『ドゲンジャーズ』荒川史絵監督に篠宮暁が直撃インタビュー!<前編>人気ローカルヒーロー番組の裏側とは?
篠宮 そして、放送が始まって「なんだこれは!」と。ローカルヒーローってかっこいいけど、東映、円谷以外ってことで、本当に申し訳ないんですが、正直少なからず舐めてた部分はあったんですよ。いざ始まってみたら、「なんちゅうかっこよさや!」と思いましたね。
荒川 そう言っていただけるとうれしいですね。押川さんとか、皆さんのおかげですよ。
篠宮 回をますごとに、どんどん作品熱みたいなのが上がってったじゃないですか。それは、監督としてはどんな感じで受け止めてたんですか?
荒川 ニコニコ動画とかTwitterにしても、実況的に見る方には、すごく合ってたのかなって。
篠宮 合ってました! やっぱり、弾幕付きで見るのとナシで見るのではちょっと違うというか。
荒川 そうですね。実は私も『ドゲンジャーズ』のキャラって、それまであんまり知らなかったんですよ。オーガマンはTwitterで「薬飲んで、寝ろ。」がバズってて、デザインもかっこいいじゃんって思って。
フリー素材です。
— 薬剤戦師オーガマン(公式) (@ohga_man) October 11, 2019
用法・用量を守ってご自由にお使いください。 pic.twitter.com/FrMFsRJWGt
キタキュウマンも、知ってはいたけど、という感じ。ヤバイ仮面もちょっと知ってる、見た目がかっこいいなって思ってたくらいで。キャラクターも知らないので、お任せしてやってたんですけど。
篠宮 う〜ん!
荒川 丁寧に1話ずつキャラ回みたいにしてくれてたのと、台本の時点でツッコミどころがあるうえに、現場でもアフレコでも遊びを入れてくれて。
篠宮 脚本が本当によかったですよね。
荒川 よかったですね。めちゃめちゃ読みづらいんですけど(笑)。
篠宮 あはは。各キャラ回があって、それぞれに愛着が湧いたところでコメディ回があり、10話くらいで一気にシリアスになるじゃないですか。その作り方が『激走戦隊カーレンジャー』を意識されてるのかな?と思ったんですけど。
荒川 私は脚本に全然口出しをしていなくて。あの流れはシャベリーマンが書いたものですね。
篠宮 そうなんですね。東映の本編も止まるくらいの事態のときも、『ドゲンジャーズ』は毎週ちゃんと新話をやってくれてて。飢えてた気持ちをグッと埋めてくれたのもあり、より盛り上がった感じもします。
荒川 それはあるかもしれませんね。12話分を一気に撮影しちゃってたからできたことですが。裏話なんですけど、6話以降のエンドクレジットに“CG合成 神尾博文”って書いてあるんですよ。
篠宮 はい。
荒川 あれ、福沢さんです。
篠宮 え〜!! え〜!?
荒川 アクション監督の福沢さんがやってくれて。ちょうどあの時期、円谷さんもスーパー戦隊・仮面ライダーも止まってたから、合成とかが間に合ったっていう裏話がありまして。
篠宮 林潔さんという方がやられていましたよね?
荒川 基本的に林さんにお願いしていたんですが、急にうちもCGの量が増えたので。外注もしてくれたんですけど、急に「福ちゃんに振ってもいい?」って聞かれて。
篠宮 へ〜! 福沢さん、そんなことまでできるんですね。
荒川 前からちょっと興味はあったらしいんです。さすがにテレビにのせるような仕事はしたことがないけど、やってもいいか、ってことで。ぜひ、お願いします、と。
篠宮 言っちゃっていいんですか?
荒川 はい。神尾博文さんなので(笑)。
篠宮 あはは。
荒川 あと、勢いがよかったのかな。私は画で飽きるのが早くて、バタバタしてないとすぐ飽きちゃうんです。だから、ちょっと長かったりするとカットして、すぐ違うシーンを入れたりして。で、シャベリーマンは耳で飽きるのがダメなんですよ。余計なセリフ入れたりとか、余計な音楽を入れたりとか。そんな二人が一緒に作ってるので。
篠宮 コマが多い。
荒川 だから、ツッコミも盛り上がるし。
篠宮 でも、編集も結局大変になってくるんじゃないですか? そこは計算しながら?
荒川 まぁ、計算っていうほど考えないですけど…飽きるから嫌だ〜!って。
篠宮 へえ〜。それがあの独特のテンポに。Twitterのトレンドにも上がってましたけど、放送枠は意図してあそこだったんですか?
荒川 いえ、違うんです。1期は本当にひどすぎるんですよ! 私にまず話がきて、そこから私もいろんな人に声をかけるわけですけど、最初15分枠でしかも短編という話だったのが、15分枠の1クールで本編として10分くらいの映像を作りたいです、って言われて、わかりました、と。その段階の話をみんなにしちゃってるんですよ。
篠宮 はい。
荒川 そしたら、みんながもう撮影にくるぞ、って段階になってから30分枠で、って!
篠宮 あはははは! そうなんや。
荒川 それなのに、時間もお金も倍は出ないって言われて。局も、テレ朝系に乗っかるのは怖い、と最初は。ただ、その時間にいい枠が空かなくて、そんなこんなしてたら「テレ朝系列で10時が空いてます」って。
篠宮 すごいですね。豪華な1時間半ですね。
荒川 「大丈夫なの? いいか、やっちゃうか」って(笑)。
篠宮 で、最終回、トレンド1位取られるわけじゃないですか。
荒川 いや〜、あれもね、想定外というか。Twitterは、主要メンバーのいるLINEグループに広報担当のキタキュウマンから連絡があって、社長がOKを出して投稿、という流れでやっていたんです。でも、“Twitterトレンド1位を取りたい”っていうのは、キタキュウマンが無断でやったんですよ。社長は「何を言ってるんだ。取れるわけないんだから」って感じで。
キタキュウマンが勝手に最終回トレンド1位狙うとかスタンドプレイしたので、こちらも報復措置としてアフレコシーンを勝手に投稿します。
— ドゲンジャーズ【公式】 (@dogengers) June 23, 2020
(シャベ) pic.twitter.com/SMXsZ6rtc9
篠宮 しかも、ニチアサの流れで激戦区の時間帯。
荒川 ねぇ! それで5位とかだったら恥ずかしいからやめとけ、って言ったのに、「大丈夫」って。そしたらまさかの。
篠宮 1位取りましたもんね。そのツイートを見たとき「最終回やし、いきそうやな」って思いましたもん。盛り上がりでいうと、「無理やろ」って感じじゃなかったですけどね。
荒川 いや〜。本当ですか…? 私と社長はあのツイートをみたときに「うそやん!!」って、最終回の緊張感とは違う意味で「気持ち悪…」ってなっちゃったくらい。まさかトレンド1位を取れるとは。
篠宮 すごかったですもんね。で、シーズン1の見どころもたくさんあるんですけど、特にこだわった点とかはありますか?
荒川 やっぱり全部のシーンですけど、アイドールちゃんが死ぬシーンは自分でもすごく好きですね。ヤバイ仮面とか、アイドールちゃんも正木くんのお芝居もよかったし。夜中にずっと撮ってたんですよ。めっちゃ大変だったんですけど、あそこは無理を言って俯瞰で撮らせてもらったりして。あと、死ぬシーンを無音にするとか。そういうところが、好きですね。
篠宮 10話ですよね。それでいうと、1話で田中が倒れてるみんなの前で話すシーンに被せてるところがあるじゃないですか。
荒川 気づきましたか〜(嬉)! うちの社長とかは、そういうの気づいてくれないんですよ!
篠宮 あははは! めちゃくちゃわかりやすかったですけどね。
荒川 それがやりたくて。あの屋上がすごく狭くて、できないかも…と思いながら、「できた! 天才!!」って思いましたね(笑)。
篠宮 ほお〜!
荒川 「悪の秘密結社」では、その辺あまり評価されてない…(小声)。
篠宮 一番エモいポイントですよね!
荒川 そうでしょ!? よかった…。わかってくれてた。
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(C)ドゲンジャーズ制作実行委員会