(C)2023「なのに、千輝くんが甘すぎる。」製作委員会 (C)亜南くじら/講談社

胸キュン映画ウォッチャーおすすめ!「キラキラ映画」5選


クリスマス一色の街。輝くイルミネーションに照らし出されたカップルの表情を見て、何を感じるだろう。微笑ましさや羨ましさ、あるいは「自分たちにも人目を憚らず幸せオーラを振りまいていた時代があったな」と懐かしさを感じるかもしれない。

クリスマスにどのような感情を抱くかはさておき。クリスマス映画だけではなく、ここはあえて胸がキュンキュンするような世界に飛びこんでみてはいかがだろう。悶えるも良し、ツッコミを入れるも良し。

今回は胸キュン映画ウォッチャーの筆者がおすすめする「キラキラ映画」5作をご紹介していこう。

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1:『なのに、千輝くんが甘すぎる。』

■「片想いごっこ」から始まる恋

(C)2023「なのに、千輝くんが甘すぎる。」製作委員会 (C)亜南くじら/講談社

2023年3月に公開された『なのに、千輝くんが甘すぎる。』は亜南くじらの同名人気コミックを原作にした作品。

なにわ男子・高橋恭平がタイトルロールの「千輝くん(ちぎらくん/通称:ちぎちぎ)」役で映画初主演を飾り、千輝くんとピュアっピュアな青春を繰り広げるヒロイン・真綾役にはアイドルグループのメンバーとして活動した経験も持つ畑芽育が起用されている。

(C)2023「なのに、千輝くんが甘すぎる。」製作委員会 (C)亜南くじら/講談社

キラキラ映画といえば、学校内のちょっとした出会いから始まる「おもしれー女」パターンが王道。一方本作はヒロインであるはずの真綾が意中の人にいきなり振られてしまい、意気消沈しているところに学校イチのモテ男子・千輝くんから「好きな人を無理に探すくらいなら俺に片想いすれば?」と提案される。

うん、どういうことだってばよ。かくして真綾→千輝くんへの「片想いごっこ」が始まるが、ごっこには「ふたりだけの秘密」「絶対に本気で好きにならないこと」といったルールも。

(C)2023「なのに、千輝くんが甘すぎる。」製作委員会 (C)亜南くじら/講談社

片想いごっこ…… とは? といったところだが、要は片想いするフリをして幸せな気持ちで過ごしてほしいという千輝くんなりの「優しさ」だ。そんな千輝くんにやっぱりというか案の定惹かれていく真綾も、その過程が逐一「ザ・青春」ド真ん中。一喜一憂する真綾のヒロインぶりはキラキラ映画史に残るといっても過言ではない。

そして本作、何気に前半と後半で脚本・演出が上手くリンクしている点もお見逃しなく。

▶︎『なのに、千輝くんが甘すぎる。』を観る

2:『交換ウソ日記』

■こんなキラキラ映画があってもいいじゃない

©2023「交換ウソ日記」製作委員会

『なのに、千輝くんが甘すぎる。』がミルクシェイクのように激甘な「ごっこ」なら、『交換ウソ日記』はちょっとビターなチョコレートのような「ウソ」がテーマにある。

高橋文哉と桜田ひよりが共演した本作は、櫻いいよの青春恋愛小説が原作。竹村謙太郎が映画初監督を務め、『PとJK』『ハニーレモンソーダ』から『純平、考え直せ』『彼女』まで振り幅の広いストーリーテリングを見せる吉川菜美が脚本を担当した。

©2023「交換ウソ日記」製作委員会

物語は桜田演じる希美がラブレターを手にしたことから動き出す。差し出し人は学校一番の人気者・瀬戸山(高橋)。ところが手紙は希美ではなく彼女の親友・江里乃に宛てたもので、希美は人違いだと明かせないまま瀬戸山と交換日記を続けることになる。観ているこちらはもうね、ヒヤヒヤものですよ。

なんだよくある話か、と油断してはいけない。たとえば希美は心情ダダ漏れ系の不器用ヒロインながら、ヘドバンもこなす大のヘヴィロック好き(愛聴盤はマキシマム ザ ホルモン)というギャップのあるキャラ。

©2023「交換ウソ日記」製作委員会

瀬戸山くんもクールキャラと見せかけて実は……な仕掛けがあり、その要素が結実するまさかのクライマックスは従来のキラキラ映画では感じられない魅力にあふれている。

▶︎『交換ウソ日記』を観る

3:『ラブ★コン』

■鈴木おさむ印の凸凹漫才感


ダメな私に恋してください』や実写映画化が記憶に新しい『おとななじみ』などで有名な中原アヤの人気少女マンガを原作に、『ラブ★コン』が公開されたのはいまから17年も前のこと(原作連載スタートに至ってはもう22年前になる)。それでも「少女マンガといえば」と聞かれて本作を挙げる人も多く(筆者だ)、時代を超えて愛され続ける作品といえるだろう。

『ラブ★コン』の「コン」とはコンプレックスの略であり、本作は高校生にして170cm超えの高身長で「デカ女」と呼ばれる小泉リサと、低身長でリサに「チビ」呼ばわりされている大谷敦士の凸凹コンビが主人公。

コンプレックスを抱える者同士ときには悪口も飛び出すが、これが不思議と趣味も会話も息ぴったりでお互いに憎みきれない。むしろ大谷といることに居心地の良さを感じるリサは、徐々に大谷に惹かれていき──というストーリー。

藤澤恵麻と小池徹平がリサと大谷に扮した本作、いまでこそ馴染みのある「キュン死に」という言葉を世に広めたほどとにかくポップな青春のトキメキが満ち溢れている。

鈴木おさむが脚本を担当しているとあってリサ&大谷の夫婦漫才感が際立ち、谷原章介や寺島進、田中要次、超チョイ役のウエンツ瑛士も原作を拡大解釈したキャラで笑わせにくる。出演者がみな楽しんで演じているのが手に取るようにわかるので、観ているだけでほっこりすること間違いナシ。

▶︎『ラブ★コン』を観る

4:『好きっていいなよ。』

■チュッチュ、チュッチュ

(C)2014「好きっていいなよ。」製作委員会

葉月かなえ原作の『好きっていいなよ。』は筆者がまだ今ほどのキラキラ映画ウォッチャーではなかった頃、女子高生ら若い女性客に囲まれ完全アウェイの状況でぼっち劇場鑑賞した思い出の作品。

それでも劇中の高校生男女が織りなす恋愛模様にハマり、劇場で2回鑑賞していたりもする。劇場を後にして既刊の原作コミックスを一気に揃え、のちにイラスト集も含め全巻コンプリートに至ったあの日々が懐かしい。

などと思い出語りはさておき、本作はいわゆる「おもしれー女」から始まる恋愛青春映画だ。主人公の橘めいはヒロインらしからぬ周囲と深く関わりを持とうとしないタイプだが、学校イチのモテ男・黒沢大和の優しさと人柄に触れてからは徐々に変化を見せ始める。



ストーリーのテンポも早くふたりは晴れてカップルになるのだが、めいの性格上「明るくハッピー!」といった雰囲気は抑えられ、思春期の揺れる乙女心の複雑さを垣間見せる。

主人公のめいを川口春奈、大和を福士蒼汰が演じており、気の強さと精神的な脆さを併せ持つめいの繊細なキャラを体現した川口はさすがと言ったところか。そんなめいを優しく包みこむ大和=福士の包容力も本作の魅力だろう。

必要以上にふたりのキスシーンが多く少々小っ恥ずかしい気持ちにもなるが、それ以上に川口と福士のバランス感とふたりが作り上げる世界観が愛おしい。

▶︎『好きっていいなよ。』を観る

5:『ヒロイン失格』

■桐谷美玲、大いにハジケる

(C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

2015年9月に公開された『ヒロイン失格』は、幸田もも子の同名人気マンガを原作にどこまでもまっすぐな体当たり系ヒロイン・はとりを主人公にしたラブコメディ。

ハンサム★スーツ』や『トリガール!』などハイテンションコメディを得意とする英勉監督の手腕が存分に発揮されており、はとり役の桐谷美玲が捨て身ともいえるコメディエンヌぶりを発揮した。



本作のストーリー自体は王道中の王道で、幼馴染のクール男子・利太に恋するはとりの暴走や、学校一のモテ男・弘光からのアプローチによって生じる三角関係が描かれている。とはいえ前述のとおり桐谷のハジケぶりが凄まじく、劇中では本業のモデルらしからぬ坊主姿も披露。はとりというキャラクターがストーリーそのものを食う勢いで動き回るため、画面が停滞することがない

また利太役の山﨑賢人、弘光役の坂口健太郎、はとりの恋のライバル・安達役の我妻三輪子ら当時のフレッシュな顔ぶれも魅力。出番は短いながら、若手に負けじと「学食のオヤジ」を熱演する竹内力の存在感はさすがの一言だ。

コメディパートを押し出した紹介になってしまったが、クライマックスに待ち構えるドラマパートは舞台演出もあって意外に(?)感動的。青春映画音楽の名手・横山克が紡ぎ上げるメロディアスな劇伴にもぜひ耳を傾けてほしい。

▶︎『ヒロイン失格』を観る

まとめ

胸をときめかせるキラキラ映画は少女マンガ作品に限らず、『交換ウソ日記』のように恋愛小説を原作にしたものも多い。ここまでキラキラ映画・青春恋愛映画が製作される状況は、邦画ならではの魅力といえるのではないか。

山﨑賢人や川口春奈のように、のちの売れっ子俳優がメインキャストを務めていることも多々あるので、「キラキラ映画はちょっと」と食わず嫌いすることなくトライしてみてはいかがだろう。

そして── 思う存分キュンキュンするがいいさ!

(文:葦見川和哉)

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