『ドゲンジャーズ』荒川史絵監督に篠宮暁が直撃インタビュー!<前編>人気ローカルヒーロー番組の裏側とは?
篠宮 10話はいいシーンがいっぱいあったんですよ。あ、でも僕は『ドゲンジャーズ』の魅力は結構オープニングに詰まってるなと思っていて。遊びまくってたじゃないですか。
荒川 OP曲をまさかのYOFFYさんが作って下さって。ただ、歌詞が来たのが遅かったのと、撮影がギチギチすぎて、あんまりオープニング用の画を撮ってなかったんです。
篠宮 あ〜。
荒川 それを編集部さんがいろいろいじってくれて。あ! 明太子ご飯はめっちゃ真面目に撮りました。歌詞をいただいてから撮ったのが、「仕事忙しいし」と「休日寝てたいし」と「心にいつもやくいく手帳」と「Men!Tight!Go!」のところ。
篠宮 あれは、どういう意図なんですか? 合唱の回があるじゃないですか(笑)。
荒川 あれはですね、本当は温かい意図があったんですよ。福岡で流れている「鬼丸ホーム」のCMをオマージュしたんですけど、それがまたひどいんですよ! バラバラに撮った「鬼のホームはいいホーム」って歌詞をガチャっと合わせただけの、歌のひどいCMなんですけど。だけど、それこそリモートワークとかをやってるときに、それぞれが家から送ってきた素材が合わさって1曲になるって、実は素敵なことじゃない?となり。あと、変な話、「電王」の…。
篠宮 まさに「電王」やと思いましたもん。『仮面ライダー電王』の41話か42話で、OP曲が急にイマジンたちの合唱になったんですよね。
荒川 実はデモのときに、「いーじゃん!いーじゃん!」って歌ってて(笑)。
篠宮 意識されてたんですね。
荒川 それに引っ張られてたのかもしれないですけど(笑)。「電王」的な萌えもありつつ、みんなが離れていても1曲ができるよ!みたいなイメージで、それぞれから素材をもらったら、もう大変なことになって。
篠宮 え、あれ、リモートでもらってたんですか? 粗さとか全然なかったですけど。
荒川 実はツイッターに無調整版が上がってて、そっちはもうぐちゃぐちゃ。それをYOFFYさんがうまいことまとめてくれました。
篠宮 すげ〜。めちゃめちゃよかったですよ、アレ。
荒川 そう! 1期が結構バタバタで、追っかけ追っかけでやってたもんだから、1話のオンエアー後のツイッターのコメントとかを、2話の仕上げのときに反映できるんですよ。
篠宮 は〜!
荒川 それで、歌詞を出して欲しいっていう声がいっぱいあったので、熱い回の7話で歌詞をつけて。歌詞が出たから歌えるぞ、と思わせといて、次の回はぐちゃぐちゃの歌でみんなの心を折り、「びっくりしたけど、もう大丈夫。歌詞もあるから歌えるぞ」ってタイミングで、2番になるっていう。
篠宮 そう! いきなり2番やった! でも、あれがちょっと楽しかったですね。次はどんな手で来るんだろう、と。なかでも一番笑ったのは、11話のスタッフロールで「荒川監督の名前がデカくなっとる〜!」って(笑)。
荒川 そう〜(満足げ)。それこそ、ナパームをすごく使っちゃうカットも、どこ用って決めて撮ってた訳じゃないんですよ。
篠宮 へぇ〜!
荒川 かっこいいやつも撮ってたんですけど、ドゲンジャーズらしいやつも一個撮ろうってなったときに、みんなで「わ〜!」って。
篠宮 あはは! ナパームに拍手て!
荒川 ね。かわいいね〜って言ってたんだけど、仕上げのときに「ここに監督の名前入れたら、みんなで崇めてる感じになるんじゃね〜?」とか笑ってたら、「いいじゃん、ここに入れようぜ」となって。で、11話のときは「最後のテロップだね〜。デカくしちゃおっかな〜(笑)」とか言って。
篠宮 弾幕がすごい盛り上がってました(笑)。あれはおもろかったですね〜。
荒川 正しいとか正しくないとかあるとは思いますけど、うちらはニコ生とかツイッターの声を積極的に取り入れてるところがあったので。
篠宮 CMに入る前の提供画面の柱も好きでしたね。
荒川 あれもね、シャベリン(シャベリーマン)が毎週考えて。
篠宮 あそこで遊ぶって発想があんまりなかったですもんね。面白かったです。
荒川 飽きられるのが怖かったんですよ。何かしら仕掛けておかないと、すぐ飽きられてしまうのでは、って。
篠宮 それはやっぱり12話全部、荒川監督がやられてるからなんですかね。そんなことってないじゃないですか。だからこそできた柔軟性、みたいなことだったりするんですかね。
荒川 それもあるかもしれないですね。
篠宮 11話でいよいよ名乗りをするわけじゃないですか。あそこはやっぱり撮ってて楽しい部分だったりするんですか?
荒川 実はですね、名乗りをど初日に撮ってるんですよ。ヤマシロンのスーツアクターの齋藤慧典さんは中国で『鎧甲勇士』を一緒にやっていて、私からお願いしたんです。ヤマシロンのキャラにめっちゃ合ってる!と思って。で、フクオカリバーの菊池貴裕さんは齋藤さんの紹介で、キタキュウマンとエルブレイブの中の人は私が知らない人。オーガマンは横山一敏さんで、ルーキーは押川さんなんですけど、ほぼ初めましてみたいな状況だったんですよね。それこそ、九州からのアクターさんとか齋藤さんなり菊池さんは、おっしー(押川さん)と横山さんがいるから緊張しちゃって(笑)。
篠宮 そうですよね。レジェンドですもん。
荒川 だから実は割と動きだけ見ると硬かったりするんですよ。でもそのあと、合成とかをいろいろ乗っけていくのは楽しかったですね。
篠宮 いや〜。あそこにきて、ドゲンジャーズ名乗るところは「わ〜!」ってなりましたけどね〜! 横山さんがスーツに入られるのって久しぶりですよね。
荒川 そうですね。それこそ、どういう経緯だったのか、勢いすぎて覚えてない。ふふふ。ヤバイ仮面は社長が北九州でずっとやってたんですけど、社長自ら、いい役者さんにやってほしい、みたいなことを言ってまして。私のイメージでは、今井靖彦さんだったんです。
篠宮 黒やし。
荒川 理央様のイメージとか、あとね、ちょけてるときとかっこいいときの緩急とか。それで、ダメもとでJAEさんに電話してみたら、まぁスケジュールさえ空いてればいい、みたいな感じで、今井さんは割とすんなりオッケーでした。オーガマンとルーキは先輩後輩にあたるキャラというのをふまえて、誰に入ってもらおうか、と。実は伊藤慎さんに電話をかけたんですよ。ただ、私の携帯に入っている番号にかけたら、現在使われておりませんって言われて諦めて。JAEさんにも何度か連絡して、横山さんももちろん名前を出していたんですけど、横山さんはもう部署が違うというか、今はスーツアクターではないし、みたいな。
篠宮 俳優さんって感じですもんね。
荒川 で、悩んでるときに、岸祐二さんから連絡がきたんですよ。
篠宮 おお〜!
荒川 「なんか面白いことない?」みたいな話から、実は今度…って。
篠宮 え、『ドゲンジャーズ』のことを知らずに連絡が?
荒川 全然関係ない話で。それで、ダメもとで岸さんに聞いたら、やりたいって言ってくれて。で、岸さんが声をやってくれるなら、やっぱり横山さんに、と。
篠宮 そこからのレッドレーサーなんですね。岸さんの「薬飲んで、寝ろ。」は、めちゃくちゃかっこよかったです。当時の面影もあるんですけど、積み重ねた渋さみたいな。
荒川 かっこいいですよね〜。最強ですもん。
次週はいよいよ、シーズン2の話題に! 撮影の裏話やネタバレなしの見どころなどを、放送直前にたっぷりお届けします。
■後編はこちら
(インタビュー:篠宮暁、文:大谷和美)
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