「リバーサルオーケストラ」第8話:愛は続いていくもの……妻に捧げる「愛の挨拶」
本作は“元”天才ヴァイオリニストと変人マエストロが地元のポンコツオーケストラを「大改造」する一発逆転音楽エンターテイメント。民放GP帯ドラマ初主演をつとめる門脇麦や門脇と『あなたの番です 劇場版』以来の共演となる田中圭他、ポンコツ楽団の団員を演じる個性的なキャストが集結した。
本記事では、第8話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「リバーサルオーケストラ」第8話レビュー
今回、物語の主人公となるのは穂刈(平田満)だ。穂刈が事故に遭ったのをきっかけに、妻の冴子(宮崎美子)が認知症だということを知る初音(門脇麦)たち。
冴子は穂刈のことを認識しておらず、夜中に徘徊もしていた。そんな冴子を探している最中に穂刈は事故に遭ったのだ。
以前、蒼(坂東龍汰)に冴子とのなれそめを話していた穂刈。
冴子のことが大好きで大好きで、何度も想いを伝えて恋を実らせた。
そんな最愛の妻が自分を忘れているのはどんな想いだろう。
さらに冴子は朝陽を夫だと間違えていて……。胸が痛い。
でもこれは、どんな仲睦まじい夫婦にもあり得ることだ。
穂刈は冴子のために玉響を辞めようと考えるが、周りから反対される。
穂刈がどんなにがんばったとしてもそれは老々介護になり、負担は大きくなるばかり。娘との相談も経て、冴子を老人ホームに入居させることになる。
終始、穂刈の表情が寂しそうで胸を揺さぶられる。
そんな中、老人ホームの施設長が初音(門脇麦)のファンだということでみどり(濱田マリ)らを誘ってカルテットで、音楽会に出演することになる。が、初音はあることを思いつき……。
きっかけは、穂刈家にあった古いラジカセとテープ。テープには穂刈と冴子が録音した『愛の挨拶』が。
冴子の入居当日。老人ホームまで来たものの、冴子は浮かない表情で中に入ろうとしない。
そこに朝陽が現れると、パッと笑顔に変わる。
「お待たせ」「冴子さん、行きましょう」と手を取る。嬉しそうにホームへ入っていく冴子。
私も朝陽さんにエスコートされたい、が、叶わない願いなのでエスコートをする朝陽をずっと観ていられぬものか……などと思ってしまう。登場の仕方がズルい。ヒーロー。
朝陽にずっと手を握ってもらいながら、楽しそうに音楽会を観ている冴子。
重要なのは、彼女は朝陽に手を握ってもらっているのではなく、夫である穂刈に手を握ってもらっているのだということ。
ずっとこうして、夫と手をつないでいたかったのかもしれない。
そして、音楽会の最後のステージに登場したのはオーボエを持った穂刈。
冴子への想いを伝え、「思い出せないことが増えたとしても、私が全部覚えています」と言う。
なんて温かな告白だろう。
演奏する曲はもちろん、『愛の挨拶』。
やがて、朝陽の手を放し、冴子の指が動き出す。
かつて、穂刈のオーボエに合わせて伴奏していたときのように。
忘れるのは怖い、と思ってしまう。大切な人との思い出ならなおさらだ。
でも、覚えていたい、覚えてるよ、と言ってくれる人がそばにいてくれるのは、人生の財産なのかもしれない。
温かな愛が描かれる中で、若者たちの恋は波乱万丈だ。
とうとう蒼に自分の気持ちを伝えた初音。
「好きな人がいる」
その瞬間の蒼の表情が雄弁すぎて。悲しい、寂しい、でも好き。それでも笑顔でいようとするのは愛だ。
初音は三島(永山絢斗)とのツーショット写真がネット記事に載ってしまう。
三島はアイドル的人気だし、前回、初音とはテレビで共演したばかりだ。話題にもなる。
朝陽に誤解されたくなくて、初音は必死に説明をするが、朝陽はいつも通りのテンションで「僕には関係ない」とサラリ。この言葉にカチンときた初音は「私は良くないんです」と勢いで告白してしまう。
回を追うごとにかわいくなっていく初音がいとおしい……
さらに玲緒(瀧内公美)と藤谷(渋川清彦)が電撃結婚! が、さっそく何か喧嘩しているようで……。
若者たちの恋は元気で落ち着きがない。でもそれも若さなのかもしれない。
玉響vs高階フィルも穏やかではない。
相変わらず暗躍している本宮(津田健次郎)。彼に情報を流しているスパイも土井(前野朋哉)だと発覚。「スパイ、土井さんっぽいけど、土井さんじゃないといいなあ、実は玉響ラブキャラだといいなあ」と個人的には思っていたのだが……。
玉響にはさらなる波乱が待っていそうだ。
(文:ふくだりょうこ)
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