「らんまん」宿題も試験も論文もないと責められる、やっぱり恵まれてる万太郎<第36回>
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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第36回を紐解いていく。
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女の子だって冒険がしたい
あさりの酒蒸しからいい香りが漂ってきそう。第8週「シロツメクサ」(演出:津田温子)のはじまりは、寿恵子(浜辺美波)が母まつ(牧瀬里穂)に鹿鳴館に行きたいと相談します。でもまつは反対。
昔、芸者として、てっぺんまで上り詰めたまつのように、寿恵子も母の見た景色を見たいのだと主張しますが……。
てっぺん そこから見た景色 なんかヤンキーものの主人公のセリフのようです。それだけ寿恵子が男子顔負けのやんちゃな人物であることがわかります。
亡き父が遺した本は皆、冒険の本ばかりだったという寿恵子。お父さんもきっと冒険好きだったのでしょう。彦根の武家ということは彦根藩主・井伊家に仕えていたと思われます。大河ドラマでおなじみの井伊直政の血筋のお家です。江戸から明治になるなかで大老・井伊直弼が開国を唱え、尊王攘夷派に暗殺されました。そこから井伊家は勤王派に変わるなど、激動があります。寿恵子のお父さんはどっちだったのでしょう。冒険好きなら開国派かな。
鹿鳴館は長州藩出身の井上馨の発案でできたのですが、元々は尊王攘夷派だったのが英国留学して開国派に変わっています(建設に従事した伊集院兼常は薩摩藩出身で、薩長同盟関係ですね)。この頃、嵐のように価値観が揺さぶられ、180℃大きく変わる時代だった。だから、女の子だって冒険できる可能性も開けてきたのでしょう。
寿恵子の背中を押したのは万太郎(神木隆之介)。彼は東大の出入りを許され、颯爽と初登校(?)します。勢い余ってまだ研究室の鍵が空いてない時間に来て、大学職員・脇田伝助(クールポコの小野まじめ)に驚かれます。
万太郎は一番に研究室に入り、掃除をします。先週はお茶入れたりしてかいがいしいのです。お坊ちゃんで家事などしたことなかったでしょうに。意外と気が利くのです。
職員さんはいい人そうで、明日から早く空けますね、と言ってくれますが、大学生でもない万太郎のために、大学職員が早く仕事をはじめないといけなくなるのはいいのだろうか、という気もしないではありません。
実際、正式な学生でもないのに問題が勃発します。
うさぎをかわいがっている藤丸次郎(前原瑞樹)に「宿題も試験も論文もない」と指摘されてしまうのです。
「なんですか? 土佐のつながり? 教授があんな…『つながるべくしてつながった』とか すごいですよね」藤丸は、日々の課題に追いつけなくて必死で、日々の植物研究にまで手が回らない。それに比べて万太郎は好きなことだけやっていると言うわけです。
(藤丸)
やらなきゃならないことと、やりたいことのバランスが取れない悩み。たいていの誰もがぶつかる壁であります。それが万太郎にはない。
「あなたとは違うから」
(波多野)
そう、波多野(前原滉)にも言われてしまいます。
自分の気楽さを突きつけられた万太郎はーー。
難しい課題に必死でしがみついている2年生コンビの藤丸次郎(前原瑞樹)と波多野泰久(前原滉)。どっちも前原さんでややこしい〜。
前原瑞樹さんは前作「舞いあがれ!」でサクラの夫・むっちゃんを演じていました。前原滉さんは「まんぷく」で塩軍団のひとりを演じていました。田邊教授役の要潤さんは「まんぷく」でヒロインの義兄役。徳永役の田中哲司さんは「まんぷく」で主人公の夫の作ったラーメンをマネたものを作る悪役でした。大窪役の今野浩喜はその従業員役。……となぜか「まんぷく」出演者が集結しています。
(文:木俣冬)
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