「舞いあがれ!」第47回:水島の欠点から読み解く、厳しい訓練中ふわっと恋愛もようを挟み込む理由
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第47回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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全員合格ならず。明るい水島学生だけが…
厳しい訓練のさなか、舞(福原遥)と柏木(目黒蓮)はなんだか心を通わせはじめているようです。人生を左右するプリソロチェックの前に告白未遂みたいなことをやってドキドキするようなふわっと恋愛もようを挟み込む理由がわかりました。第47回の柏木のせりふを思い出してみましょう。「水島(佐野弘樹)は同時に複数のことができない」
そう、パイロットになるには複数のタスクを同時に適切に処理できないとならないのです。操縦しながら管制官の司令も聞き取らないといけません。学校の課題をクリアしながら恋もできるような器用さやエネルギーの余裕がないといけないのです(たぶん)。
思えば、水島も勉強しながら女の子を追いかけていましたよね。彼も彼なりに複数のことをできるようにしようとしていたのでしょう(たぶん)。
残念ながら、水島は最初のプリソロチェックで不合格になり、再審査でも不合格。フェイル(退学)することになりました。
たとえ、複数のことができなかったとしても、ごまかさず、真摯にそれを認め、助けを求めることが必要でした。舞は不器用でいろいろできませんが、離陸を強行突破することなく、愚直なまでに慎重であることが買われているようです。
水島はいつも「ラジャー」と軽く言ってできてないことを誤魔化し続けたことがよくなかったようです。「ラジャー」しか言わないと柏木が水島と喧嘩したときの指摘は、笑い事ではなく、意外と根の深いものだったようですね。
複数のタスクをこなすこと、ごまかさず流さないことが重要であると指摘する柏木だって、地図が読めなかったことをごまかそうとしていましたけど、彼は舞によって救われたのです。
舞がもっと早くに水島の欠点に気づけていたら……。母の介護で大変な吉田(醍醐虎汰朗)、挫折に弱い柏木までは目が届いたけれど、飄々として弱さを見せなかった水島にまでは行き届かなかったようです。
水島は柏木の練習につきあっていたのに。自身の欠点と向き合わず、直す機会のないまま試合終了してしまいました。脇役だからとしかいいようのない流れですが、世の中、不公平に感じてしまいます。
いつでも陽気なふるまいで自分を誤魔化してきた水島。吉田や柏木のように弱さを早いうちにみんなに見せておけばよかったということなのです。現実にもこういうこと、ありますよね。問題を言い出せず抱えすぎて、よけいに悪い事態を引き起こしてしまうことが。
チームワークの必要な仕事はつねに心を開き合うことが大事と思わせるエピソードでした。
【朝ドラ辞典 挫折(ざせつ)】人生につきもの。朝ドラ主人公には意外とそれがなく、周囲の人たちが体験することが多い。主人公に挫折がなさすぎることを指摘されることもときにある。
(文:木俣冬)
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