『天空の蜂』脚本プロデューサーティーチインイベント取材レポ!


Q「前半の子どもが救出される所までは緊迫感があって引きこまれたのですが、後半アクションは派手なんだけれどもちょっと緻密さが無くなってるような気がしたんですが、テーマや訴えたいことは何なのかを教えて頂きたいです。」

[楠野]訴えたい事そのものを脚本家が口にすべきでは無いと思っているので、それはちょっと控えさせてもらいますが、変な話、こういった原発という重いテーマを扱ったものであれ、全然関係ないコメディーであれホラーであれ、このテーマというものを脚本家が口にした瞬間に、答え合わせになってしまうのが映画の本意では無い思うので、それは言わないです。ただもう僕の個人の中では何かって言ったら、あの2時間18分という時間を1800円なり1400円なりお金を払って観て頂いて、実際電車に乗って行って帰ってご飯食べたり4時間5時間、半日潰れるじゃないですか。で、それを観て面白かったと思ってもらうのが一番の目標です。
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その上でそれぞれの気持ちの中でテーマというか、この映画はこういう事を言いたかったのかなとかを、その人にとって賛成できるものか反対なのかはどちらでも良いんですけれども、持って帰ってもらうのが目標と言うかテーマなので、逆に言うと後半物足りないと思われた部分っていうのを、ご自分の中で咀嚼して考えて頂いた時に、じゃあなんで自分は後半腑に落ちなかったんだろうと考える間に、ご自分の映画を観た上で残るテーマっていうのが残ると思うので、それがお客さまにとってのこの映画のテーマ、という事だと思います。まぁ色んな脚本家の方いらっしゃいますので一概には言えませんが、僕個人としては、面白いと思って帰ってもらえれば一番いいなという、それだけですね。
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あとは、これを中高生とか小学生が普通に「なんか原発よくわかんないけど面白かったー」でも全然良いと思っていて、その子たちに対して首根っこ捕まえて「このテーマがわかってるのか!」って言うのは映画として非常に無粋なことだと僕は思っているので、もしその子が例えば10年後、5年後とかに思い返した時に、「もしかしたらあの映画あの時面白いと思ったのはこういう事だったのかな」とか思い返してもらえればそれがその人にとってのテーマになると思いますしね。
僕自身も実際子どもの頃にジョーズとか、似たような個性派アドベンチャーを観て、その時は全然「スゲーな人いっぱい死んでうおー」みたいな感じで観てた人間なので、でも実際大人になって観ると、個性派アドベンチャーは人間と神の戦いであるとかだんだん腑に落ちてくる。そんなの後々の話しでいいと思っているので。さしあたりは、面白いと思って観ていただける事が、少なくとも僕にとっては一番のテーマですね。

[八雲]映画のテーマというところからはちょっと離れますが、福島さんは今回プロデューサーとして、5年後ご覧頂いた方にどんな風に受け止めてもらえると良いなぁと思っていらっしゃいますか?
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[福島]テーマよりはもっと手前の、原作にも書いてある事で、一番焦点を当てた場所になるのですが、「沈黙する群衆」というところに焦点を当てました。そこは原作を撮る時に何を押さえるかというので講談社ともかなり打ち合わせしましたし、先生にもプロットを何十も出した中で、やはりそこを抜かすとそもそも訴えたい事が違うよねっていうことになったので、そこは確実に狙いましたし、江口さん本木さん監督ともみんな意見共通して一致団結して狙ったところなので、そこに関しての皆様のご意見を逆に伺いたいなと思います。

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