インタビュー

インタビュー

2024年04月16日

河合優実・坂東龍汰が『RoOT / ルート』で示した「カッコいいものをつくる意思」

河合優実・坂東龍汰が『RoOT / ルート』で示した「カッコいいものをつくる意思」

誰ひとりネガティブなことを言わない、楽しくおもしろく「カッコいいドラマをつくる意思」にあふれた現場だったーーテレ東ほかで放送中のドラマ『RoOT / ルート』でW主演を務める河合優実・坂東龍汰は、撮影を振りかえりながら口を揃えた。

大人気アニメであり、舞台化もした『オッドタクシー』から派生した漫画「RoOT / ルート オブ オッドタクシー」で展開する探偵コンビ・玲奈と佐藤の奮闘劇を基にドラマオリジナルストーリーを描く本作。まずはお互いに、演じた役柄と自身との関係性について語ってもらった。

玲奈と佐藤は「ほとんど自分」


ーー『RoOT / ルート』で河合さんが演じたのは、愛嬌ゼロの先輩探偵・玲奈。そして坂東さんが演じたのは、玲奈の後輩であり凶運のポジティブ新人・佐藤です。凸凹感あるバディが魅力的ですが、それぞれどんな役柄だと解釈していますか?


河合優実(以下、河合):玲奈は、探偵事務所で働いている19歳の女の子なんですけど、クールで無愛想な反面、自分が信じたことには強い情熱を向けられる子です。自分が解明したいことのためだったらなんでもできる、そんな芯が一本とおっているキャラクター。

おそらくこれまで演じてきた役のなかで一番、玲奈の居方は自分に近いんです。喋り方だったり雰囲気だったり、お芝居の表出の仕方がほとんど自分だな、と。

坂東龍汰(以下、坂東):僕も、佐藤はいちばん自分に近い役だな、と思います。カメラがまわっていないときの優実ちゃんとの会話をそのまま維持して、シームレスに佐藤になれる感覚がありました。それはきっと、事務所が一緒で信頼感もある優実ちゃんが相手だったからだと思います。

佐藤は、後先考えずに行動して、玲奈に迷惑をかけちゃう暴れん坊くん。メインビジュアルにも書かれてあるとおり、凶運のポジティブ新人です。「カッコいいから!」っていう理由で探偵事務所に入った動機の浅いヤツですけど、このドラマを観る人にとって、佐藤というキャラクターが息抜きポイントになっていたらいいな、と。

ーー坂東さん自身も、ポジティブなタイプですか?

坂東:基本的にめちゃくちゃポジティブなので、佐藤と似ていると思います! 何かに没頭すると周りが見えなくなっちゃうところも似ていますね。僕も学生時代は、やりたいことに熱中して気づいたら朝だった、なんてこともあったので。

素の自分が芝居にも活きる


ーーお二人は事務所が一緒で、これまで共演経験もありますよね。


河合:お互いがどういう人間か、お芝居の空気感はもちろん、坂東くんがお喋り好きなこともわかっていたので(笑)、現場に入る前から楽しめることがわかっていました。実際に撮影に入ったあとも、ずっと楽しくて。

撮影の空き時間も、坂東くんと楽しく話しているつもりだったんですけど……。マネージャーさんが撮ってくれた写真を見たら、もしかしたら認識が違ったのかも? って。

坂東:え、待って待って、どんな写真?

河合:私が真顔で前を向いている横で、坂東くんが一生懸命ジェスチャー付きで何かを熱弁している写真。

坂東:それはマネージャーさん、悪意あるよね!?(笑)

河合:あるかも(笑)。その写真を見たときは、自分が思っていた現場の様子とちょっと違ったのかも、と思っちゃったんですけど。でも、私としてはすごく楽しく、やりやすい現場でした。


ーー機会があれば、いつかその写真も拝見したいです……! お互いに、現場での過ごし方を見て学んだことはありますか?

坂東:優実ちゃんの、違和感を違和感のまま終わらせない姿勢を見て、あらためてすごいなと思いました。

今回は本格ミステリードラマということもあって、少しでも「繋がりがわかりにくいかも」と思ったら、ちゃんと監督や僕に確認していたんです。何月何日にこういうことがあった、っていう細部まで、辻褄が合うように台本に書き出していて。途中から僕に聞いてきてくれなくなったので、寂しかったんですけど……。

河合:ごめん、無自覚だった……。私としては最初から最後まで、坂東くんと話し合いながら進めているつもりでした。

坂東:途中から僕の話を聞かなくなったでしょ! それはマネージャーさんの携帯に、ちゃんと証拠写真が残ってますから(笑)。

河合:本当にそんなつもりなかったの(笑)。

私も坂東くんの、お芝居に対する能動的な姿勢を尊敬しています。お芝居をするうえでどう仕掛けるか、またはどう受けるか。指示待ちではなく、しっかり自分でシーンを動かそうとしている姿は、坂東くんの素の状態とも地続きに繋がっているものだな、と感じていました。坂東くんの人間性が、お芝居にも良い影響を与えているんだな、と。

坂東龍汰にとって、河合優実は「共通言語が多い」


ーーお互いに信頼しているからこそ、玲奈と佐藤のバディ感がナチュラルに伝わってくるのかな、と感じました。


河合:坂東くんのことは、撮影に入る前から人としても俳優としても知っていたので、一緒にW主演ができるのは嬉しかったです。一緒に重荷を担いでくれる安心感というか。坂東くんはほんとうに誰とでも仲良くなれる人懐っこさがあるし。

坂東:よく犬みたいって言われる。

河合:「ハートがピュアじゃない人は見抜ける」って話もしていたよね。坂東くんと話していると、本当にそうなんだろうな、と思う。観察眼がずば抜けている、というか。


坂東:北海道のド田舎で育ったからか、いまだに都会に染まっていないタイプだと思う。「一緒にいて心地良い人と過ごしたい」って気持ちが幼少期からあるから、ピュアな人に寄っていきがちなのかも。

ーー坂東さんにとって、河合さんはピュアな存在ですか?

坂東:最初に会ったころから、そう感じてました! 僕と同じ共通言語があるというか、同じものに感動できる人生を送ってきた人なんだろうな、と。

作品をつくりやすい雰囲気を保つために、必要なこと


ーーすごく楽しい撮影現場だったことが伝わってきます。あえてムードメーカーを挙げるとしたら?


坂東:僕が思うムードメーカーは優実ちゃんです。優実ちゃんのナチュラルな空気感のおかげで、その場にいるキャストもスタッフも、変に気を張らなくていいんだってリラックスできていたと思います。優実ちゃんがいてくれるだけでその場の空気ができあがるというか。

ーーお二人にとって「作品を作りやすい現場の雰囲気を保つため」に、一番大事なことって何でしょうか?

坂東:やっぱり「楽しむ」こと。つまらないと思いながら演じていると、ほんとうにつまらない作品になっちゃう気がします。「これはおもしろい作品だ!」と最後まで信じてやり切る、とくに真ん中に立つ人間が。それで言うと、この『RoOT / ルート』は全キャスト・スタッフがおもしろがっているのが伝わってくる現場でした。

河合:楽しそうでした、みんな。お仕事でやっている感覚があんまりなくて。好きでつくっている感じがありました。

坂東:伝わってきたよね。撮影が遅くまで伸びた日も、「眠い」とか「寒い」とか、ネガティブな声が聞こえてこなかった。僕はもちろん、みんな楽しそうだったし、それが映像にも出ているな、と思います。

河合:あと、同じ『オッドタクシー』の世界観を共有できている感覚も強くありました。強固に、緻密につくりあげられた共通のイメージをみんなが持っているから、生身の人間が自由に演じても成立している。アニメのキャラクターや設定をなぞることを最優先にしているわけではなかったのに、全員が同じ空気をまとえているのがすごいな、と。

本格ミステリードラマの“裏側”


ーーさきほど、ミステリードラマだからこそ細部まで話し合いながら進めた、というお話がありましたが、1〜2話の範囲で「とくにここは慎重に進めた」と思われるシーンはありますか?


坂東:玲奈と佐藤が、とあるビルの看板を見ながら、そこに書かれている「株式会社グレードッグ」っていう会社名について話すシーンがあるんです。たしかそのシーンが、初めて二人でちゃんと話し合った部分だった気がする。

河合:そうかも。辻褄が合うように、情報を整理するような会話をよくしていたんですけど、そのシーンが始まりだったかもしれない。

坂東:玲奈が「このグレードッグってなんだ?」って言って、佐藤がスマートフォンで調べて、芸能事務所だってことがわかるシーン。最初は台本になかったやりとりなんですけど、果たしてこの社名だけで「芸能事務所だ!」って読み取れないよね、と話して。後から追加してもらいました。

河合:本当に、そういうちょっとしたシーンがたくさんあるよね。

坂東:台本を読んだだけじゃわからないことが、現場に行って初めてわかることも多くて。「このシーン大丈夫かな、観てくれる人に伝わるかな」って、ミステリーとしての辻褄を合わせるような話し合いをたくさんしたよね。

河合:確かに、お互いのお芝居についての話し合いはあまりしなかったかも。



ーー1〜2話において、実は裏側でこういうことがありました!という撮影裏エピソードはありますか?

河合:1話の冒頭で、玲奈と佐藤が車内で待機しながら、不倫疑惑の銀行員の証拠写真を撮ろうとするシーンがあるんです。そこで、慌てた佐藤がお尻でクラクションを鳴らしちゃうんですけど。

坂東:ああ、あったねあったね!

河合:なんとか上手く鳴るように試行錯誤してたんですけど、坂東くんの身体能力で「僕、お尻で鳴らせますよ!」って。

ーー後から音を足したわけではなかったんですね。

坂東:あれ、リアルな音なんですよ。そのシーンで言ったら、僕らが乗った車がバッサバッサ揺れてるのもおもしろかったなあ。実際に車のなかで騒ぎながら撮影しているから、あらためて映像で観たときもけっこう揺れてて。

河合:助監督さんが車のなかに入って、動いて揺らしてたんだよね、人力で。

坂東:そうそう! モニター見ながら爆笑してた! 「こんなに俺ら動いてた!?」って(笑)。そういった細かいところまで、こだわってつくっているので、いろいろ想像しながら観てもらえたら嬉しいですね。

「カッコいいものをつくる」意思が感じられるドラマ


ーーあらためて、ドラマ『RoOT / ルート』の魅力やアピールポイントについて教えてください。


坂東:初めて本編を観させてもらったとき、僕は良い意味で裏切られたんです。現場で撮影していたものとは、またちょっと違うレベルの作品に仕上がっていて。映像の繋ぎ方だったり、音の当てはめ方だったり、より素敵に編集してもらえました。

セリフの聞こえ方ひとつとっても、こういったトーンのお芝居が深夜ドラマで観られるって、なかなか新しい試みなんじゃないかと。優実ちゃんも、新鮮な気持ちで観られなかった?

河合:新鮮だった! 連続ドラマではあるけど、撮影と放送が並行していないのが贅沢だな、と思いました。撮りきった映像を一から編集する時間があるって、けっこう大きいことなんじゃないか、と。

坂東:確かに、それは大きいかもしれない。連続ドラマの現場ってスケジュールがタイトで大変なイメージがあるけど、『RoOT』は監督の手によってじっくり熟成された感じがする。

河合:深夜24時30分の放送ですが、私だったらリアルタイムで観たいと思える作品になっています。仕事を終えて帰ってきて、お風呂に入って一息ついたときに、テレビでこのドラマを観る。けっこう良い時間になるんじゃないかな。

坂東:わかるわ〜! アニメ『オッドタクシー』を知らない人でも世界観に入り込める、一つのドラマとしておもしろい仕上がりになっていると思います!

本格的なミステリードラマとして楽しめるよう設計されていますし、映像へのこだわりも、キャストやスタッフによる愛も、そして何より「カッコいいものをつくる」っていう意思が込められたドラマです。リアルタイムで観られない地域の方は、ぜひ配信で観てほしいです。

(ヘアメイク=上川タカエ<河合>、南郁弥<坂東>/スタイリスト=杉本学子<河合>、李靖華<坂東>/撮影=渡会春加/取材・文=北村有)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)RoOT製作委員会

RANKING

SPONSORD

PICK UP!