映画コラム
『胸が鳴るのは君のせい』レビュー:美 少年・浮所飛貴主演のジャニーズ青春ラブストーリー3カ月連続 第1弾公開
『胸が鳴るのは君のせい』レビュー:美 少年・浮所飛貴主演のジャニーズ青春ラブストーリー3カ月連続 第1弾公開
量産期を経て、青春ラブストーリーの今
ベストセラーコミックやライトノベル(一時期の携帯小説)を原作にした青春ラブストーリー映画は2000年代に入るとヒット作が続きブームとなり、量産体制に拍車がかかり年に何本もの作品が公開されるようになりました。これらの作品は若手俳優の登竜門的な立ち位置になり、ここから多くの人気俳優が巣立っていきました。
ただ、その一方で、流石に量産され過ぎてしまい、ある種のお約束事・フォーマットを抑えるだけで精いっぱいの作品も出てくるようになりました。
粗製乱造とまで言いませんが、過剰供給気味に感じることもあり、同じような流れで粗製乱造されて衰退したJホラーと重なって見えてしまう時もありました。
それからしばらく経った、現在は一時期ほどの量産体制は終わっていると言えるでしょう。映画化に値する程のベストセラーコミックが出切ったという見方もありますが、この流れは逆に一本一本にしっかりと力を注げる環境を整えることに結びつきました。
多少、観客から”飽き”の視線で見られることもあるので、より一層、一本一本をしっかりした作品にする必要もありました。
そんな中で、今年の2月に公開されたSixTONESの松村北斗と森七菜が W主演した映画『ライアー×ライアー』は主演の2人の好演もあってかなり楽しめました。
ジャンルとしては若手俳優を鍛える場として需要があるので、それなりのペースで作られ続けることを期待しています。
巧くはまったメインキャスト
主演の浮所秀貴はまだまだ演技経験が浅く、硬さを感じることもありましたが、今回演じた有馬隼人というキャラクターが気持ちを内側に溜めて、色々考えすぎてしまうタイプだったので、この硬さも上手い具合いに作用しました。これが板垣瑞生の演じたチャラ男タイプだったら、違和感もあったのでしょうが、まさに適材適所という感じの浮所飛貴でした。
浮所飛貴の有馬隼人がどちらかという“静のタイプ”のキャラクターだったために、白石聖が演じるつかさはより能動的な部分が求められます。
ここは経験値のある白石聖が巧くはまりました。浮所飛貴の硬さがより一層白石聖のポジティブさを引き立ていて、主役カップルはいい組み合わせでした。
同じく経験値がある板垣瑞生はちゃんと求められているポジションを分かっていて、巧く立ち回っています。
今回大収穫だったのは有馬の元カノ・麻友を演じた原菜乃華ですね。ちょっとサイコが入った執着を見せるキャラクターで思わず笑ってしまうほどでした。
社会的なメッセージがあるとか、後世に伝えられる様な作品であるとかと言うことはありませんが、瑞々しい青春をしっかりと描き、適材適所な若手俳優がしっかりと機能した作品として『胸が鳴るのは君のせい』はしっかりと楽しむことができる映画です。
(文:村松健太郎)
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