが嘘かのように、有沙が婚約。婚約のお祝いにお茶会をすることになった深山家。マナーを知らない佐都に何もしないようにるが、八寿子の提案で佐都がお点前をすることに。佐都に恥をかかせてやろうとした美保子は、佐都の母・良恵をサプライズで呼ぶ。

お茶会当日、いきなり佐都に対して「お母さんなあにお母さんていい匂い……におうわ」を歌い出す美保子(におうわって失礼だな……)。

「普段着」と教えて洋服で着た良恵を笑いものにし、自分がフォローすることで点数を稼ごうという、あくどい魂胆だった。

マナーを知らず笑われる良恵だが、別の客に教えてもらいつつ「マナーとは思いやり」と気づいた良恵が教えられていないマナーを自力で披露。すると、会場の雰囲気は一変し、拍手に包まれた。拍手せざるを得ない空気になり、美保子はいやいやながらゴリラのような拍手をしていて笑ってしまった。

そしてこの回のラスト、美保子に関する衝撃の事実が判明する。
美保子の実家の和菓子屋は、愛人とその娘によって乗っ取られ、元の奥さんは今も心を病んでいるというのだ。

つまり……美保子は愛人の子だったのだ。

今まであれだけ佐都を庶民と馬鹿にしてきたのに、自分も同じだったとは。ならば佐都に優しくしてくれても良かったのではと思うが、自分がいろんな手を使って這いあがってきた世界に、なにも苦労もせずに飛び込んできた佐都が気に入らなかったのかもしれない。

生まれつきのお金持ちにしては野心が強いという性格にも頷ける。

「まわりに見下されながら、血のにじむような思いをしてここまできたのになんで?」と泣く美保子が、少しだけかわいそうだった。



この回の松本劇場は少し様子が違い、動画内に彼女が何人いるか見つけるものに。

–{第7話:美保子よりヤバい女出現、驚きをアドリブで表現}–

第7話:美保子よりヤバい女出現、驚きをアドリブで表現



第6話で正体がばれ、圭一の怒りを買ってしまった美保子。同時に佐都の妊娠が判明、明人は行方不明に。あまりに冷たい圭一の態度を咎め、美保子を追いかける佐都だが、美保子はあのタケノコニョッキッキネタを久しぶりに口にし、どこかに去って行ってしまう。

そしてこの回、泉が美保子を上回るヤバい女だったことが判明。
元はといえば、美保子が焚きつけたのがきっかけだったのだが、内面は思った以上にトチ狂っていた泉は「助けてあげる」という美保子の申し出をきっぱり断り、美保子の手を強い力で掴む。

あまりのことにさすがの美保子も動揺。IKKOさんのようなポーズとともに「イッちゃってるぅ」というセリフが大変面白かったのだが、なんと松本若菜のアドリブだったことが判明。やっぱり面白い……!



本編ではやや大人しめになってしまった美保子だが、”松本劇場”ではなんとゲストも登場。もはやどこへ向かっているのか。


第8話:泉によるホラー回、美保子も元気に歌ネタ復活

泉によるホラー回と化した第8話、美保子はというと結構元気で、いかに佐都が邪魔であるかを歌で表現していました。「パジャマでお邪魔」、懐かしいけど伝わらない人も多いのではなかろうか。



松本劇場は、お義母様・久美(木村多江)とのコラボ。2人とも面白すぎる。

そして圭一に追い出されるのを阻止したい美保子は、「明人さんの子を妊娠している」と嘘をついてしまう。

第9話:オールバイ美保子の努力によるシンデレラストーリー

やはり少し大人しめな美保子だが、秘密を知る召使いに「オールバイ美保子の努力によるシンデレラストーリー」を語り出す。お嬢様の集まる大学に頑張って入ったが、深山家の3人だったら誰がいい?という話題になると「美保子さんのところは家柄が違うから関係ないか」と馬鹿にされたらしい。この話に出てくる金持ち、性格が悪いな……。



嘘に嘘を重ねる美保子は「つわりは?」と言われて、いきなり「気持ち悪い」と言ったり、なかなか苦しい状況。明人が戻ってこないために、なぜかオーディションを開催するも笑い方が違うといい、自ら明人の独特な笑い方を実践。



もうどこに行こうとしているかわからないけど、相変わらず面白いよ美保子。

だが実は美保子の知らないところで、オンラインで仕事に復帰していた明人。ある日明人から連絡があったと思ったら、離婚届が石像に貼り付けられていた。電話で「別れてくれ」と言われて、ブチギレた美保子。

車にいた明人の座る反対側の窓から「見いつけた」と顔を出してきたのは怖すぎたし、人が変わったようだった明人がさすがに悲鳴をあげてスマホを投げたのは笑った。さらにその後、明人の車を追いかけて走り、ザ・ノンフィクションのテーマ曲が流れてなんだかすごい光景だった。

松本劇場は、完全にあのYouTubeコンテンツのオマージュに。



こういうふざけ方、大好き。

–{松本若菜演じる美保子の魅力とは?}–

松本若菜演じる美保子の魅力とは?

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ここまで振り返って、あらためて美保子の魅力について考えたい。

やはり何と言っても面白い。やんごとなき一族の面白さは、美保子が握っていると言っても過言ではない。

第7~第8話で美保子の出番がちょっと減って気づいたのだ。やはり美保子がいないとさみしいし、美保子は抜群に面白い。泉の怪演も最高だったし、彼女の役はあれが正解だと思うのだが、泉の場合はただただ怖かった。

腹立たしさと面白さを同時に提供してくれた美保子はやはり唯一無二の存在だし、キャラはもちろん、松本若菜さんの演技力とギャグセンスも素晴らしかったのだろうと思う。

あと2話しか美保子に会えないなんてさみしすぎる。すでに美保子ロスの予感がある。

残り2話、どうなる美保子!?松本若菜の今後にも期待

残り2話となり、最終話までの展開が非常に気になる。

深山家での立場がかなり危うくなってしまっている美保子だが、もっとドギツイ、面白い美保子を期待しせずにはいられない。9話ラストでは、産気づいた佐都にタライを持ってきており、10話予告では背中をさすっていた。そんな美保子もかわいいが、願わくばもうひと暴れしてほしい。

また、松本若菜は7月からのドラマ「復讐の未亡人」の主演も決まっている。「やんごとなき一族」とはかなり異なる印象の役柄を、どのように演じるのかも非常に気になるところだ。

最後に一言。美保子、最高! 松本若菜、最高!!

(文:ぐみ)

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–{「やんごとなき一族」作品情報}–

「やんごとなき一族」作品情報

放送日時

2022年4月18日スタート 毎週月曜夜10時~

キャスト

土屋太鳳
松下洸平
尾上松也
松本若菜
渡邊圭祐
松本妃代
馬場ふみか
佐々木希
石野真子
倍賞美津子
木村多江
石橋 凌

スタッフ

原作
こやまゆかり『やんごとなき一族』(講談社「Kiss」連載)

脚本
神森万里江(『相棒』シリーズ、『この恋あたためますか』 他)青塚美穂(『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』『じゃない方の彼女』 他)

音楽
木村秀彬

主題歌
milet『Walkin’ In My Lane』(SME Records)

挿入歌
wacci『恋だろ』(Sony Music Labels)

プロデュース
宋 ハナ(『教場Ⅱ』『世界は3で出来ている』 他) 制作プロデュース 古郡真也(映画『翔んで埼玉』『コンフィデンスマンJP』シリーズ 他)

協力プロデュース
三竿玲子(『BOSS』『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』 他)

演出
田中 亮(『コンフィデンスマンJP』シリーズ、『イチケイのカラス』 他)三橋利行(『監察医 朝顔』第2シーズン、『SUPER RICH』 他)
水戸祐介(『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』シリーズ 他)

制作協力
FILM

制作・著作
フジテレビ

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