「どうする家康」第32話:ついに家康が勝利。若者たちの活躍に心躍る……が
2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第32話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「どうする家康」第32話レビュー
回を追うごとに秀吉の不気味さが増していく。家康(松本潤)と秀吉(ムロツヨシ)がついに全面衝突だ。
秀吉の軍は10万。大軍だが、内部は統率が取れているわけではない。手柄を狙う武将たちがひしめき合っているだけではなく、秀吉への信頼度は低い。そのため、強気に攻めることもできない。
家康がいる小牧山城と秀吉のいる楽田城でにらみ合いが続く。
そんな中、秀吉勢の池田恒興(徳重聡)は「中入り」という戦法を提案する。守りが薄くなっている岡崎城を攻め、家康を引っ張り出そうというものだ。
しかし、家康側の本多正信(松山ケンイチ)がこの策を見抜いていた。さらに、榊原康政(杉野遥亮)が中入りのための軍をつぶす策を考え付き、急ピッチで準備が進められていく。
出陣を前に家康は家臣たちに、弱く、臆病だった自分がどうしてここまでやってこられたのか……と語る。
「今川義元に学び、織田信長に鍛えられ、武田信玄から兵法を学び取ったからじゃ。そして何より、よき家臣たちに恵まれたからにほかならぬ」
何度も死にそうになった場面があった。それでも今、家康が生きているのは家臣たちがいたから、だろう。この戦で家康の力となったのは、康政のほか、井伊直政(板垣李光人)、本多忠勝(山田裕貴)ら。
若者が育ってきている感がある。
かつては忠勝に対抗心をむき出しにしていた康政だが、冷静に自分と忠勝の違いを分析していた。そして、どうすれば家康の役に立てるかも。
直政はかつて、家康の命を狙ったことがある。
しかし、家康に助けられた。
直政は同じように家康の命を狙った正信と「どうして自分たちのような者を助けるのか」と話す。
「(家康は)恨んだり憎んだりするのが苦手なんだろう」と正信は言うが、直政は戦がない世を作るのはそういうお方だ、とも。
そして、そんな家臣たちの柱となるのが酒井忠次(大森南朋)だ。
見事に勝利を収めた徳川軍は天下を獲ると盛り上がりを見せる。
総大将の織田信雄(浜野謙太)もご機嫌だ。
しかし、その中で浮かない顔をしている人物がいる。石川数正(松重豊)だ。
1度、秀吉に勝っただけ。秀吉がこのままで済ませるとは思えない、と。
秀吉のシーンは多くはないが、その表情が狂気じみていてゾッとする。
まだ「何か企んでいそうだ」と思わせてくれていたほうがいい。目が笑っていない、などではなく、一体どこを見ているのか分からない、と言った印象を受ける。
もしかしたら、この戦国の世で「天下を獲る」ということに一番己を狂わされているのは秀吉なのかもしれない、とふと思ったり。
勝利の喜びはつかの間、次回予告ではすでに不穏な空気しか流れていない。キーパーソンとなるのは数正だ。また、佐藤浩市演じる真田昌幸の姿もあった。昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観ていた者としては、つい期待が高まってしまうが……。
どちらにせよ、家康の受難はまだまだ続く。
(文:ふくだりょうこ)
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