「純愛ディソナンス」第6話:愛菜美と路加の原動力は「誰かの特別にはなれない」という劣等感?
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中島裕翔(Hey! Say! JUMP)が主演を務めるドラマ「純愛ディソナンス」(フジテレビ)が2022年7月14日スタート。
新任音楽教師と生徒の“純愛”を軸とする本作。高校を舞台にした第1部と大人の人間模様を描く第2部で構成され、タブーと隣合わせにある恋が次第に周囲を巻き込み“ディソナンス”(=不協和音)となっていく様を描く。
本記事では、第6話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「純愛ディソナンス」第6話レビュー
5年前、正樹(中島裕翔)と冴(吉川愛)の密会写真を拡散したのは愛菜美(比嘉愛未)だった。冴は正樹に真実を伝えようとするが、今回に関しては愛菜美の方が一枚上手。愛菜美は冴に先んじて、正樹に本当のことを打ち明け、泣いて非礼を詫びたのだ。冴に再び近づいたのも、その罪悪感から力になってあげたかったのだと。
彼女の巧みな演技に騙された(?)正樹は、冴を突き放す。もう自分や、自分の周りの思惑に冴を巻き込みたくなかったのかもしれない。
理由はどうあれ、正樹は妻を選んだ。その傷をバネに、冴は自分の小説を書き始める。一方、愛する人に選ばれたはずの愛菜美はスランプに陥った。正樹に優しくされればされるほど、全てが嘘に見えて疑心暗鬼にかられる愛菜美。
そんな彼女に、路加(佐藤隆太)は「俺たちみたいな人間は誰かの特別にはなれない」と共感を示す。その言葉は5年前、賢治(光石研)に土下座する路加に愛菜美がかけた言葉と同じだった。
愛菜美は、正樹が冴への気持ちを完全に断ち切った上で、心から自分を選んでくれないと不安なのだろう。彼女にとって、冴は由希乃(筧美和子)と同じ。生まれながらに誰からも愛される正ヒロイン。愛菜美がやっていることは悪役の振る舞いだが、そうしなければ自分は選ばれないという自信のなさが悲しくもある。
結果、愛菜美は路加と手を組み、正樹を貶める。どん底に落ちた彼に手を差し伸べれば、また自分のことを選んでくれると考えてのことだ。しかし、第6話で一番上手だったのは路加。彼は正樹に愛菜美が自分に協力していることを案に示す。
どんなに成功を手に入れても、全く心満たせない路加と愛菜美。しかし、二人は「誰かの特別にはなれない」という劣等感が自分たちを成功に導いてきたことに気づいているのだろうか。
愛菜美が小説家になれたのも、路加が会社の経営者として成功を収めたのも、そこに関しては汚い手を使ったわけじゃない。自分を選ばなかったやつは許さない。絶対に見返してやる。その思いが二人を突き動かしたのだ。
結果、世間に必要とされる存在になったというのに。二人が復讐心にとらわれてしまったのは、悲しいことだ。それに振り回される正樹と冴が一番不憫なのだけど。
愛菜美に裏切られたショックで正樹は自然と冴に縋ってしまうが、冴は既に正樹への思いを断ち切り、慎太郎(高橋優斗)の手を取る。ずっと腐らず純粋に冴を思い続けてきた慎太郎に報われてほしい。
愛菜美が自分の愚かさに気づき、正樹を心から大切にしてくれれば安心なのに。多分、そうはならないのだろう。一番心配なのはようやく冴の気持ちが慎太郎の方を向いたと思いきや、やっぱり正樹がほっとけずに慎太郎を振る展開だ。どうか慎太郎にだけは闇落ちしませんようにと願わずにはいられない。
(文:苫とり子)
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