汚職警官VSアルバニア系ギャング!“ゲスの極み男”たちの狂宴『ハイエナ』

(C)Hyena Film Productions Limited / The British Film Institute / Channel Four Television Corporation 2014 

梅雨の時期に入ってきましたね……。

昔『雨が好き』なんて映画もあったりしましたが、まあ、でも、基本的にはジメジメジトジトしたものとは無縁でありたいもの!?

でも、どうせ鬱陶しい時期をやりすごさねばならないのなら、いっそ映画も思い切りイヤ~ンな結末を迎えるバッドエンド的なものを好んで見るというのも一興かもしれません!?

表は成績優秀、裏は悪徳警官
そして極悪非道ギャング

今回ご紹介する『ハイエナ』は、汚職警官と極悪非道なギャングとの熾烈な闘いをスリラー・タッチで描いたヴァイオレンス・アクション映画です。

舞台はイギリスのロンドン。野性的な勘で多くの犯罪者を逮捕してきた名うての警官マイケル(ピーター・フェルディンナンド)は、実は裏で犯人から押収した麻薬や金品を横領しては荒稼ぎし、自らもドラッグまみれという、悪徳な日々を送っていました。

上層部はそんな彼の扱いに悩まされてはいるのですが、犯罪者逮捕の実績だけはズバ抜けているだけに、何も言い出せない始末。

ところが、アルバニア(ギリシャのちょっと上ですね)系ギャングがロンドンに進出してきたことから、状況は一変します。

マイケルはいつものようにギャング連中に接近し、持ちつ持たれつの関係を築こうとするのですが、敵もさるもので、マイケルの立場も危ういものになっていきます……。

タイトルの『ハイエナ』が象徴するかのように、ここにはハイエナのような輩しか登場してきません。

優秀な警官なのに、その実ゲス!

(現在劇場公開中の日本映画『孤狼の血』で役所広司扮する主人公刑事をちょっと彷彿させるものもありますね。まあ、悪徳刑事ものは昔から多数作られてはいますけど)

しかし、そんなゲス警官のさらに上をいくアルベニア・ギャング連中の、これがまたゲスの極み!

要するにこの作品、「ゲスの極み男」たちの熾烈な生存抗争を描いたものなのですが、そのタッチがどことなくホラー・スリラー風なのがミソで、見ていて次第に背筋が凍りついていくような思いに囚われていくのです。

途中、見た目もさながら、精神的にもかなり追い詰められがちな残虐なシーンも用意されていますので、そのあたりはお覚悟のほどを。

モヤっとした想い、イヤ~ンな想い
それもまた映画の醍醐味のひとつ!?

そしてラストですが……まあ、ここは見る人によって絶対に賛否分かれることでしょう。

少なくとも気持ちの良いものではありません。

どこかしらモヤッとした情緒に包まれてしまうこと必至。

でも、怖いもの見たさではありませんが、人間って心の奥底でそういった不穏なものに触れてみたいというものもどこかあったりするわけでして……(「いや、私にはそんなものはない!」などという清廉潔白な方には、どうかご勘弁を⁉)。

そういえば昔、テレビの洋画劇場で「いや~、映画って本当に良いものですね」をキャッチフレーズにしていた水野晴郎という人気映画評論家もいましたが、実のところ映画って本当に気持ちよくさせてくれる感動作ばかりではなく、悶々とワケのわからない終わり方で観客をけむに巻くものもあれば、極悪非道かつ残虐無比なラストでイヤ~ンな想いにさせるトラウマ映画みたいなものも確実に存在しています。
(最近のホラー映画も、そういった傾向が強いですね)

この『ハイエナ』もそういった1本であることに間違いはないでしょう。

本作は、そのダークさゆえにファンタスティック映画祭のメッカ「シッチェス映画祭」に出品され、喝采を浴びました。

悪徳の心の闇もまた“ファンタジー”ということなのでしょう。

[2018年6月8日現在、配信中のサービス]
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(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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