俳優・映画人コラム

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2021年04月14日

挑戦の人 綾野剛の魅力|いつまでも「見たことがない」が続く

挑戦の人 綾野剛の魅力|いつまでも「見たことがない」が続く


映画の綾野剛


(C)2021「ヤクザと家族 The Family」製作委員会


硬派でクールそれでいて内面的な揺らぎを持っている。
綾野剛の俳優の一面を捕らえた表現としてこの言葉はうまくあてはまるのではないでしょうか?

近年公開された『閉鎖病棟-それぞれ朝-』『楽園』『影裏』『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』そして今年公開の『ヤクザと家族 The Family』『ホムンクルス』とそのイメージの作品が続きます。

それぞれ、感情の起伏やボリュームが違うので全く違ったキャラクターですが、不思議と並べてみると、特に映画の綾野剛は不思議なラインでつながっているような感じを抱かせることもあります。

もちろん『新宿スワン』シリーズや『パンク侍、斬られて候』などのぶっ飛んで振り切ったギャグキャラクー(「MIU404」の伊吹も同系統のキャラクターでした)も忘れ難いのですが、やはりクールで硬派な外側と揺らぐ内側を併せ持つ綾野剛は見ていてワクワクさせてくれます。

今年・2021年の映画はロングランヒットになり批評面でも高い評価を得た『ヤクザと家族The Family』がありました。2020年11月に公開された『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』に続いて高い演技力と身体能力を併せ持った綾野剛の特性がいかんなく発揮されていて、時代に置いていかれていく男たちの悲哀を体現しました。

あまり目がいきませんが綾野剛の身体能力の高さはなかなかのものです『るろうに剣心』の緋村剣心=佐藤健VS外印=綾野剛の超高速バトルは今でも語り草で、公開当時は実際の殺陣を早送りしたのではないかと疑われた程です(メイキング映像をみると実際に生でやっていることが確認できます)。



『新宿スワン』や『武曲MUKOKU』『亜人』などのアクション作品も忘れ難いものがあります。

映画の最新作はカルトコミックスの映画化、NETFLIXでの世界配信も決定


(C)2021 山本英夫・小学館/エイベックス・ピクチャーズ

そんな綾野剛の映画最新作は山本英夫原作のカルトコミックを映画化した『ホムンクルス』。

すでに4月2日から劇場公開されていますが、4月22日よりNETFLIXで全世界配信が決定しています。『呪怨』シリーズの生みの親として国際的にも認知されている清水崇監督作品と言うことでも注目を浴びそうなタイトルですが、本作で綾野剛は禁断の手術(頭蓋骨に穴をあけるトレパネーション)を施されたがために見えないはずのもの=ホムンクルスが見えてしまう男を体当たりで演じています。

共演には成田凌、岸井ゆきの、石井杏奈、内野聖陽と実力とツボを押さえたキャストが並び濃密な異世界を形成しています。個人的には清水崇監督作品の中でのベストワン級に楽しんだ作品でした。

原作コミックはチェックできていないのですが原作ファンからもおおむね好評で、劇場もにぎわっているようです。原作がある種のカルト作品化していたので実写映像化の発表の際には賛否の声が入り混じりましたが、見事にその声を抑えきったことになります。

これまで作品が国際的に評価されてきたことはありましたが、“俳優・綾野剛”がスポットライトを浴びることは(意外な気もしますが)これまであまりありませんでした。

しかし、今回の『ホムンクルス』のNETFLIXで配信決定で世界中にいる2億人以上のNETFLIX会員の目の前に綾野剛という俳優が現れることになります。40歳、さらには俳優デビュー20年という節目を前に大きな飛躍に繋がるかもしれませんね。



主演映画では国際的なマーケット打って出る一方で、新作ドラマでは初挑戦のラブコメディに打って出る綾野剛。これまでの俳優人生の中でもターニングポイントになりそうな時期に差し掛かっていると言えるのではないでしょうか?

はっきり言ってこの春の綾野剛は見逃し厳禁です。

(文:村松健太郎)

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