『天空の蜂』脚本プロデューサーティーチインイベント取材レポ!
Q「現先との違いについてお聞きしたいのですけれども、子どもが残される理由が原作ではもう一人の子どもがハシゴ外しちゃって、その為にその後自分をずっと責めるという所が好きだったんですが、それをこういう風に変えられた理由を教えて下さい。」
[楠野]原作では、乗っちゃった子どもが湯原の子ではなく、湯原の相棒の子どもなんですよ。仰ってたように最初は二人で行動してて、実はあっちの子どもが残っちゃうんですけれども、それを原作から映画では変えてまして、それは何故かといいますと、原作だとタカヒコ君が自責の念で自分を責めるというところなんですが、やっぱり映画2時間にした時に、なるべくやはり主人公・湯原に色んなプレッシャーを背負わせたいと。
家族関係は見た通り冷ややかであるのも当然ありますし、自分の作ったヘリコプターがあんな事になっているプレッシャー。
更にもう一個、あんなヘリコプター作ってしまったせいで自分の一番大事にしている子どもがそこに乗ってしまって今大変な事になっている。なるべくその色んなプレッシャーを全部湯原集中してグッと圧をかけたかった。っていうのが一番大きいですね。
特に前半、タカヒコが救出されるまではずっと湯原はそのプレッシャーでどんどんこう、なっていくっていうのはやっていかなきゃならないなと思ったので、それが一番大きかったですね。
Q「最初から最後までずっとハラハラドキドキで楽しめました。映画の本編でずっとシリアスが続いていて、愛知県警と福島県警、あと原子炉の3業者が同時進行で展開されていく中で、江口さん本木さんはずっとシリアスに真剣にされている中、愛知の刑事のお二人と福島の刑事のお二人(会場笑)
[楠野さん]手塚さんも真剣にやられてますよ(笑)
Q「ここぞ手塚とおるという、髪の毛をチラチラ弄ってイライラする演技、あと落合さんのポロシャツINも(笑)とても癒やされました。そういうのって脚本の段階で意図しているのか、堤監督の方で演出されているのかが気になりました。」
[楠野]脚本の段階でやることで言うと、所謂コメディーリリーフ、まぁ息抜きですね。『ミッション・インポッシブル ローグネイション』もそうなんですが、やっぱ抜きは必要だと思うんですね。で、脚本の段階で明確に表記していたのは佐藤二朗さん。彼に関してはフザケてはいけないんですけれども、ああいう人いるじゃないですか。必ず「逆に」って言い始めちゃうとか、「わかってますわかってます。」って、わかってねーだろ!みたいな人。二郎さんに関しては明確に意図してたんですが、手塚さんに関しては僕よりも堤監督が現場での演出でニュアンスが濃くなったっていうのはありますね。
[福島]そうですね。愛知県警は特に監督が愛知ご出身なのでそこは並々ならぬ愛情が降り注がれていて、台本上では方言無かったんですが、衣装合わせとかで手塚さんと松島さんに「尾張弁お願いします。」って突然発注が始まるという所で、まぁ手塚さんはベテランなので当然すんなり受け止めて頂きながら、松島さんは今回映画初なのでビックリされて、ちょっとどうしようみたいな(笑)一瞬ちょっと考え直したいみたいな(笑)雰囲気もあったんですが
[楠野]なんかのインタビューでかかれてましたよ松島さん、あれは辛かったって(笑)
[福島]もの凄い悩まれて、でもまぁ井戸田さんという方言指導の方も付けてもうマンツーマンで、撮影も常に真横に居てずっと外した時には「これこういう感じですか?」みたいな感じで。
で、さっきの赤嶺のくだりがまさしく四日市とか三重・愛知で撮影するはずが無くなっちゃったのでなんとか愛知の色を入れたいという監督の想いが。
で撮影現場、工場も全部群馬なので、実際四日市とか愛知とか全く行ってないということもあり基本関東で全部撮影しているという感じでした。
[楠野]あと落合くんに関して言うと、落合くんと柄本さんの二人の関係そのものがちょっと気が休まる所ではありますよね。いわゆる歳の離れたバディものというか、最初の生クリームやパンだどうのこうのいったのも含めて、原作よりも気持ちが緩むというのはちょっと意識はしました。後はああいう髪型にしてきたっていうのはありますけど(笑)あれは監督の指示?それとも知ってたの?
[福島]監督はもうとにかく警察は短髪、自衛隊は坊主。っていうのにして欲しいとずっと言われていて、キャスティングの都合でキャストによってはそれが全く出来ない人も何人か居て、落合くんも出来ません、永瀬くんも出来ませんってなって監督もちょっとイラッと(笑)ただラッキーだったのが柄本さんが監督は初ご一緒されるんですけれども、そこは凄い監督としては楽しみで、で柄本さんと落合くんって実は家族ぐるみの付き合いで、衣装合わせで「あれ?お前来たの」みたいな感じで落合くんと柄本さんが仲良いのを見て「じゃあキミいいよ」みたいな(会場笑)打ち解けあい。
[八雲]意外なところに救われましたね。
[福島]で、回りからも落合くんいいよねって話しも出てきて、まぁ色々な繋がりは続いていくものだと思いました。
[八雲]なるほどね。面白いですよねこうやって脚本がどんどん映像になるとそんな風に膨らんでいくんだっていう方向性が
[楠野]脚本は、色々な言われ方しますけど僕的には良く言えば設計図とか地図っていう言われ方しますけれども、僕にとっては下手したら発注書ですから(笑)現場で役者さんもそうですし監督も、美術さんとか照明さんも全部含めて、「こういうものを作って下さい」っていう発注書なので、それを最終的に現場で形にされる現場の方々にとって、よりヤル気が出るような発注書であればいいなぁと思います。
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