続・朝ドライフ

SPECIAL

2022年11月08日

「舞いあがれ!」第27回:「炭水化物は頭の回転を鈍くする」刈谷先輩の認識は正しいのか

「舞いあがれ!」第27回:「炭水化物は頭の回転を鈍くする」刈谷先輩の認識は正しいのか

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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。

本記事では、第27回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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スワン号、飛んだ!

記録飛行3日前。舞(福原遥)は目標体重まで落とすことができました。
達成感いっぱいで舞が部室にいると、由良(吉谷彩子)がやって来ます。

ここ、さりげなくポイント高い場面です。

舞が先輩に報告が……と言いかけて、由良が松葉杖なしで歩いていることに気づき、祝います。由良も松葉杖から解放されたばかりで自分語りしたいだろうけれど自分の話を続けることなく、舞に報告ってなに?と話を戻すのです。

舞は自分が体重が落ちた喜びを誰かに伝えたいけれど、由良の変化に気づいてその話題を優先し、由良は松葉杖がいらなくなったことが嬉しいけれど、舞が何が言いたそうなことを優先します。

自分のことを優先しないで、他人に気遣い合うことで、結果的にどちらの話も聞いて喜ぶことができるのです。

舞と由良はいい関係でほんとうによかった。

記録飛行の前日の部室でたこ焼きパーティーも同じ構造になっています。

体重が無事落ちた舞は炭水化物を食べてもいいことになり、何を食べようかそればかり考えていました。そんなとき、目の前にたこ焼きが! 夢中で食べて大喜びで明日がんばります!となりそうなところ、たこ焼き作っている部員たちの「華麗なる連携プレー」が中心となり、試験飛行が終わったら、このチームもばらばらになっていくことを思い、ちょっとしんみりする部員たちの気持ちを舞が受け止めていきます。

主役とは中心になって自分を主張することではなく、まわりの人達の気持ちを背負うということなのです。

刈谷(高杉真宙)は炭水化物は頭の回転を鈍くすると言い野菜を焼いて食べています。でも炭水化物を食べないと頭が働かないとも言いますよね。朝、原稿を書くには炭水化物と筆者は認識していました。迷ったときのネット頼み。検索するとーーおおむね、炭水化物に含まれる糖質が脳を活性化すると書かれています。ただし、食べすぎは良くなく、ほかの栄養素も取ることで脳がしっかり機能するようです。

こじつけると、炭水化物をエンジンとすると、ほかの栄養素ーー部品と共に動くことではじめて飛行機は飛ぶ、みたいなことでしょうか。

飛行機を飛ばすことを奇跡と騒ぐ部員たちに、クールな刈谷は奇跡でもなんでもない物理法則で説明できると水を差す……ように見えてーーみんなの力の結集が飛行機を飛ばすのだと言います。

明日全員が集合してスワン号を飛ばす、ただそれだけのことたい。けどそれを奇跡って言うんじゃなかとか。

たこ焼きのひとつひとつが部員たちの魂のように見えました。それを食べて、舞は空を飛ぶ。

試験飛行当日、空を飛ぶ鳥を見ながら、会話する由良と舞

由良「あんなふうに空飛びたいなあか、かんたんに飛びすぎてなんか腹立つか」
舞「どっちもです」

この会話もなかなか含蓄あります。物事をポジティブに見るか、ネガティブに見るか、それはその人の心のありようです。じつのところどっちもあるのが健全なのではないでしょうか。

【朝ドラ辞典 奇跡(きせき)】

思いがけないことが起きること。クライマックスに準備されている。例えば、「あさが来た」の最終回。「カムカムエヴリバディ」の”岡山の奇跡”など。ご都合主義とはちょっと違う。

(文:木俣冬)

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