映画コラム

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2016年02月26日

『珍遊記』山口雄大監督インタビュー 「映画の最初のセリフがちん◯に決まった時、全体像が見えた。」

『珍遊記』山口雄大監督インタビュー 「映画の最初のセリフがちん◯に決まった時、全体像が見えた。」


──温水洋一さんの話出ましたけど、今回もおいしいかったですね。

山口:おいしくしなきゃいけない宿命にあるようです、どうやら。温水さんも出さなきゃいいけないなと思っていたキャストの一人だったんです。中村泰造っていうのは画太郎作品では名物キャラなんですよ。初期の画太郎作品には何かしら絡んでるみたいな。

中村泰造はちゃんと扱わなきゃいけないなってのはあったんですよ。中村泰造を疎かにすると画太郎ファンに対しても失礼だし、画太郎さんにも失礼なのはあったんで。ただ物語には絡みようがなくて。だからなんとか絡ませてみたっていう。愛情を持って接したつもりです。

今回は今まで温水さんではやらなかった、酔拳の使い手の役なんで、正直どのくらい温水さんがアクションができるかは、何回も仕事したことあった僕も分からなかったんですよ。「いやいや、僕出来無いですよ!」とか言いながら、意外と出来たりするんですよ。

もうちょっと吹替え使わないといけないのかなって思ったんですけど、意外とそんなに使わず、ほとんど本人やってできてて。以前仕事した時も漫画家の役やってもらったことあったんですよ。温水さん絵が描けないと思ったんで、手元の吹き替えだけ漫画家に頼んでたんですよ。そしたら、ちょっと遊びで温水さん描いてくださいよって描いてもらったりしたら、意外とうまかったりして。

本人は言わないんですけど、意外と多才だなって毎回思わされるんですよ。足りてないのは毛の量だけですよね。
──溝端淳平さんの役柄はオリジナルキャラクターですけど非常に面白かったです。

山口:原作自体、ストーリーを引っ張っていく人が居ないんですよ。山田太郎が主役なんですけど、山田太郎にストーリーを引っ張っていく役を付けてしまうと、もはや山田太郎でも何でもなくなるんで、となると玄奘にストーリーを運ばせるしか無い。

でも玄奘だけじゃ足りないので、玄奘に絡む誰かを用意しなきゃいけない。玄奘は女の子ってのは決まってたんで、女の子に絡むのはやっぱり恋愛が良いんじゃないのかってことで。それで話を持って行こうと。

それで最終的に山田太郎も玄奘も何が起こったのか気づいてないという空回りの恋を思いついて。溝端くんが勝手に空回りして、勝手に終わるっていう。

そういう役なんで、超イケメンが良かったんですよね。誰が見てもカッコいい人じゃないとっていうので。カッコいい人が空回りしてるほうが面白いので。溝端くんいいなぁと思ってて、それで話を持って行ったら「是非やりたいです」って言ってくれて。

あとから聞いたんですけど、本人的にも結構こういう役、コミカルな役みたいな自分のイメージにないものをやってみたいなっていうのもあったらしくて。あまり見たことない溝端くんが見られる作品になったんじゃないかとも思いますね。

それで言うと、松山くんもそうだし、皆さん普段の彼らのイメージと全然違うものを出せてると思いますね。そうじゃないと面白く無いなってのもありますし、あの人はこういう役だよねってのをやっても面白くないし。

溝端くんの役は見たらやっぱりすごい残る役だと思いますし、キャラが立ってます。ライバルが面白い映画ってだいたい面白いんですよね。わかりやすく言えば『ダークナイト』もそうですし。そういうものにしたいなってのがあったんで、溝端くんぐらいの存在感とカッコ良さがあればそこはクリアできるんじゃないかなと。
──鼻が豚になるのってあの、映画『ペネロピ』からの着想でしょうか。

山口:意識してないです。「『ペネロピ』みたいだね」ってあとから言われたんですけど。あれは単にイケメンいじめです。
イケメンをイケメンとしてだけで出さねえぞっていう。それはもう僕の個人的なものです。
──ライトな下ネタで大人も子供も楽しめる作品になってると思うんですけれども、どういった方に一番来てほしい、観てもらいたいってのはありますか。

山口:まさに今おっしゃった、子供に見てもらいたいですよ。画太郎ファンのかたはもちろん、画太郎を知らない普段こういうものを見ない人たちに、是非観てもらいたいですね。子供が見て欲しいのが強くあって。

子供が学校とかで珍遊記のコスプレとかをして先生に怒られるっていう風になってほしいなって思いますね。

インタビュー後記


非常にフレンドリーにこちらも楽しませて頂きながら進んだインタビュー。倉科カナさんが如何に可愛いかも非常によく伝わってきました。こうやって振り返るとなかなか凄まじい内容に仕上がっているなと思いました。しかし、映画を見ると非常にこの雰囲気とマッチしていることがおわかり頂けると思います。

大人も子供も気軽に楽しめるちょっと下品で感動もしない物語。「何も中身が無くて最高に面白かったです」という感想を申し上げさせて頂いたのですが、「それが一番です。」と笑顔で受け止めて下さいました。

画太郎作品を知らない方にも是非楽しく見て頂きたい作品「珍遊記」です。

山口雄大監督、この度は貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございました。

(取材・文:柳下修平)

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