インタビュー

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2023年01月06日

『嘘八百 なにわ夢の陣』主題歌 桐谷健太「人生って夢みたいなところがある」

『嘘八百 なにわ夢の陣』主題歌 桐谷健太「人生って夢みたいなところがある」

1月6日(金)に公開となる中井貴一、佐々木蔵之介主演の映画『嘘八百 なにわ夢の陣』。シリーズ3作目となる本作では、豊臣秀吉の7つのお宝を巡って骨董コンビが奔走します。

主題歌を務めるのは俳優・アーティストとして活躍する桐谷健太。楽曲への想い、そして歌手として参加する作品への想いを語っていただきました。

歌が繋いだ監督との縁


――主題歌に抜擢されたときのお気持ちを教えてください。

桐谷健太(以下、桐谷):自分が出演しない作品で歌わせていただくのは、ある意味、本当に歌手としてのオファーだったのですごく嬉しかったですね。自分が出演している作品や、CMではあったんですけど、やっぱり初めてって嬉しいじゃないですか。
『嘘八百 なにわ夢の陣』の武正晴監督とは、僕がデビューした映画『ゲロッパ!』で助監督をやられていたときに会ったのが初めて。それ以来、時々会うこともあったんですけど、去年、僕が三船敏郎賞をいただいたときに、武さんも監督賞を受賞されていて舞台上で久しぶりに会ったんです。そこで、すごく感動するよね、という話をして。俺は初めての映画で、武さんは助監督をいくつもやってらっしゃいましたけど、当時、芝居をこうしたい、ああしたい、というような話をしていた2人だったので。
縁があって、そんな武さんが歌のオファーをしてくださったのは、すごく不思議な感覚がありました。

――今回、作詞もされていますね。

桐谷:歌わせていただくことになったときは、まだ作曲を誰がやるとかも決まっていなかったんです。
そのあと、映画関係者が集まる会議にマネージャーが行ってくれたんですけど、武さんがすごく情熱的に「こういうふうにしたいんだよ!」、「健太ってこうだよね!」という話をしてくれていたみたいで。その話を聞いて、楽曲のイメージを感じて、武さんがせっかくオファーしてくれたから作詞できたらいいな、と思いました。
そうしたら、ある朝、起きたらフレーズがポンポン、と出てきたからそれを書き留めて、マネージャーに整えてもらいました。だからマネージャーと2人で製作した形ですね。


――レコーディング時はいかがでしょうか? 何か意識されたことはあるんですか?

桐谷:一通り録って、OKが出たあと、もう少し柔らかく、じゃないけど少し感覚を変えた状態でやってみようか、と言って録ったやつが、実際のテイクになりました。こういうふうにしよう、ということはなかったですけど、ある程度、幸せな気分や透明な気分だったり、気持ちいい気分で歌おう、という感覚はありましたね。そういうのって、聴いている人にも自然と伝わるんじゃないかな、と思って。なるべくまっさらというか、考えずに歌った印象はありますね。

「映画っていいな」と改めて思えた


――映画を観ていかがでしたか?

桐谷:武さんらしい、お正月に観て元気が出る映画ですよね。三部作で、1作品目から見ていますけど、こうしてシリーズ化しているものに入れたのは嬉しかったですし。
試写の前に一度見せていただいたので、「夢のまた夢」というフレーズも出てきました。豊臣秀吉の最後の句のフレーズなので。でも、確かに人生って夢みたいなところがあるよなあ、という感覚はすごく分かるというか。

――曲がのった状態で観た映画はいかがでしたか?

桐谷:最初は映画そのものを楽しんでいたんですけど、終盤になったときに、もうすぐ曲が流れるな、と思って(笑)。
自分が出ていない作品で、自分の歌声を劇場で聴くのは初めてなんですよね。お会いしたことがない役者さんも出ていらっしゃる映画で、自分の曲が流れるのはすごく贅沢な気持ちになりました。


――作中で気になったキャラクター、好きなキャラクターはいらっしゃいましたか?

桐谷:やっぱり主演のお二人のやりとりは言わずもがなですよね。
あと、中村ゆりちゃん。『パッチギ!Love&Peace』から役者として一緒だったし、それこそ、僕が初めて歌を出したときのドラマでもゆりちゃんが一緒だったんですよ。
縁のある方がすごく多い映画で、親近感が湧きながら観れました。でも、最後の何気ないシーンで、なぜか泣けてきたんですよね。

――自然と涙が。

桐谷:泣くシーンって人によって違うと思いますけど、なんか、ジワーッと来たんです。映画っていいな、と改めて思えた部分でもあったし、楽しいことやってるな、と思いました。そんな中で自分の曲が流れたので、すごく温かい気持ちになりましたね。


――役者としても、アーティストとしても、思いが入り混じったような?

桐谷:本当にみんなが普通に会話しているようなシーンなんですけどね。だけど、すごく印象的で、「なんで泣いちゃってんやろ」みたいな。でも、いろんなことが混ざってるんですよね、やっぱり。武さんが撮っているということもそうだし、空気感であったり。20年前に武さんが井筒(和幸)さんについてやっていて、俺も井筒さんの作品にいくつか出させていただいて、そのときの空気感と重なったのもあったかもしれないです。妙に懐かしさを感じてしまったのか。
でも、そのシーンで改めて役者っていいな、映画っていいな、と思えた作品でした。自分の目線でしか話せないんですけど、すごく優しい気持ちになれたのは覚えています。

――監督にはそのお話はされたんですか?

桐谷:しました。「不思議なところで泣いちゃいました」、って。武さんも、「映画って面白いね」って。その人にしか分からない感動する部分は絶対にありますからね。
音楽もそうじゃないですか。日によって聴こえ方も違いますし。何回も聴いていたはずなのに、その時の気分ですごく心に響いたり、こんな楽器の音が入ってたんや、と気づいたり。自分の変化とともに、全部変わっていくのは面白いな、と改めて思います。


――映画にも、楽曲にも「夢」というワードが出てきます。最後に桐谷さんの2023年の夢を教えてください。

桐谷:そうですね……。僕の夢としては、成長しながら毎日楽しく生きていきたいですね。だから、言ってしまえば毎日が夢です。自分が居たい気持ちの良い状態にいたら、未来もどんどん、どんどん面白くなっていくだろうし、今日の自分では思いつかなかったようなことが明日の自分で思いつくかもしれないですし。今もそうだし、2023年もそうだし、今を成長しながら幸せに生きます。

(ヘアメイク=岩下倫之(Leinwand)/スタイリスト=岡井雄介/撮影=渡会春加/取材・文=ふくだりょうこ)

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