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2023年09月06日

「ばらかもん」9話:半田(杉野遥亮)となる(宮崎莉里沙)、20年後も一緒に動物園へ行ってほしい

「ばらかもん」9話:半田(杉野遥亮)となる(宮崎莉里沙)、20年後も一緒に動物園へ行ってほしい

杉野遥亮主演の“水10”ドラマ「ばらかもん」が2023年7月12日放送スタート。GP帯連ドラ初主演となる杉野遥亮が、長崎・五島列島で島民たちと交流し心を開いていく若き書道家・半田清舟を演じる。同名原作漫画も大人気で、いかにハートフルな世界観を体現できるか注目されている。

本記事では、第9話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「ばらかもん」9話レビュー

父・清明(遠藤憲一)の仕事を手伝うため、一時的に東京へ戻った半田(杉野遥亮)。「なんでもいうこときくけん」を発動し、なる(宮崎莉里沙)も一緒についてきた。ともに買い物をしたり、動物園へ行ったりと、今回はとくに微笑ましいシーンが続く。この二人には、20年後も一緒に動物園へ行ってもらいたい。ホワイトタイガーを見て喜んだ思い出話をしてほしい。

なるの遊び相手はそこそこに、父の仕事をその目で見ながら、自身の将来について考える半田。島の若者たちはそれぞれ、浩志(綱啓永)は料理人になる夢を、珠子(近藤華)は漫画家になる夢を、美和(豊嶋花)は家業を継ぐ将来(?)を視野に入れている。

半田が悩む姿を見ながら、視聴者それぞれが、各々の立場で自身を省みるだろう。自分は何者なのか。自分には何ができるのか。そもそも、何がしたいのか。

書道家として書と向き合いながら、半田はたびたび、壁にぶつかってきた。その壁はほとんどが、父によってつくられたものだった。書道家としての道を歩むということは、偉大な書道家である父と否応なしに比べられ続ける、ということ。自分にとっての「書」とは何かを突き詰める前に、半田は、「親父みたいには無理だ」と思ってしまっている

なるを含め、島に住む人たちは全員が半田を「先生」と呼ぶ。

なぜ、彼らはなんの疑問も持たず、なんのためらいもなく「先生」と呼ぶのか。

こう言ってはなんだけれど、きっと、彼らに深い意図はない。書道の先生だから。えらい書道の先生の息子だから。書道が上手だから。みんなが「先生」と呼ぶから。それでも、いつだって突破口は、当たり前と思われていた穴をさらに深く掘り進めたところにあるものだ。

「お前にとって、俺はなんの先生なんだ? 俺はなんなんだ?」

半田は、なるにそう訊ねた。捉え方によっては、とんでもなく哲学的な問いかけだ。なるは小学生らしく悩み、そして実にシンプルにこう答える。「半田先生は半田先生! それ以外は思いつかないな」と。

年齢を重ねるごとに、ただそこに“在り続ける”ことができなくなるのは、なぜだろう。学校を卒業し、仕事をし、人によっては結婚したり家族をつくったりする。そのたびに増えていく“肩書き”は、ときに力をくれるが、ときに足枷にもなる。いま立っている場所が正解なのか、進もうとしている方向は合っているのか、わからなくなる。

なるの答えは簡単だった。気軽にポンと与えられた回答は、半田の心までシンプルに整える。

島に戻るか、東京に帰って本格的に書道家になる勉強に励むか。選択を迫られた半田は、父に向かってはっきりと言った。「俺、書道家やめます」……。

肩書きを捨てた半田は、この先、どこに向かうのだろう。

(文:北村有)

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