観たら確実にラーメンが食べたくなる映画『ラーメン食いてぇ!』中村ゆりかインタビュー
3月3日(土)公開の映画『ラーメン食いてぇ!』で、映画初主演を務めた中村ゆりかさんにインタビュー。
それぞれ境遇も年齢も違う3人の絶望の淵にたった人物たち。彼らが運命が1杯のラーメンによって引き寄せられ、再び生きる希望を見出だす、人気WEB漫画を原作に実写化された本作。
親友の裏切りを乗り越えて、ラーメン作りに生きる希望を得る女子高生・茉莉絵を演じた中村さんに、撮影中のエピソードや本作の魅力などを伺いました。
──ラーメン作りに没頭する高校生役ということで、友情なども描かれている映画でしたが、今回主演を務めてみていかがでしたか。
初めての主演だったのでうれしさもあり、でも緊張もあり、不安がすごくずっしりくる感じがありました。でも、考えすぎてしまうと上手くいかなくなるので、チームとして団結できるように皆さんのお力のお借りしながら、撮影に挑んでいました。
──今までにないプレッシャーを感じたということでしょうか。
そうですね、主演ということはもちろん、先輩方も出られているので、周りのキャストさんとのセッションとか…。芝居にたいして学ぶことも多くて、主演をさせていただいたこの作品で学んだことも本当にたくさんありました。
──どのように役作りをしたのですか?
茉莉絵は着飾るような女の子じゃなくて、ありきたりな女子高生なんです。なので、私自身が高校時代にしていたことや感じていたことなどを思い出しながら、彼女に重ねていました。自分の素の状態と近いんじゃないかな、と思います。
──例えば、どういうところに共感できたか教えてください。
完全に似ているという訳ではないのですが、純粋に真っ直ぐに友情を信じていて、絆も大事にしているところでしょうか。なので、裏切られたショックや悔しさは同じなんじゃないかなと思います。
それに、今、同じように高校時代を過ごしているという方にも共感していただけるのではないかなと、思います。
──撮影がはじまる前に役を作り込んでいったんですか。
完璧に作っていくっていうのではなくて、自分自身がその時その場でどういう風に感じるのかというのが、一番リアルに感じられるのかなって思うので、そこまで作り込んではいなかったです。現場で熊谷祐紀監督と話し合いながら、共演者の方と話し合いながら、作りあげていく感じでした。
──役作りで、監督から具体的なアドバイスなどはありましたか。
アドバイスは、その都度していただいていました。自分のイメージでは、茉莉絵は本当に素直な女の子で、すごく遠回しに色々ものを考えているような女の子じゃないかなって思ってたんです。
でも、お芝居に入ってみなさんと掛け合いをしていくなかで、茉莉絵ちゃんってこういう風に受け取ったりするんだという、感情の動きなどを、監督やプロデューサーさんたちに教えていただきました。
──最初の工程からラーメンづくりを学ばれたそうですね。劇中でもたくさんラーメンが登場しましたが、何食ぐらい作ったんですか?
撮影用にはきれいな麺を、切って練習した麺は平ザルで返す練習用にして、とにかくたくさん作りました。数えたことはないのですが、相当な量だと思います。
撮影中は個人練習もしましたし、撮影に入る前は、スタッフさんがラーメン修行の日を数日設けて下さっていて、 実際の店主の方にこまかく指導していただいたんです。貴重な体験になりました。
──では、中村さんがラーメンを食べるときにこだわることを教えてください。
まずスープを先に飲みます。私、具もちゃんと見ちゃうんですよ。メンマとかチャーシューとか、それぞれラーメン屋さんによって違うじゃないですか。そこがまた楽しいなって。
スープを飲んで、具を食べて、そしてスープと麺と一緒に食べてとか、それぞれの素材を楽しみながらラーメン食べていますね。
──人気ラーメン店の店主で、茉莉絵の祖父にあたる烈土(石橋蓮司)が「ラーメン作りの引き算は、ちょっと高度なんだ」ということを彼女に伝えますが、映画を通してラーメンの味わい方は変わりましたか。
変わりましたね。具や麺に注目するというのもありますし、出されたものに味を足して、辛くしたり、味を変えたりするのはもったいないなと意識するようにもなりました。
──ラーメン作りも初めてだと思いますが、ちなみにこの映画でほかにも挑戦されたことがあれば教えてください。
ランニングですね。まず筋力を鍛える事からでした。物語のはじめで、ラーメン作りに手こずってしまうところから、後半にかけて成長してラーメン作りがさまになってきているように見えなくてはいけないので、やっぱり体力勝負というところはありました。
──自殺しようとして一命をとりとめたあとの病室のシーンで、ラーメンスープを飲んだときの表情が印象的でしたが、演じるうえで工夫されたんですか?
テイクを重ねてしまうと、スープを飲んで感動したときの感情が薄くなってしまうと思いました。だから、リハーサルではスープを飲まずに、本番で初めて飲んだんですもちろん、監督からの指示をふまえつつ、作るというよりは素直に出てきた感情を大事にしました。
──石橋蓮司さんと共演された感想はいかがですか。
石橋さんのオーラというか空気感がすごくて、お芝居も「本当にお芝居なのかな」と思うぐらいに自然で勉強になることばかりでした。動きのあるシーンでちょっとやりづらいなと思っていたときには、それに気付いて「こうした方がいいんじゃない?」とか「こうした方がやりやすいよ」と声をかけてくださって、とてもやさしくしていただきました。
──葵わかなさんとは、どのように過ごしていたんですか?
わかなちゃんは私よりもしっかりしていて、お芝居の面でも勉強になりました。例えば、茉莉絵は私が普段使わないような口調の子だったので、不自然にならないように「こういう言い方でどうかな?」とか、相談にのってもらうこともありました。
彼女とは、以前にも共演したことがあって、今回また一緒の作品に出られることがとてもうれしかったし、いい作品を作りたいなという気持ちが強かったですね。
──仲のいい二人だからこそのテンポのよさがあったように思いますが、そういう部分もお互いに意識されて演じたのでしょうか?
意識し過ぎてしまうと無理に作っている感じになってしまうので、むしろ意識し過ぎた部分をリセットすることを心がけていました。
──今作でいちばん気に入っているシーンやセリフを教えてください。
ラーメンがいちばんポイントになるので、この映画を観終わったあとにラーメンが食べたくなる人がたくさんいたらうれしいなと。本当に輝いて映し出されるラーメンに注目して欲しいです!
あと、石橋さんの「素材を活かしているんだぞ」っていうセリフも、私自身が「そうなんだ」と思ったところもあって、それをきっかけにシンプルな味を楽しみたいと思うようになりました。
ラーメンによって人々が深くつながっていく物語ですが、絶望の淵に立っているときに、何かひとつのことで生きる希望を見いだせるって、すごく大切なことだと思うんです。そこをまっすぐに伝えるような作品だなと思っています。
──茉莉絵は不器⽤だけど⼀⽣懸命にラーメン作りに向き合う⼥の⼦でしたが、中村さんご⾃⾝が⼀⽣懸命(夢中に)になれることを教えてください。
この職業について、憧れの存在になりたいっていう意識が強くなってきていて、美容や運動を頑張ることもそうなのですが、きれいでいたいなという気持ちがあります。だから、夢中になっていることというと、美容や勉強、お芝居に対してもちゃんと向き合うことですね。
あとは、作る事が好きなので、手芸をできたらいいなと思っています。映画などの作品をつくるのと同じように、マスコットとか、ブローチとか、指輪とか、ひとつのきれいなものを作り上げることって素敵じゃないですか。
以前はそうやって作ったものを友達にプレゼントすることもあったけど、今はやらなくなってしまったので、またやりたいなと思ってます。それに、お芝居と同じように集中できるものを身に付けたいなと思ったんです。
──では最後に、『「もう駄目だ。」と思ってしまった全ての人たちに。』という今作のキャッチコピーにちなんで、何かを諦めてしまいそうな人へエールをお願いします。
なにかに葛藤して、絶望することは多くの人が経験していることだと思います。でも、そんなときにもポジティブに考えられるような勇気を与える作品だと思っています。
映画を観て元気になって、ラーメンを食べたくなってもらえたらうれしいです。
中村ゆりかさんの「喜」「怒」「哀」「楽」エピソード
中村ゆりかさんの近況を、喜怒哀楽のエピソード別に教えてもらいました!
中村ゆりかさんの「喜」
『ラーメン食いてぇ!』の撮影現場で、差し入れが多かったこと! スイーツが好きなんです。今回は本当にご飯に恵まれていて、うれしかったです。ラーメンもあるので、食べ過ぎないように気をつけるのが大変でした(笑)。
中村ゆりかさんの「怒」
とにかく忘れ物が多いんです。携帯とかお財布とか…。だから、忘れ物をしちゃったときには、自分に対して「何やってるんだ、自分!」ってなります。
中村ゆりかさんの「哀」
韓国ドラマを観ることが多いんですが、最近は悲しい作品を観て、感情移入して泣いてしまうことが多かったです。
中村ゆりかさんの「楽」
たわいのない話で盛り上がる時間とか、現場のみなさんと和気あいあいと過ごせることですね。
映画『ラーメン食いてぇ!』は、3月3日(土)全国順次ロードショーです。
(写真・取材・文:いぢま)
(C)林明輝/講談社・2018「ラーメン食いてぇ!」製作委員会
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