Netflix 『Mank/マンク』レビュー|ステイホームを充実させてくれる、粋でオシャレな配信作品
どうも、橋本淳です。
72回目の更新、よろしくお願い致します。
2021年になり、今年初更新です。
世の中は相も変わらず、多くの人が耐え忍ぶことを強いられています。皆さま、元気でお過ごしでしょうか。少しでも早く、世界がこの闇から抜けることを祈ります。
仕事とスーパー等の買い出し以外は、完全に引きこもりの私です。仕事現場と自宅の往復なだけの毎日に、視界がモノクロに陥ってしまいがちですが、そんな時は芸術から彩りを貰い、心を洗浄してもらい色彩を保ちます。
久しぶりに缶ではない、生ビールを飲みたいと欲していますが、今は我慢我慢。(話が逸れました、欲を抑えます)
そしてまた、ステイホーム期間が、やってきてしまいますので、ご自宅で観れる傑作をご紹介します。
今回はコチラの作品を。
Netflix 『Mank/マンク』
社会風刺にこだわる脚本家“マンク“ことハーマン・J・マンキーウィッツ(ゲイリー・オールドマン)は、アルコール依存症に苦しみながらも創作活動を続けていた。脚を怪我したマンクは、療養中であったが、オーソン・ウェルズ(トム・バーク)から、ある作品の執筆を60日以内に仕上げてくれと依頼される。マンクは怪我のため、口述筆記とタイプ打ちを行うイギリス人、リタ・アレクサンダー(リリー・コリンズ)が記録していく。
映画「市民ケーン」の執筆が始まるが、すぐにその登場人物が、誰をモデルにしているか察するリタ。そのことをマンクに聞くと、マンクは打ち明ける。1930年代と現在である1940年代のハリウッドを行き来する。政治的な問題が絡み合い、映画が宣伝として使われていく。マンクは、こだわってきた社会風刺をふんだんに盛り込んだ「市民ケーン」を書き上げる。が、それを公開させないように、また圧力が掛かり、、、
デヴィット・フィンチャー監督の最新作にして、初めての配信映画。
『セブン』『ファイト・クラブ』『ソーシャル・ネットワーク』など、数々のヒット作、話題作を手掛ける監督の『ゴーン・ガール』以来、約6年振りの新作です。父である、ジャック・フィンチャーが暖め続けてた脚本を息子であるデヴィットが監督。
映画史にも残る、傑作映画『市民ケーン』の脚本家である、ハーマン・J・マンキーウィッツに焦点を当てた作品。
フィンチャー監督は、『市民ケーン』の撮影技法を再現し、様々なオマージュを作品に散りばめつつ、見事に完成させました。
コントラストの強い陰影に、奥行きのあるカット、そして8Kデジタルで撮ってからフィルムのような質感にするためにノイズ加工をし、さらには最近見ることがなくなった、画面の右上にでるフィルムチェンジマークを加えたりなど、当時の作品のような風合いに仕上げた。
この作品の前に、もう一度『市民ケーン』を見返したのですが、あらためてその面白さに感動します。
1940年代に、すでにここまでの作品を作るというすごさに圧倒されますね。当時では、なかなかない構成と革新的な奥行きのある画。そしてなにより、ストーリーとラストの落とし方が、なんとも粋でオシャレです。
観たことがないという方は、是非、『マンク』を観る前に『市民ケーン』の鑑賞をオススメします。("バラのつぼみ"はもちろん、『市民ケーン』のキーワードが作中でも、ちょこちょこと出てきますので)フィンチャー監督の、オマージュの度合いも感じ取れますし。
ゲイリー・オールドマンは、毎度「あぁ好きだなぁ〜」と、しみじみ思わせてくれる大好きな名優ですが、今回ももちろんやってくれました。
彼の役作りには、毎回、知性と色気とセンスを感じます。やりすぎることも、足りないということもない、見事な線引きで、そこに個性のエッセンスも入っているという。。
主役も脇役もイケる、万能な名優は、現代にはなかなかいないのではないでしょうか。
マンクのふとした瞬間の、感情が抜けたかのような一瞬の表情。その中には言葉にはならない、複雑な感情が見受けられました。静と動、次々と嵐のようにスイッチしていきますが、ゲイリーの一瞬一瞬を見逃さずに、食い入るようにご覧ください。
とても心地よいのは、「市民ケーン」のラストのように、この「マンク」の終わり方。
きちんと、オシャレに腐す、ラスト。
すっと流れる、いい映画観た後に残る余韻が、この作品にも漂います。
映画館で観ていれば、この何倍も味わえると思うと、少し残念ですが、部屋を暗くして少しでも環境を寄せた自宅のテレビでも、十分に味わえるので、ここは我慢。
わたし自身もまだまだ映画を勉強の身。
知識も、観た量も、(文章力も)、全然足りませんが、この外出を制限されている時に少しでも、詳しい方々に近づけるよう日々勉強します。
共に、映画を通じて、人生を豊かにしていきませんか。
そんな勉強中の若輩者が、おこがましくも紹介させていただきました。
今年もよろしくお願いいたします。
(文:橋本淳)
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