映画コラム

REGULAR

2016年04月08日

藤原紀香&クァク・ジェヨン監督インタビュー「『更年奇的な彼女』は温かく、優しくなれる映画」

藤原紀香&クァク・ジェヨン監督インタビュー「『更年奇的な彼女』は温かく、優しくなれる映画」



──藤原さんへ、監督の描くヒロインへの共感や魅力的だと思うところを教えて下さい。

藤原:監督の描くヒロインは、友達からすると、とても手が掛かるし、大変なキャラクターだと思います。
でも、彼女を助けたい、見守りたい、この子は本当に愛すべき人だと男女ともに思えるのは、監督の映画のヒロインが常に自身に正直だからだと思います。そして、それだけではなく、彼女を見守ってくれている周りの人たち愛に気づいて成長していく姿に見ている方が自分を投影させることができるのかなあと。
多くの人間はどこか不完全なのが当たり前で、皆さんそこに共感できると思います。

男性の方はそういうところ、つまり動物的で、直感的で、正直過ぎるところに対して、守ってあげたいって思うんじゃないかなと思います。


──藤原さんの吹替は感情が見事に表現されていて素晴らしかったです。落ち込んでる時や、お酒飲んでる時などが特に。

藤原:毎回アフレコは難しいと思うのですが、今回は特にそう思いました。喜怒哀楽が激しい主人公なので、ブースの中で一喜一憂、主人公と同じように座り込んで泣いたり、喜んだり。

アフレコは人の演技に声を乗せるので、主人公チー・ジアと一緒に一喜一憂し、泣いて、笑って、気付いて、そして一緒に歩き出しました。ブースの中でチー・ジアを生きました。

監督:あのお酒のシーン、ジョウ・シュンさんは本当にお酒を飲んでいるんですよ。だからお酒を飲みながらやってくれても良かったんですよ(笑)

藤原:そうなんですか!(笑)実は私、20数年前ですが、デビュー当時お酒に酔うシーンがあり、実際に少し飲んで現場に行ったことがありましたが、監督に怒られました(笑)それは演技じゃないと。それ以来していません。

監督:私だったら絶対怒らないですよ(笑)


──藤原さんへ、映画の中でのジョウ・シュンさんの演技について何か思ったことはありますか。

藤原:お芝居って、”お茶を飲むシーンでも100人いたら100通り”だと思います。だからアフレコをしているとそういう意味でも勉強になりますね。
今回は発見が多かったです。国も超えてますし、ジョウ・シュンさんの起伏だったり、表現力の豊かさなどとても勉強になりました。


──藤原さんへ、そんなジョウ・シュンさんの演技にうまく声を乗せるのに工夫したことはありますか。

藤原:直球で受け止めました。技とかではなく、感じたまま身体で受け止めて、チージアの人生を生きたという感じでした。
ブースの中で大暴れしたり、泣きすぎて鼻水を止めるのが大変だったりしました(笑)

監督:ジョウ・シュンさんは演技経験が長いので、オーバーになりがちなところでもカメラがここにあると認識して演じてくれました。例えば「ここに30秒居てからカメラがこっちに動くので、そっちに移動して泣いて下さい。」と言えばそうしてくれる。それを計算しているわけではなくて、自分で感情を作ってそう演じてくれていました。


──監督へ、大雨のシーンは実際にあった出来事を参考にされていると覗いましたが。

監督:中国で実際にあった出来事をモチーフにしました。恋人同士が車に乗っていて、洪水に巻き込まれてしまって亡くなってしまったのです。2013年頃ですかね。元々シナリオに無かったのですが、後から入れました。なので中国の方が見るとかなりリアルなシーンかもしれません。撮るときは本当に苦労しました。あの水の中ですからね。


──そのシリアスさの中で笑えるシーンも入れる監督のバランス感は見事だと思いました。

監督:私はそういうのが好きなんですよね。シリアスさの中にコメディを入れる、コメディの中に少し悲しい気持ちを入れるとか。そういうのが好きなのです。車の上に乗って流されていく男性、実は中国で有名なコメディアンの方なんです。

藤原:女友達のシューアルが牛に乗ってるのも面白かったですよ。(笑)

監督:実はあの牛なんですが、最初お願いしたのはイルカだったんです(笑)美術のチームが見つけられなくて牛になりました(笑)幸い牛を持ってきてくれたことによって面白いシーンになりました。

友達役の女優さんが身長が180センチくらいあるのです。彼女のために水を入れる量を増やしました(笑)


──監督の映画の女性はなぜ強い女性が多いのでしょうか。

監督:振り回されるのが好きなわけはないです(笑)ただ私の周りの女性は強いところを持っていると思うのです。女性は元々強いところを持っていて、ただそれを映画で表現するかしないかの違いかなと思います。以前はそれをあまり表現しなかっただけなのかなと。

『猟奇的な彼女』が公開された時に「あ、これ私の話!」と共感頂くことが多くて、元々女性は強い部分を持っていたのかなと思いました。普段は隠しているのでしょうけれど、私はそういう部分を映画で描きたいと常に思っています。うちの妻や娘からも学んでいます(笑)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!