『別れる決心』主演のタン・ウェイ、インタビュー|「パク・ヘイルさんとの共演は幸運だった」
「お嬢さん」、「渇き」などで知られるパク・チャヌク監督の約6年ぶりとなる作品です。本作で美しき容疑者“ソレ”を演じたタン・ウェイに、出演を決めた心境やパク・ヘイルとの共演、そして自身とソレの共通点についてもお話を伺いました。
▶︎本記事の画像を全て見る
――パク・チャヌク監督と脚本家のチョン・ソギョンさんは、脚本を作成している段階で主演をタン・ウェイさんに務めてもらいたくてソレを中国人の設定にしたそうですが、オファーを受けたときはどのような心境でしたか?
タン・ウェイ:オファーを受けてとても嬉しかったです。パク・チャヌク監督は中国でもファンが大変多く、絶対に観るべき映画として監督の名前が挙げられたりもしています。ですから、この素晴らしい機会を大切にしなければと思いました。
――ソレを見ていると、おとなしくて受け身的な第一印象とは違って、実は自らの行動によって運命を変えていく非常に意思の強い女性なんだと感じました。実際のタン・ウェイさんと似ている部分はありますか?
タン・ウェイ:私とソレの共通点は、新しいことに対する挑戦的で開放的な姿勢、そして後悔が残らないように何にでもトライしてみるところではないかと思います。
ソレは中国の北部にある山東省の人で、私は南に位置する浙江省杭州の出身です。私は全体的に南と北の性質をバランスよくもっていて……あ、中国では南は柔らかくて北は正直だと言われているんですよ。そして南部地方では、どちらかというと女性が家庭を主導していて、私は幼い頃から自分の主観がはっきりしていました。すべてを自分で決めることができるんですね。こういった感じはソレのキャラクターにもよく表れています。
▶︎本記事の画像を全て見る
――タン・ウェイさんの思う、ソレの一番の魅力はなんでしょうか?
タン・ウェイ:おそらくすべてのことに対して素早く判断し、果敢に行動できるところです。悲惨な状況におかれても、変わらず心から愛を渇望する姿にも惹かれました。
――本作では直接的なラブシーンや愛の告白が無いにも関わらず、ヘジュンとソレの視線や息遣いなど、にじみ出る色気からおふたりの熱が伝わってくるようでしたし、目線だけで語り合うようなやりとりも印象的でした。パク・ヘイルさんとは実際にも言語の壁があったと思うのですが、どのように息を合わせた演技を実現したのでしょうか?
タン・ウェイ:実は、特別難しいことや努力をしたわけではありません。なぜなら監督のキャスティングがとても素晴らしかったからです。
パク・ヘイルさんは本当に特別な男性です。最初に彼を写真で見たとき、どこか貴族のような感じが漂いながらも、心の中にはアグレッシブで独創的な考えが秘められていると感じました。私たちは言葉が通じませんが、それでもお互いを正確に把握し、本当に息がピッタリだったんです。パク・ヘイルさんのプロらしさもとても助けになりました。
あ、それに、ヘイルさんが撮影現場で韓国語をたくさん教えてくれました。こんなに完璧な“ヘジュン”をキャスティングしてくださった監督には感謝していますし、これは私個人にとっても、作品にとっても幸運だったと思います。
▶︎本記事の画像を全て見る
――劇中、ソレはへジュンの言った“あるセリフ”を「愛してる」と受け取りました。
タン・ウェイ:ソレはずいぶん後になってヘジュンの「愛してる」に気づきますね。
――セリフを聞いたソレにとっても、へジュンにとっても、それは無自覚な愛だったように思います。実際のタン・ウェイさんだったら、愛をどのようなタイミングで自覚しますか?
タン・ウェイ:過去を振り返ってみると、私は内面の感情がこみ上げてあふれそうなとき、その感情を詩に書いたりします。そうすると、“愛”という感情がこのように人を詩人に変えるのだと驚かされるんです。書き終えた詩を読みながら、そこにある愛に気づき、深く理解していくように思います。
▶︎本記事の画像を全て見る
“마침내”(ついに)、日本公開
詩を読むことで愛を自覚するというタン・ウェイさんと、文字で翻訳されたへジュンの言葉を読んで愛を深めるソレ。改めて、タン・ウェイという俳優がキャスティングされた意味を知らされたようで鳥肌が止まらなくなりました。
もちろんキャストだけでなく、匂いや熱を感じるようなパク・チャヌク監督のねっとり感を、ぜひ劇場でご体験ください。
(取材・文=加部)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED