【『ゴジラ-1.0』興行収入】『シン・ゴジラ』越えのスタートで今後はどうなる?
10月18日(水)のプレミア上映、11月1日(水)の東京国際映画祭クロージング上映を経て、『ゴジラ-1.0』(ゴジラマイナスワン)が11月3日(金)に遂に公開されました。
この11月3日という日付は1954年に1作目の『ゴジラ』が公開された“ゴジラの日”でもあり、『ゴジラ-1.0』は怪獣王ゴジラの生誕70周年記念作品&邦画実写シリーズ通算30作目というWメモリアルな作品でもあります。
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映画『ゴジラ-1.0』は……
『ゴジラ-1.0』のメガホンを取ったのは『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0』『アルキメデスの大戦』などのヒット作を手掛けてきた山崎貴監督。『寄生獣』シリーズを見ても分かる通り、日本を代表するVFXの達人でもあります。
肝心の『ゴジラ-1.0』の物語については、シリーズで最も古い(『ゴジラ』は1954年が舞台)時代設定が大きな特徴でしょう。敗戦で“0”になった日本をゴジラが襲うことで負(マイナス)になるというわけです。
終戦直後、防衛力はもちろん政府機能も大きく制限されている中で、限られた民間の力だけで体長50メートルを超える怪獣ゴジラに挑むことになります。
これは、当時(2016年)の最新の科学と官・民・財を投入してゴジラに挑んだ、実写邦画ゴジラとしては前作にあたる『シン・ゴジラ』の後を受けて、対照的な作品を作って来たという見方が正しいのではないかと思います。
メインの2人には、特攻隊の生き残り・敷島に神木隆之介、戦後を生き抜く典子には浜辺美波という朝ドラ「らんまん」コンビがキャスティングされました。(放映は朝ドラが先になりましたが、キャスティングと撮影自体は『ゴジラ-1.0』の方が先のようです)
山崎貴監督作品ではおなじみとなりつつある吉岡秀隆に加えて安藤サクラ・山田裕貴・青木崇高・佐々木蔵之介という実力派キャストが揃いました。
今作のゴジラは『シン・ゴジラ』のゴジラ(第4形態)の半分以下の体長とはいえ、時代設定が終戦直後ということで、高層建築とは無縁の世界。そんな街並みの事情もあって市街地にゴジラが現れたときの圧迫感は『シン・ゴジラ』に引けを取りません。
しかも、50メートルという大きさは“人間の小ささ”を感じさせるのに最適な大きさでもあります。絶妙に“どうしようもない”空気感を生み出しています。こういった設定もあって結果として『ゴジラ-1.0』は“人間の手には余る絶望感”を漂わせた映画となりました。
〈ミニ特集〉実写邦画興行収入TOP10は?
近年、1本の映画が興行収入100億円を超え始めると一般ニュースにも取り上げられるようになりましたが、具体的に日本でヒットした上位100作品は興行通信社のHPで見ることができます。
この歴代興行収入ランキング100から邦画実写を抜き出すと以下のようになります。
- 2003年『踊る大捜査線THE MOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ!』173.5億円
- 1983年『南極物語』110億円
- 1998年『踊る大捜査線THEMOVIE』101億円
- 1986年『子猫物語』98億円
- 2018年『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ-緊急救命-』93億円
- 1990年『天と地と』92億円
- 2013年『永遠の0』87.6億円
- 2009年『ROOKIES-卒業-』85.5億円
- 2004年『世界の中心で、愛をさけぶ』85億円
- 2016年『シン・ゴジラ』82.5億円
- 1988年『敦煌』82億円
- 2007年『HERO』(1作目)81.5億円
- 2010年『THE LAST MESSAGE 海猿』80.4億円
- 2008年『花より男子ファイナル』77.5億円
- 2012年『BRAVE HEARTS 海猿』73.3億円
- 2010年『踊る大捜査線THE MOVIE3ヤツらを解放せよ!』73.1億円
参考:「歴代ランキング」CINEMAランキング通信
これを見ると『踊る大捜査線』シリーズの強さを感じる一方で、「テレビドラマの映画化はヒットする」という説も“なくはないもののそれほどでもない”ことも分かりますね。
また、リバイバル上映による上積みで『ONE PIECE FILM RED』が興行収入200億円を突破しましたが、興行収入200億円を超えた実写邦画はまだありません。
ハリウッド実写まで広げると『タイタニック』と『ハリー・ポッターと賢者の石』が200億円を超えています。あとは鬼滅・ジブリ・新海誠といったおなじみの強力ブランドが並びます。
ピックアップした中でもっとも新しい邦画実写作品は『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ-緊急救命-』で、そこに『シン・ゴジラ』『永遠の0』が続きます。山崎貴監督作品で“ゴジラの新作”ということで、欲を言えばこの辺りの数字をあげてほしいところです。
特に『シン・ゴジラ』のヒットは「ゴジラ映画」「(怪獣)特撮映画」の中でも抜きん出た数字で、一つの“ブレイクスルー”となりました。
『シン・ゴジラ』は創作面だけでなくビジネス面でも“ゴジラ映画”の可能性を大きく拡げた1本であるため、その後を受ける『ゴジラ-1.0』も「『シン・ゴジラ』以前のゴジラ映画」の状況に落ち着くわけにはいきません。(ちなみに『シン・ゴジラ』の前の邦画実写ゴジラ映画である『ゴジラ FINAL WARS』の興行収入は12.6億円でした)
いよいよ『ゴジラ-1.0』劇場公開!
そして11月3日(金)、満を持して『ゴジラ-1.0』が劇場公開されました。
メジャー作品が金曜日初日になって久しいですが、金曜日は週末ではあるものの平日のため動員については穏やかな印象があります。
熱心なファンが初日の朝の早い回に駆け付けるパターンはありますが、昼間の回は席が空いているときがあります。仕事帰りに間に合いやすい夜の回は埋まったりしますが、それでも金曜日が混むときはよほどの“お祭り映画”でない限りレアケースです。しかし、11月3日は文化の日で祝日ということで土日と同じパフォーマンスが期待できます。
そんな中、私は公開初日に大ヒット作の震源地とし定着してきたTOHOシネマズ新宿の様子を覗いてきました。
チケットはネット購入が主流になっているため、流石にチケット売り場に長蛇の列ができていることはありませんでしたが、入場口の人の集まり具合(実際に各回、満席に近かったです)は久しぶりに見た混み具合でした。
そして、最近の大きな目安になるのがグッズ売り場の状況。オンライン販売もありますが、作品関連グッズは鑑賞後の熱量が消費に繋がりやすく、映画館も力を入れています。
『ゴジラ-1.0』もまた多くのオリジナルグッズを展開していて、人だかりができていました。ちなみにチラシラックには話題作の新チラシや新バージョンのチラシが多く出ていました。これもまた映画のヒットを予見した指数になりがちです。
『シン・ゴジラ』越えのロケットスタート!!
『シン・ゴジラ』のオープニングは2日間で興行収入6.2億円、観客動員41.2万人です。さらに山﨑監督最大のヒット作の『永遠の0』は2日間で5.4億円、観客動員42.9万人となっています(3日間で興行収入7.8億円)。
これに対して『ゴジラ-1.0』は全国522館にて封切られ、3日間成績は観客動員64万8577人、興行収入10億4119万3460円というロケットスタートとなりました。(初日の11月3日は興行収入4億5234万5250円・観客動員28万4328人、土曜日の11月4日は興行収入3億1724万9990円・観客動員19万5770人、日曜日の11月5日は興行収入2億7159万8220円・観客動員16万8479人)
発表では『シン・ゴジラ』の公開初日から3日間の数字との対比では、観客動員対比で114.7%、興行収入対比で122.8%、となり、『シン・ゴジラ』を上回りました(『永遠の0』興行収入対比133%でした)。
ここから見れば興収50億円超えは確実で『キングダム 運命の炎』を抜いて、今年の邦画実写最大のヒットになる可能性も出てきました。近年でも初動で10億円を超えてきた作品は100億円まで行く映画もあるので、大きな一歩と言えるでしょう。
ラージフォーマットでも展開される11月10日(金)公開の『マーベルズ』を過ぎると、“大画面勝負”も映画はしばらく出てこないので、『ゴジラ-1.0』には有利な状況が続きます。
また12月1日(金)から北米での公開も決まっており、公開後も話題が豊富でSNS上では基本的に好意的な感想が大半を占めているため、日本では2週目以降も分厚い興行が展開されるかと思われます。
日米、双方でどのくらいの数字を積み上げることになるか楽しみです。
(文:村松健太郎)
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