「ばらかもん」6話:島暮らしで成長した半田(杉野遥亮)は「普通が一番」と言えるようになった
本記事では、第6話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「ばらかもん」6話レビュー
半田(杉野遥亮)が島に帰ってきた。半田の母・えみ(長野里美)はギリギリまで反対していたが、父・清明(遠藤憲一)の「離れることで息子が成長できるなら、それが一番じゃないか」と説得されたことで、ようやく折れる。島暮らしによって人間性も成長した半田を見て「成長したのは、書道だけじゃなかったんですね」としみじみ言う、えみの横顔は、ようやく子離れしかけている親の表情に見えた。半田の書展の結果は、圏外だった。川藤(中尾明慶)が言うように、「あいつが本当に書きたいものを書いた」結果だったが、半田の反応は上々。自分にとって必要な結果だった、と俯瞰でとらえられるようになった彼は「普通が一番」とまで言えるようになっており、確かに、書道以外の部分まで成長している。
清明が「ずっと一番をとってきたあいつにとって、失望する結果だったと思うか?」と言っていた。第三者からみれば、トップに居続けた若き才能がランキング入りさえ逃したのは、前途多難だと思うだろう。しかし、半田は笑った。もう、2位を取って血の底まで落ち込んでいた頃とは、違う。
半田が島に帰ってきてまもなく、野村ヤス(鷲尾真知子)通称:ヤスばが亡くなった。半田にとって、ヤスばとのやりとりは数えるほどだったかもしれないが、餅まきの際にもらった言葉は半田の心に残っている。
ライバルに打ち勝つことだけを考えるのではなく、いったんは順番を譲り、自分はいつかやってくるであろう“さらに大きな餅=チャンス”を狙う……。ヤスばに教えてもらった心構えだ。このアドバイスは、確実に半田の成長に繋がっている。
半田は、彼女からはもらうばかりで、何ひとつ返せていないと言った。しかし、寂しがりのヤスばは、きっと傍で見ている。半田が旗に書きつけた村人たちの名前を。そして、それらが風にたなびく大名行列の様子を。
ヤスばと一緒にいられた時間は短いが、これからも、島民たちのなかに残っているヤスばと過ごしたいと思う、と言える半田。そして、ヤスばが「笑った顔がいっちゃん好き」と言ったから、葬式でも泣かずに笑顔でいた、なる(宮崎莉里沙)。
きっと、どちらも強くて、時に弱い。成長したかと思えば、自分のことが嫌になるくらい失敗する日もあるだろう。しかし、一人じゃないと思える事実そのものが、驚くほど心を救ってくれることがある。島に帰ってきた半田は、これからも島民たちと笑い、ぶつかり合いながら、自分の字と向き合っていく。
(文:北村有)
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