HBO MAX×U-NEXT『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』最速レビュー|『火の鳥』らしさ×リドリー・スコット節全開!
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2021年4月1日より、ドラマシリーズ『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』がU-NEXT にて日本初の配信開始となります。
本作は『エイリアン』や『ブレードランナー』のリドリー・スコットが製作総指揮を務めたSF超大作。全米配信開始からたった2週間でシーズン2制作が決定するという、異例の盛り上がりを見せていたそうです。
その1話と2話を観た感想を端的に先に申し上げれば、もうめちゃくちゃ面白い!『火の鳥』らしさ×リドリー・スコット節全開で大満足でした。大きなネタバレにならない範囲で、その魅力を紹介しましょう。
『火の鳥 望郷編』のような未開の惑星での子育て
本作の触れ込みは、「地球が滅びた近未来を舞台に、未開の惑星に降り立った2体のアンドロイドと人類の生き残りによる熾烈なサバイバルバトルを描く」というもの。実際に観て最初に抱いた印象は、手塚治虫のマンガ『火の鳥 望郷編』に似ているということでした。
この『レイズド・バイ・ウルブス』の1話では、2体のアンドロイドが人間の子どもたちを赤ちゃんから育てることになり、あっと言う間に数年の時が経ちます。『火の鳥 望郷編』は子孫を残すために人工冬眠を繰り返すという内容であり設定そのものは全く異なりますが、「他に誰もいない荒涼とした土地(惑星)で自分たちだけの生活が始まる」という点において両者は似ているのです。
全く予備知識なく観ても、無人の惑星でのサバイバル生活(バトルも展開)を面白く観られますし、会話の端々から「過去にこういうことがあったのだろう」と背景をゆっくりと知っていく過程も楽しめます。
そして、予測不能なストーリー展も本作の魅力。1話のクライマックスでは「ええっ!?そこまでやっちゃうの?」と良い意味でエクストリームで恐ろしい出来事が起こるので驚きました。『火の鳥 望郷編』に似ているとは書きましたが、存分にオリジナリティも感じさせる内容でもあるのです。
リドリー・スコット節全開の理由はこれだ!
前述した通り、本作の製作総指揮はリドリー・スコット。しかも、1話と2話はリドリー・スコット自身が監督も手がけています。観ればなるほど、これはリドリー・スコットの作品だ!と強く思える内容に仕上がっていました。
何しろ、荒涼とした惑星のビジュアルから『プロメテウス』に似ていますし、その後の一歩間違えばあっさりと死んでしまうサバイバルの残酷性は『エイリアン』シリーズの「らしさ」に満ち満ちていました。
また、リドリー・スコット監督作品は、いつも「世界に存在するシステムやルールに囚われてしまった人が、それに抗おうとする」過程が描かれるという、一貫した作家性があります。詳しくは観てほしいのですが、『レイズド・バイ・ウルブス』における2体のアンドロイドと、人間の子どもたちも(他の誰もいない未開の惑星に来たのに関わらず)また全く自由ではない、システムおよびルールに囚われていると解釈できるのです。
そのリドリー・スコット自身、「SFというジャンルの中で常に未開拓の領域を探してきた私が、ついに真の独創性を見つけた」と、『レイズド・バイ・ウルブス』の企画に惚れ込んでいたそうです。御歳83歳にもなるリドリー・スコットが、完全な現役としてSFというジャンルに挑み続けていることが、ファンとしてとても嬉しくなります。
まとめ
1話だけでもサバイバルSFものとして大いに楽しめ、2話からはまた別の視点で物語が始まって、さらに作品内世界の広がりを感じさせる『レイズド・バイ・ウルブス』は、リドリー・スコットのファンはもちろん、SFファン、映画ファンにとって、言うまでもなく必見作です。
ちなみに、日本語吹き替え版の声優陣が、沢城みゆき、小林親弘、諏訪部順一と超豪華だったりします。声優ファンは、こちらで観てみるのも良いでしょう。
そして、日本の配信サービスであるU-NEXTで、アメリカの配信サービスHBO / HBO Maxオリジナルの新作が観られるというのは革新的です。さらに『ウォッチメン』や『チェルノブイリ』といった話題作も同日4月1日よりU-NEXTで配信開始となるのですから、これは群雄割拠の配信サービスにおいて台風の目になるのではないでしょうか。今後のラインアップも見逃せません。
(文:ヒナタカ)
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