『ひまわり』レビュー:初公開から50周年を記念してリバイバルされた不滅の名画!

映画ファンを自認するなら
見ておくべき名作中の名作

一口に映画ファンと言っても、その嗜好などは千差万別なわけですが、それでも映画ファンを自認するのだれば最低限見ておくべき作品はいくつかあるかと思われます。

『ひまわり』もその中に絶対含まれてしかるべき作品でしょう。

本作は簡単に言ってしまえば悲恋メロドラマですが、そのジャンルの中でも最高峰といっても過言ではないほどの美しさと哀しみの双方を讃えた真の名作ではないかと思われます。

まずはソフィア・ローレン&マルチェロ・マストロヤンニという『昨日・今日・明日』(63)『ああ結婚』(64)でも共演したイタリア映画界を代表する映画スターによる究極のコンビネーション。

またこの2作品を監督したのが、本作のヴィットリオ・デ・シーカ監督であり、彼もまた戦後のイタリア映画界で勃興する映画運動=ネオレアリズモの名手で、『靴みがき』(46)や『自転車泥棒』(48)『ミラノの奇跡』(51)など代表作多数。

特にデ・シーカ監督はソフィア・ローレンの明るく大らかな陽性の魅力を巧みに活かすことに長けており、逆にだからこそ悲劇の極致ともいえる『ひまわり』でも彼女の存在感を強く印象付けることも可能だったのでしょう。

おそらく本作は、ソフィア・ローレンが主演した映画の中で、もっとも世界的にもポピュラーな作品ではないかと思われます。

タイトルを見事に象徴する、地平線いっぱいにまでそびえるひまわり畑はヒロインの心情そのものを愛のスペクタクルと呼んでも過言ではないほどに引き立ててくれています。

そしてとどめをさすのが、悲しみの情緒をこれでもかと高らかに奏で上げるヘンリー・マンシーニの音楽で、本作を見たことがない人でも、この映画のテーマ曲を聴いたことがないという人はさぞ少ないことでしょう。

今回のリバイバルにおいては、初公開から50周年(何と、もう半世紀も経ってしまったのですね!)を記念してのHDレストア版でのお目見え。

銀幕の大画面で、あの壮大なるひまわり畑を堪能できる滅多にないチャンスを、くれぐれもお見逃しなきように!

(文:増當竜也)

※この記事は、劇場での鑑賞を必ずしも推奨するものではございません。みなさま各々のご判断で、ソフト販売/配信開始の後での鑑賞も併せてご検討ください。


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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