「silent」第2話レビュー:また話せた2人。紬・想・湊斗、それぞれの優しさがしみる
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川口春奈が主演、目黒蓮(Snow Man)が相手役となる「silent」が2022年10月6日スタート。
主人公・紬(川口春奈)は突然別れを告げられた元恋人・想(目黒蓮)と8年ぶりに再会。彼は難病により、ほとんど聴力を失っていた……。
音のない世界でもう一度“出会い直す”ことになった二人と、それを取り巻く人々が織り成す、せつなくも温かい物語。
本記事では、第2話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「silent」第2話レビュー
あまりにつらい再会シーンに泣かされた第1話は、放送2日目でTver「見逃し配信」160万再生を突破し、フジテレビの過去最速記録となるなど大きな評判を呼んだ。どんな展開がくるのかと身構えていたが、思った以上に優しさにあふれていて、紬(川口春奈)と想(目黒蓮)はもちろん、湊斗(鈴鹿央士)のこともより好きになってしまう回だった。だって3人ともそれぞれ、優しくていい人なんだもん。
冒頭の回想、「紙を42回折ったら月に届く」という会話。計算したり月への距離を知っていることから、想は結構勉強ができたほうだったのかもと思う。なんとなく彼が所属するSnow Manのメンバー、阿部亮平を思い出してしまった。
ちなみに2人は先生に「お前らが付き合って学校中が失恋パラダイスだよ!」と言われる。美男美女だもんね。
卒業後、上京する想と地元に残る紬は遠距離恋愛する予定だったが、想は何の問題も感じていなかった。
何もかもがうまくいっていると思われた卒業式の帰り、耳が聴こえづらくなって耳鳴りがした。家で家族に話しかけられても気づかないことがあり、母親の律子(篠原涼子)に病院に連れていかれる。
病気が発覚し、遺伝性かもしれないと聞いて、自分のせいではと悲しむ律子。そんな母親を見て心を痛め、上京するときに「ごめんね」という想が切ない。いい子だよなぁ。
地元に帰って紬と公園で会ったとき、おそらく想は別れを告げようと思っていた。元気のなさそうな想を見て、紬は背中をなでながらたくさんの言葉で励ます。
「佐倉くんに向けられる悪意ってね、全部嫉妬だから気にしなくていいんだよ」
「悪口って言っていい人には言っていいんだよ。私言っていい人だから、寝たら忘れるから」
「泣いとこ泣いとこ、男の子だって泣いていいんだよ。私、寝たら忘れるから」
「何かあったら電話して。何もなくても電話して。佐倉くんがしたいときに電話して。私、電話したくないときないから。24時間体制だから」
実は前回紬に、正直で裏表がない反面、ちょっと相手の気持ちに鈍感なところもあるなと感じていたけど、紬は紬ですごくまっすぐで一生懸命でいい子だなと思った。
「電話好きだね」と言った想は「声が聞けるから。佐倉くんの声、好きな声だなって思う」と聞いて、自分がいずれそれを叶えられなくなると思い知る。
想だけが別れを決意した、帰り際の会話が切ない。
「あのさ、名前、言ってもらっていい」と言われて「紬?」と自分の名前を言っちゃう紬がかわいい。すぐに気づいて「佐倉くん」「想くん」と言う。下の名前で呼んだのは初めてと恥ずかしがっていてかわいい。
と同時に、ああ想は、この紬が自分を呼ぶ声を胸に、この後一人で生きていこうとしているんだなぁとわかってしまって、前回流れたスピッツの「楓」を思い出す。つらい。
結局別れを告げられず「ほんとごめんね」と謝る想に「そんなに謝らないで」と言う紬は、「ごめんね」にいろんな意味が詰まっているのを知らなかった。
「またね、想くん」手を振る紬を見て、背を向けた瞬間、泣きながら帰る想。つらい……。
再会した紬に手話でまくしたてて拒絶し、別れた先で泣き崩れた想。
一部始終を見ていた奈々(夏帆)に優しく話しかけられ、カフェに入る。
しょんぼりして目をまんまるくしながら話す想、あまり見たことのない目黒蓮の表情で、不謹慎ながらちょっとかわいい。
拾った紬のワイヤレスイヤホンを持ってきてしまったことに気づいた想は、「返さなきゃ」と奈々に話す(手話だが、彼らにとっては会話なので話すと表現する)。
2人がイヤホンの値段を調べるくだりがちょっと微笑ましかった。紬の落としたイヤホンが4万円すると知り、びっくりする。「イヤホンてそんなするの?」と聞く想に「知らないよ、使ったことないもん」と笑顔で答える奈々。奈々は生まれつき耳が聴こえないから、そりゃそうなのだ。そんな話を問題なくできるくらいの気の知れた仲なんだなとわかる。
「相当の音楽好きか、お金持ちなんだね」という推理をする奈々がかわいい。
紬と会ったことで想が号泣したのを観ていた奈々は、「きっとお金持ちのほうだから、困ったらまた新しいのを買うよ」と言ってくれたが、想は「音楽好きのほうだから返さなきゃ」と言う。
二度と会わないくらいの気持ちであれだけ話したのだと思うけど、真面目な性格なんだなと思う。
一方、想と再会できたと思ったら涙ながらの手話で拒絶され、二重にショックを受けた紬。電話をかけてきた湊斗の優しい完璧彼氏っぷりが半端ない。
「大丈夫」と繰り返す紬の声の様子から、ただならぬ状況だと気づいた湊斗。
「お迎え行くから待ってて、乗り換えるとこだよね」
「この電話切ったら、動画、検索して」
「パンダ スペース 落ちる って。可愛いの出てくるから、それ見て待ってて。わかった?」
そして登場し、「コーヒーとコンポタ、どっちがいい?」と聞いてくれ、紬が「コンポタ」と答えると優しく微笑んで「コンポタもあります」と鞄から出す。
いや、めちゃくちゃ優しい彼氏すぎるだろ。
想と何かあったんだろうなと思っていたところ、前回無視していたのに想から「青羽の連絡先わかる?」と連絡がくる。イヤホンを返したいからだけど、勘繰っちゃうよね。しかもしかも、複雑なのに、先日出会った春尾正輝(風間俊介)の手話教室を紹介してしまうのだ。いい奴すぎて心配だよ湊斗。幸せになってほしいよ湊斗。
イヤホンを返したいと想から連絡があり、カフェで待ち合わせすることになった紬は、イヤホンだけ渡して立ち去ろうとした想を引き止める。
文字を打とうとする紬に、文字を音声に変換するアプリを出す想。硬い表情だったが、何言いたいか整理したいから待ってとアプリ相手にあわてる紬(ぜんぶ変換されている)を見て笑ってしまう。前回のラストシーンで、耳が聴こえなくなって笑顔もなくなってしまったのかと思ったけど、優しい笑顔は昔と変わらなくてよかった。
紬は手話教室に入会。授業後、もともと耳が聴こえた人が聴こえなくなると、声も出せなくなるのかと尋ね、失聴だけで話せなくなることはないが、話したくないと思う人はいるかもしれないと聞く。「はじめからないのと、あったものがなくなるのは違う感覚だと思うので」そうだよな。
突然「すごく好きだけど両想いになれなかったり、なれても別れてしまったり。そういうとき思いません? 初めから出会わなければよかったって。この人に出会わなければ、こんなに悲しい思いしなくてすんだのにって思いません?」と言い出す正輝。初対面の人に話すことではない気がするし、さっきまでの優しそうな表情が消え、目に光がないように見えてちょっと怖い。前回の湊斗との会話しかり、闇がありそうだ。
でも「好きになってよかったって思います、思いたいです」と答える紬は、強い人だなと思った。
筆談だから変わらないという想に「顔を見て話したい」と言ってまた会う約束をする紬。紬が手話で自己紹介をし、覚えたと聞いて驚く。前回のラストを思い出して怒ったりするのでは、と一瞬ハラハラしたが、優しく笑って手話で自己紹介してくれた。紬は習った年齢や家族構成などを手話で伝えるが、ぜんぶ「知ってる」と言われてしまう。
紬は耳が聴こえなくなった理由を聞き、最後に公園で会ったとき、電話したい、声が好きと言ってしまって嫌な思いをさせたと謝る。
優しい笑顔で「嬉しかったよ」と返す想に、泣きそうになってしまった。どうやら「好きな人がいる」という別れのメッセージの「好きな人」は、紬のことだったらしい(そんなことある!?)。
「悲しませたくなかった」という文字を見て、笑おうとしたけど泣いてしまう数秒の表情の変化が、紬という人をよく表していると思った。泣き出した紬を見て自分も涙を流し、そのままくしゃっと笑って「このこと知ったらそうやって泣くと思ったから」という想もしかりで、2人とも自分がつらい中で相手のことを考えられる人なんだな。
「振られて泣いたし! 今よりもっと泣いたし!」と切り返す明るさがいい。
「今は、青羽のこと泣かせない優しい人がいるの?」という質問に「いるよ、会ってよ」と返すのはよくわからない、会わないだろ……。それに「え~」という顔をする想、たぶん今も紬のこと好きなんだろうな。
このドラマ、目黒くんの期待を超えた演技にいい意味で驚かされているが、演技すごい一方で、このくしゃっとした優しい笑顔やスマホのフリック入力できない感じは目黒くんそのもので、たまらんな……! と思った。
なにより、2人がまた話せたことがうれしい。
笑顔で踏切のところで別れようとした2人。そこへ湊斗から電話がかかってくる。家の近くまできたから……と話していた湊斗が突然しゃべらなくなる。少し離れたところに、湊斗がいた……。表情が凍り付く3人。主題歌が流れていたのに、この瞬間無音になって衝撃が増した。
三角関係が激化しそうな予感。次回予告を見ると、湊斗は三角関係に苦しむと同時に、友達としての想への思いもありそうでより切ない。3人とも笑顔になってほしいと願ってしまうが、そんなルートはないか……。
(文:ぐみ)
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