『仮面ライダーキバ』現在と過去を往来する濃密ストーリー!【篠宮暁の特撮辞典・第16回】
【オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典】
現在と過去が同時進行で描かれる、濃密ストーリー
2007年、『仮面ライダー電王』が様々な化学反応を起こし、人気が爆発しました。
本編継続を望む声が吹き出ましたが、「電王」も例年通り1年で終了。そして『仮面ライダーキバ』が放映開始。
しかし「電王」の余韻がかなり残っていたので、僕は最初、「キバ」に入っていけるか正直不安でした。ところが、始まってみればそんな不安もなんのその。
濃密なストーリーが、すぐさま作品に引き込んでくれました。
この作品には、怪物(“ファンガイア”)と人間の間に生まれた紅渡(くれない・わたる)と、もうひとり主人公がいます。紅渡の父で過去編のメインキャラクター・紅音也(くれない・おとや)です。
『仮面ライダーキバ』は、なんと、2008年の現在編と1986年の過去編が同時進行で描かれていくのです。
心が撃ち抜かれる! 男が惚れるヒーロー
現在編でわかっているのは、渡の父・音也はもう死んでるということ、母がファンガイアだということ。その謎が過去編で明らかになるんです。
作中、現在編と過去編がめまぐるしく変わります。「スター・ウォーズ」の「エピソード4」と「エピソード1」が、同時に進んでいく感じです。
両編とも同じ分量、熱量で進んでいきます。しかし、僕は当初、過去編に心奪われていました。
過去編の主人公・音也に、男ながら惚れ込んでしまいまして、彼が発する一言一言に心を撃ち抜かれていました。
とにかく、音也がものすごく魅力的なんです。
音也を演じたのは武田航平さん。とんでもない俳優さんです。
そんな感じなので、現在編がはいってこない状態だったんですが、途中から現在編もグイッと面白くなってきて、そこで完全に、「キバ」にハマったんだなと悟りました。
まるで、昼ドラのようなドロドロした感じもあり、その裏切り合いや愛憎劇が「キバ」の魅力でもあります。
今でも「平成仮面ライダーのオススメは?」と聞かれると、この作品を真っ先に挙げます。
「キバ」の脚本を書かれているのは井上敏樹さんという方なのですが、この方の書いた作品も、「電王」などを手がけた小林靖子さん同様、無条件で大好きになる傾向があります。
が、その話はまたいつか。
名シーンを脳裏に焼き付ける、劇中歌にシビれる!
「キバ」は、主人公が2人とも魅力的なのですが、それを支える俳優陣もかなり豪華で魅力的です。
両編にて登場する、対ファンガイア組織「素晴らしき青空の会」の代表・嶋護(しま・まもる)を演じたのは金山一彦さん。その拠点になっていた喫茶店のマスターに木下ほうかさん、準主役と言っても過言ではない活躍をみせる次狼(じろう)を演じた松田賢二さん、この作品をきっかけに、他の特撮作品にも羽ばたいていった山本匠馬さんなど。
今改めて名前挙げてみると、すごい面子だなと再確認。
面白くないわけがない。
ストーリーも俳優陣も凄いですが、僕が「キバ」を好きな理由はまだあります。劇中歌がシビれるくらいかっこいいんです。
なんと、紅渡を演じる瀬戸康史さんが自ら歌っています。
「TETRA-FANG」というバンド名義で、何曲も楽曲が制作され、その曲が効果的に作中に流れて、映像と音楽を同時に脳裏に焼きつけてくれます。
「Supernova」という人気曲は、僕も好きなのですが、個人的には「Individual-System」という曲が1番好きです。
曲を作っているのは鳴瀬シュウヘイさん。「キバ」あたりから「仮面ライダー」作品に関わられて、今では「仮面ライダー」に欠かせない方になりました。そのあたりも注目してみてください。
これ見てキバって行こうぜ!
ちなみに、「素晴らしき青空の会」の秘密兵器、仮面ライダーイクサは、全シリーズ合わせて1番好きなライダーです。
白いボディがかっこよすぎる! 装着者もコロコロ変わるのですが、やはり音也の変身するイクサが1番!
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】も連載中!
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