(C)2023 映画「大名倒産」製作委員会 

<春休みの暇つぶしに>エンタメ感満載映画“5選”


新年度を迎える4月。短い春休みを利用して溜めていた映画やドラマを消費しようと考えている、あるいは既に実行しているという人は多いはず。何を観ればいいか迷うという場合は、来たる新生活に向けてテンションを高められる作品に触れてみてはいかがだろう。

そこで今回は、春休みの暇つぶしにぴったりかつ気分が高揚するエンタメ作品5タイトルをご紹介していこう。

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1:『大名倒産』

■豪華キャストが織り成す浅田次郎印の時代劇

(C)2023 映画「大名倒産」製作委員会 

子役時代から長いキャリアを持つ神木隆之介が、意外にも初めてちょんまげ姿で挑んだ痛快コメディ『大名倒産』。実写映画『るろうに剣心』シリーズの瀬田宗次郎役で時代劇には出演済みだが、なるほど確かにちょんまげビジュアルの神木は新鮮でもある。

しかし、のほほんとしてばかりもいられない。神木演じる越後・丹生山藩の小四郎は、父親の作兵衛から自身が徳川家康の血を引く大名の跡取りだと知らされる。

いきなり大出世を遂げた小四郎だが、待ち構えていたのは藩が抱える25万両(現在の100億円相当)もの借金。先代藩主・一狐斎から計画倒産するよう命じられるも、その裏には小四郎に責任を押しつけ、切腹させようという一狐斎の目論見が……。庶民から一国の殿様へ、そして100億返済or切腹という展開は人生ハードモードの極みだろう。

(C)2023 映画「大名倒産」製作委員会 

一方で、本作は借金返済のためにあの手この手の策を練る小四郎や家臣たちの姿をユーモラスに描いているところが面白い。杉咲花・松山ケンイチ・小日向文世・宮﨑あおい・浅野忠信・佐藤浩市ら共演者がとにかく豪華なので、各キャラクターの立ち回りにも注目してほしい。

またコメディ色が強い本作だが、練り込まれたストーリー展開も逸品。ただ笑わせる、ハラハラドキドキさせるだけではない、胸にグっと迫るものを確かに感じられる作品だ。

【インタビュー】30歳を迎えた神木隆之介が10代の頃の経験から心がけていること
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▶︎『大名倒産』を観る

2:『トムとジェリー』

■実写と融合してスケールアップ!

(C)2020 Warner Bros. All Rights Reserved.

ネコとネズミの大げんか、相性最悪のドタバタ劇といえば誰もが思い浮かべる往年の名作アニメ『トムとジェリー』。もはやアニメ史に残る傑作だが、まさか「長編アニメ化」でなければ「完全実写化」でもなく、「実写と融合」を果たすと誰が予測できただろう。

しかもそれが「大正解」の快作となったのだから、文句のつけようがない。誰もが一度は見てみたいと願った、トムとジェリーが現実の世界にいる風景が実現したのだ。

舞台はニューヨークのとある一流ホテル。セレブカップルの結婚式を控えているが、イタズラ好きのネズミ・ジェリーが“引っ越し”してきたことに支配人は頭を悩ませる。そんな中、ひょんなことからホテルスタッフに就いたケイラ(クロエ・グレース・モレッツ)はジェリー対策としてネコのトムをボーイとして雇う。

(C)2020 Warner Bros. All Rights Reserved.

……ハイ、これでお膳立てが整いました。トムとジェリーが揃って何も起きないはずがない。いや何かが起きても“何か”レベルでは済まない。トムとジェリーのバトルは実写の世界でさらにパワーアップしており、まさに破壊の連続。そのために舞台設定を一流ホテルにしたのかと勘繰りたくもなる。

いつものドタバタ劇に終わらず、ニューヨークを巻き込むスケール感や、あのトムとジェリーがタッグを組むという展開はまさに映画ならでは。家族揃って楽しめる1本だ。

▶︎映画『トムとジェリー』を観る

3:『ハンサン ―龍の出現―』

■これぞ「圧巻」のスケール!

(C)2022 LOTTE ENTERTAINMENT & BIGSTONE PICTURES CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED.

時は戦国時代末期。日本統一を成し遂げた豊臣秀吉は次に大陸の明国に狙いを定め、侵攻の足掛かりとして朝鮮半島に兵を差し向ける。

2度にわたっておこなわれた秀吉による朝鮮出兵、その内の「文禄の役」において繰り広げられた「閑山(ハンサン)島海戦」を朝鮮・秀吉軍両者の視点から描いた本作。

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ハンサン ―龍の出現―』というタイトルだけ見るとドラゴンが現れるスペクタクル映画かと勘違いしそうだが、スペクタクルはスペクタクルでも純粋な歴史スペクタクルだ。

本作でストーリーを牽引するのは、朝鮮側のイ・スンシン将軍と秀吉軍の武将・脇坂安治。水軍を率いるふたりの武人はともに智略に長けており、どちらも1歩も引かない頭脳戦が終始緊張感をもたらす。

(C)2022 LOTTE ENTERTAINMENT & BIGSTONE PICTURES CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED.

その面白さもさることながら、とにかく目を釘づけにされるのがたっぷり時間をかけた閑山島海戦の描写だ。「圧巻のスケール」とはまさにこのことだろう。

しかも単純にド派手な絵を見せるだけではない。スンシンと脇坂の1手も2手も先を読む戦略あってのフォーメーションなど、戦略のピースがパチリとハマった瞬間の高揚感も本作の大きな魅力。そして副題にある「龍」の活躍ぶりにもぜひご注目を。

▶︎『ハンサン ―龍の出現―』を観る

4:『アンビュランス』

■話はコンパクトでもやることはド派手

(C)2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

トランスフォーマー』シリーズの監督の座から離れ、いや離れる前から合間合間に「俺が本当に撮りたいのはコレだぜ」と言わんばかりの作品を放っている破壊大帝マイケル・ベイ。

「めちゃくちゃ規模のデカい大作映画を撮る監督」というイメージが強いが、デンマーク映画『25ミニッツ』をリメイクした『アンビュランス』は救急車を使った強盗犯たちの逃走劇という比較的コンパクトな作品だ。

物語の起点、つまり強盗犯の動機もわかりやすく、アフガニスタン帰りの元軍人・ウィルが「病気の妻の治療費を稼ぐため」に犯罪に手を染める。そもそもウィルを強盗計画に引き込んだのは血のつながらない兄・ダニーだが、弟を思う気持ちも強いため一概に悪いヤツとは言いきれない(頭のネジは数本抜け落ちているが)。

(C)2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

そんなふたりの関係性が、クライマックスに向かうにつれて顕著になっていくストーリーラインも魅力のひとつ。

しかしなんといっても、カーチェイスを撮らせたら右に出る者がいないマイケル・ベイ。ドローンを駆使して縦横の概念を取り払ったカメラワークは、さすがの臨場感というほかない。

またダニーとウィルを演じるジェイク・ギレンホールとヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ふたりの逃走に巻き込まれる救命員キャム役のエイザ・ゴンザレスの好演も見もの。

【独占ニュース】『アンビュランス』エイザ・ゴンザレスが時速100kmで走る救急車の中での演技を語る

▶︎『アンビュランス』を観る

5:『無敵のドラゴン』

■クライマックスで唖然茫然

(C)2019 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved

ウォン・カーウァイ監督作『グランド・マスター』で注目を浴び、『ドラゴン×マッハ!』の獄長役で日本でも知名度を上げたマックス・チャン。各作品を観てわかる通り、武術の腕は折り紙つきで『イップ・マン 継承』ではドニー・イェンを相手に互角の戦いを繰り広げている。

そんなマックス・チャンが主演作『無敵のドラゴン』で演じるのは、幼い頃に見た龍に憧れ、その姿をタトゥーにして体に入れた刑事ガウ・ロン。妻が連続女性警官殺人犯の手にかかり、同様の手口の事件が発生したマカオで捜査を開始する──という内容だ。

(C)2019 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved

マックス・チャンのアクションをたっぷり堪能できるという意味では必見の作品だが、実はなかなかこうばしい香港流トンデモ映画でもある。

ちょくちょく「えぇ~」とマ○オさん状態になるシーンを挟みつつ、アンデウソン・シウバとのクライマックスバトルでは、もはや声も出ない&開いた口が塞がらない超絶展開に。興を削ぐため敢えてその内容は伏せるが、仮に書いたとしても「なに言ってんだコイツ」としかならないだろう。

 (C)2019 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved

ただその後に公開された『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のクライマックスで同じような展開が描かれたことには驚かされた(『無敵のドラゴン』に比べたらまだ甘いが)。見せ場のひとつであるトラム内でのアクションも、既に『無敵のドラゴン』で描かれている。

つまり『シャン・チー』は『無敵のドラゴン』であり、『無敵のドラゴン』は世に出るのが早すぎた作品だといえる(そんなわけない)。

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▶︎『無敵のドラゴン』を観る

まとめ

春は別れと出会いの季節。満開の桜、散りゆく花びらを見て言葉にできないような感情が内からこみ上げてきたりもするだろう。今回セレクトした5作は、そんなセンチメンタルな気分をヨイショー!と吹き飛ばす娯楽作になっている。

「春関係ないのかよ」「そこは『弥生、三月-君を愛した30年-』とか『春に散る』とか、もっとこう、なんとかなっただろう」と言われそうだが、このように敢えてハズしていくのもまた一興。

観たいものを、観る時間がある時に(心の余裕もあるとなおよし)、じっくり楽しんでほしい。

(文:葦見川和哉)

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