インタビュー

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2023年04月01日

和田雅成が出演を決めた理由は、ライバル役が玉置玲央だったから。舞台『ダブル』で初共演の2人が語る俳優としてのお互いの姿

和田雅成が出演を決めた理由は、ライバル役が玉置玲央だったから。舞台『ダブル』で初共演の2人が語る俳優としてのお互いの姿



もし別の作品で出会っていたら…

——ライバルでありながら、惹かれ合う、という唯一無二の関係を舞台上で築くために、お二人はどのようなコミュニケーションを取られているのでしょうか。

玉置:普段から、お互いフラットに向きあってる感じだよね?それがそのまま芝居にも活きているような気がする。

和田:僕たちはこの舞台で初めましてだったんですけど、顔合わせや稽古の前に2人でご飯を食べに行かせてもらったんです。だから、稽古場では無理に距離を詰めなくても、自然と気を遣わない関係になれたのかなと思います。それに玲央くんって、必要な時は近くに来てくれたり、逆にそっとしておいてくれたりもするから、すごくありがたいんです。
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——ちなみに、会うまでに“どんな人なんだろう”っていう緊張のようなものはなかったですか?

和田:玲央くん、初対面の時にミルクレープ食べてたよね(笑)。

玉置:うん、お腹空いてたから(笑)。

和田:僕は割と人見知りするタイプなんですけど、玲央くんが明らかにウェルカムな状態で来てくれたので、大丈夫だなって思えました。
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玉置:お互いフィーリングが合うかどうかが大事だと思ってたから、そこが合ってよかったなと思う。でもさ、もしこの作品じゃなくて違うところで共演してたらどうだったんだろう?

和田:どうなんだろうね。この役だからこそ、玲央くんも密に接してくれてるけど、違う作品で会ったら冷たそう(笑)。

玉置:さもありなんかも。俺も実は結構人見知りするのよ。人見知りの種類って色々あって、明らかに人見知りな人と、攻めることによって人見知りを隠す人がいて、俺は多分後者。だから、もし初対面が別の場だったらスッと後ろに引いて、“お願いだから関わらないでオーラ”を出してたかも(笑)。

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小さな幸せや価値があるものに気付けた3年間

——一緒にいる時に、お互いのことを多家良だな、友仁だなと思う瞬間はありますか?

和田:劇中の舞台で多家良が『三人姉妹』という作品のソリョーヌイという役を演じるんですが、玲央くんはその役を実際に演じたことがあるんですよ。このお話ってとにかく複雑で、僕はなかなか理解できずに頭がパンク寸前だったんです。そんな時に玲央くんが、このシーンはこういう状況で、だから台詞はこんな風に……ってロジックを組み立ててくれたんですけど、「まさに今、この瞬間が多家良と友仁みたいだな」って思いましたね。
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玉置:それを突っぱねないで、受け止めてくれるところがまた多家良だなって。僕らは今、自分と演じる役とが良い意味でないまぜになっている状態なんです。努めて演じるでもなく、自分という人間を無理やり消そうとすることもなく、もやっと柔らかい塊になってる感じ。だから、俳優然とした自我が強いタイプの人だと、僕が言ったことを「うるせえ、そんなのわかってるわ」って突っぱねるかもしれない。それをマサが受け止めてくれるから、熱意を持ってお互いやりとりができるんだと思います。

——3月からマスクの着用に関するルールが変わるなど、少しずつコロナ禍を乗り越えつつあります。そこで、最後に演劇人であるお二人に改めてこの3年間を振り返っての思いを伺いたいです。

和田:舞台が上演できないという状況もつらかったけど、それ以上に、舞台が悪者みたいな扱いを受けている時が一番しんどかったですね。

玉置:あー、特に最初の頃はあったね。

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和田:別に悪いことなんてしてないのに、なんでそんな風に言われなきゃいけないんだろうって正直思ったりもしました。でも、今この3年間を振り返ってみると、悪いことばかりじゃなかったなって思うんですよね。例えば、Zoom飲みが流行ったことで、あまり一緒に飲みに行くことがなかった人との交流も生まれましたし。失ったものもあれば、新たに出合ったものもあるので、僕はあまりネカティブな感情は抱いてないです。これまで以上に、小さな幸せに気づけるようにもなりました。

玉置:この3年間をポジティブに捉えるのが難しい人ももちろんいるとは思いますけど、限られているからこその豊かさも確かにあって。それこそ、舞台を観に来てくださった方々は表情や声が出せない中、スタンディングや拍手の強さで思いを必死に伝えてくださっていました。舞台上から見えるその景色も価値があるものでしたし、やっぱり悪いことばかりじゃなかったなと、改めて思います。

(撮影=大塚秀美/取材・文=苫とり子)

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