「舞いあがれ!」第38回:柏木がデレるのが早過ぎやしないか
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第38回をライター・木俣冬が紐解いていく。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
▶︎「舞いあがれ!」画像を全て見る
「舞いあがれ!」をU-NEXTで視聴する
クリスマスパーティー
【朝ドラ辞典 違うドラマが始まったかと思った(ちがうどらまがはじまったかとおもった)】朝ドラは長丁場なのでメリハリをつけるためと思うが、半年間のなかで◯◯編、◯◯編といくつかのパートに別れている。「舞いあがれ!」では幼少期の五島編、なにわバードマン編と来て、航空学校編となっている。編によって舞台や時代、登場人物などが変わるので自ずと雰囲気が変わるのだが、時々、それとは関係なく作品のムードが変わることがある。そんなとき「違うドラマがはじまったかと思った」と視聴者は思う、あるいはSNS でつぶやく。その言葉が歓迎をもって吐かれることは滅多にない。関連語:キャラ変
違うドラマが始まったかと思いました。
航空学校編に入った舞(福原遥)は二十歳に成長(成人式祝わなかったのかな)して、宮崎の寮生活をはじめたということで、違うドラマ感はあっても仕方ないわけですが、それにしても、ライトな学園ものの雰囲気になりました。
すでに、バイト先で、すべってコーヒーをトレーから落としそうになる。
ルームメイトの倫子(山崎紘菜)の夜行動が気になって後をつけ、ドアの前で聞き耳を立て、ドアを開けられガン!と当たる。等々、明るくちょっとドジな子みたいになっていますが、第38回では、またしても開いたドアにぶつかってしまいます。
そして、都築教官(阿南健治)の「つづきポイント」に激しく反応し、漫画ぽい妄想をします。この妄想場面が……。
不思議なのは、幼少期は年齢よりも聡明そうな主人公が、大人になると逆に子供っぽくなることです。子供時代の良さを大事にしようとするあまりリアルな成熟が不足してしまうのでしょうか。あるいは、人はそれほど変わらないという哲学的なことを表現しているのでしょうか。
ぜひとも聡明な少女の聡明な成長を描いていただくことを願うばかりです。
まあ、20歳になってもナレーション(さだまさし)は「舞ちゃん」ですから、かわいい舞ちゃん感が大事なのかもしれません。
そんな舞ちゃんが、チームの結束を大事にしようとクリスマスにお好み焼きパーティーを企画します。三角帽子をかぶった姿はじつに無邪気です。
せっかくの企画ですが、柏木(目黒蓮)は不参加。でも舞は、都築教官も来るから「都築ポイント」に響くと脅し、柏木を参加させることに成功します。舞はこのように敏いことは敏いのですが、敏さを発揮するのはそこじゃないのでは……。
パーティーしながら、チームメイト6人の背景がじょじょにわかっていきます。
柏木はお坊ちゃんでお好み焼きを食べたことがなく、はじめて食べたそれが気に入って「もう一枚焼いてくれ」と舞に頼みます。あれほどクールにつっけんどんだった柏木ですが、「これうまいから」と意外と素直。三角帽子までかぶっていて、驚きます。いわゆる「ツンデレ」のようですが、デレるのが早くないでしょうか。
(文:木俣冬)
木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中
「CINEMAS+ MAGAZINE」で「舞いあがれ!」インタビュー掲載中!
ヒロイン・福原遥、制作統括・熊野律時インタビュー((取材・文:木俣冬)を掲載した「CINEMAS+ MAGAZINE no.01」、現在絶賛発売中。
「舞いあがれ!」をU-NEXTで視聴する
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)NHK