映画ビジネスコラム
<考察>『ONE PIECE FILM RED』記録破りの大ヒットを生んだ戦略と時代背景
<考察>『ONE PIECE FILM RED』記録破りの大ヒットを生んだ戦略と時代背景
YouTube世代に向けたストーリーと宣伝戦略
『ONE PIECE FILM RED』の物語は「ONE PIECE」として異色作といえます。動画配信的なネタが入っており、ウタの考えは大海賊時代を否定的に捉えるものです。ただYouTube世代にとっては、等身大で身近に感じられるストーリーだったともいえるでしょう。孤独でも、動画配信によって誰かとの繋がりや配信が拠り所になるという気持ちに共感できる人も多かったのではないかと思います。
今回の物語の中心であるウタは、完全新規のキャラクターです。ファンにとってなじみ薄いキャラクターを認知させるために、公式YouTubeチャンネルでウタの動画配信を公開前から展開していたのは興味深いプロモーションでした。
プロモーションは作品内容とも連動する形で、ウタのライブ当日までにいたる彼女の心の変遷を追える内容になっています。VTuberの配信を観ているような親近感を覚える内容で、ウタの内面を知っておくと映画もより深く味わえる仕掛けになっていて、認知を高めると同時に物語への没入感も高めることに成功しています。
この配信を公開前から観ていた人にとっては、今回の劇場版はウタにとっての晴れ舞台にもなっていたでしょう。
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©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会