撮影秘話から理想の女性像まで激白!?『愛を積むひと』朝原監督ロングインタビュー・前編



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海外小説を映画化する苦労と醍醐味


― 映画『愛を積むひと』は、エドワード・ムーニーJr.さんが書かれたロングセラー小説を原作にしていますが、小説…しかも海外のものを映画化するご苦労はありましたか?

朝原監督「(小説の)完全映画化なんて言われていますが、『愛を積むひと』は、実は原作と全然違う話に仕上がっています。妻からの手紙が残されている事、主人公が石を積む事、人間としてのあり方を問いかけるテーマ性の3点は、原作からしっかり引き継いだつもりですが、それ以外はほとんどオリジナルと言ってもいいくらいです。原作のストーリーも自分の感覚にフィットしなかったし、日本を舞台に日本の俳優で撮るのはムリだと思いました。ということで、古い松竹の映画で育った僕がしっくりする設定に変えたんです。」

― 原作では、主人公と息子の折り合いが悪い設定ですが、映画『愛を積むひと』では、娘との間に壁がある設定になっていますね。

朝原監督「そうですね。家族関係はもちろん、脇を固めるキャラクターも味付けし直したり、新たに作ったりしました。脚色という点では、時間もかかったし悩むことも多かったです。そもそも石塀を作るという文化が日本にないので、そこを違和感なく魅せるよう工夫と苦労をたくさん重ねました。」

― 逆に、そのような原作を映画化するメリットがあったら教えて下さい。

朝原監督「ベストセラーの映画化は、原作者や出版社の方から原作のイメージを変えないように言われる事も多々あります。そして、どこまで原作のイメージをなぞれたかが評価の基準になったりします。ただ、この小説の作者であるエドワード・ムーニーJr.さんが外国の人だったこと、そして当作品のプロデューサーが彼と知り合いだったことが、映画化に際してラッキーに作用しました。このように大胆な改変を許して下さった原作者には感謝しかありません。おかげさまで、原作をそのまま映画に置き換えるだけではない、創作する楽しみを味わうことができました。」

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