“永遠の平和”を願う『日本のいちばん長い日』公開初日舞台挨拶

実在の人物を演じるということ

トークセッションでは、役所さんが演じた阿南惟幾さんの実子・阿南惟正さんからの手紙が紹介されました。
「公私両面にわたり、役所広司さんがきっちりと演じてくださった」と役所さんへのお礼を伝える内容と、惟幾さんとの思い出などが綴られた手紙に、役所さんは「日本の未来を信じて戦争で戦った方々と戦争に終止符を打つことに奔走した方々が、今の日本を見て満足してくれているかわかりませんが、そういった人たちに自分たちが生かされているということは、この映画に出て実感しましたし、阿南さんのご子息が映画について語ってくださることについて、僕個人としてはとても感謝しています。実在の人物を演じるということは本当に怖いことで、不安でいっぱいなんですけれども、今回は合格点をもらったみたいでほっとしました」と話し、最後に笑顔を見せていました。

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さらに、山崎努さんが演じた鈴木貫太郎さんの孫・鈴木道子さんがゲストとして登壇しました。

終戦時13歳だったという鈴木さんは「山崎さんは祖父の役を名演技でやっていただき、感謝しています。今までも名優が演じていますが、どちらかというと枯れたおじいさん役を演じるのがうまい方たちでしたので、身内としては寂しさもありました。山崎さんは枯れたおじいさんではなく終戦をまとめる力のある首相を演じていたので本当にうれしく思っています」と山崎さんの演技を絶賛。
貫太郎さんの人柄について聞かれると「体格が大きいですが、人柄も泰然として大きくて温かい人でした。よく遊びにいってかわいがって頂きました」と懐かしそうに振り返っていました。

また、首相を引き受けたときは戦争を続行するつもりだったのか、という質問をされることがよくあるそうで「拝命して帰って来たときに、はっきりとバドリオになるぞと家族に言っていました。バドリオは連合軍に降伏したイタリアの首相で、その役を自ら買って出ると。なので、最初から戦争を収めるつもりでお受けしたと思います」と身内だからこそ知る真実も明らかに。
それを受けて本木さんは「日清・日露戦争で勝ちましたけども、勝利とともに感じた矛盾が胸の内にあったと思うんですね。その後、このようなお役目になって。貫太郎さんの辞世の言葉であります”永遠の平和”という言葉は非常にシンプルですけれども、きっとその言葉の中に深く、自分がこれまで生きてきた中での思いを込められたんだと思います」と貫太郎さんの胸中を慮っていました。

“We’ll meet again”を歌い続けられるように

最後に役所さんと原田監督による挨拶で舞台挨拶が締めくくられました。

役所さん
「戦後70年、この国は平和に暮らしてきました。鈴木貫太郎さんの言葉のように、”永遠の平和”がこれからも100年、200年と続くように祈りたいと思います。映画というのは一度観てもなかなか理解できないものだと思いますが、もう一度見るといろんな情報がもっともっと入ってくる映画になっていると思います。ぜひまた観に来てください」

原田監督
「阿南さんの心を表すシーンで流れた“軍艦マーチ”と“We’ll meet again”は阿南さんの心の中にあるふたつの歌です。我々は舞台挨拶の後に打ち上げをやって、みんなで“We’ll meet again”を歌います。僕が初めてこの曲を聞いたのはスタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情』のラストシーンでした。水爆がどんどん落ちていくのに合わせて流れる曲で、とても悲しかった印象があります。我々は毎年この“We’ll meet again”を歌えるように、これからも“永遠の平和”を願って行動していきましょう」

監督の挨拶が終わると、会場から拍手が巻き起こり、舞台挨拶は幕を閉じました。

「日本の一番長い日」は現在全国ロードショー中です。

(文・写真:大谷和美)

(C)2015「日本のいちばん長い日」製作委員会

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    ライタープロフィール

    大谷和美

    大谷和美

    高校2年の時に観た「バトルロワイアルⅡ」に衝撃を受け、映画の道を志すも、縁あって雑誌編集者に。特撮誌、若手俳優グラビア誌等の編集・ライター、WEB編集者を経て、現在はフリーランスで活動中。社会の闇を描いた邦画が好きで、気づけばR指定のDVDばかり借りていることも。一方、元々好きだったライダー・戦隊などの特撮作品やコメディ映画も好んで観ます。

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