映画コラム
マーベル作品(MCU)フェーズ3前半 一覧&全6作品の魅力を徹底解説!
マーベル作品(MCU)フェーズ3前半 一覧&全6作品の魅力を徹底解説!
『スパイダーマン:ホームカミング』の魅力
『スパイダーマン:ホームカミング』は、MCUシリーズとしては初となった『スパイダーマン』シリーズの1作目。過去に2度ハリウッドで映画化された同名作品とは異なり、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に登場した新スパイダーマンが活躍し、アイアンマンも登場する一作です。
ストーリー
ニューヨーク。15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、スパイダーマンとして部活のノリで街を救い、ヒーローを気取っていた。そんなピーターを真のヒーローに導こうとするアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)。だがある日、巨大な翼を持つ空飛ぶ怪物が街に出現。退治に乗り出そうとしたピーターは、スタークから「アベンジャーズに任せておけ」と制止される。子ども扱いが我慢できないピーターは、スタークの忠告を振り切って戦おうとするが……。
湿っぽさとキラキラ系の間をいく新たなスパイダーマン像の誕生
これまで、本作を含め、3度に及ぶハリウッドの実写映画シリーズが製作された『スパイダーマン』。
過去作を振りかえると、その主人公の描き方は多種多様です。
『スパイダーマン』シリーズ(2002年~)は、少し陰湿な描写が印象的。
自己との葛藤や、親友・恋人への嫉妬心が強調されたこのシリーズでは主人公のダークな側面が浮かび上がっていました。
一方、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(2012年~)は、キラキラした主人公の恋愛模様が印象に残ります。
輝かしい青春を謳歌し、恋に人助けに忙しい好青年として描かれた主人公は、前シリーズで描かれた内向的な主人公とは、全くの別人。
それを踏まえて、本作を考えると、ちょうど真ん中をいくような主人公の設定が特徴的です。
内向的ではなく、友人関係も良好だけれど、好きな子には臆病な理系男子のピーター・パーカー。
彼がスパイダーマンになった経緯を思い切って割愛した変更も斬新で、アベンジャーズの一員として、立ち位置を調整した新たなスパイダーマン像が確立されていました。
80年代映画へのオマージュを盛り込んだジョン・ワッツ
本作のメガホンをとったのは高校時代から映画を制作し、イーライ・ロス監督に認められ、ハリウッド映画業界にのし上がったジョン・ワッツ監督です。
『クラウン』、『COP CAR コップ・カー』など、本作とは関わりが遠いスリラー・ホラー映画を手掛けてきた監督ですが、今回の製作にあたっては、さまざまな80年代映画をリサーチ。
そのため、劇中では『ブレックファストクラブ』や『フェリスはある朝突然に』といったジョン・ヒューズ作品のオマージュが登場するほか、主人公の演技指導として、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスや『卒業白書』のトム・クルーズを参考にしたそうです。
アイアンマンの弟子・スパイダーマン
本作では、初のMCU版スパイダーマンということで、アイアンマンの弟子・見習いヒーローという側面が強調されています。
アイアンマンがスーツを提供している設定があるほか、ピンチの時には、彼が助っ人として登場するなど、全体的に頼りない主人公。
しかし、それらの設定は、本シリーズの続編となる『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を鑑賞すると、思わぬ意味合いを持つことになります。
名優・マイケル・キートンによる悪役・ヴァルチャー
本作の悪役・ヴァルチャーを担当したのが、マイケル・キートンさん。
過去には、DCコミックス原作の『バットマン』で主役のヒーローを演じ、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』では落ちぶれた元ヒーロー役者を演じた彼。
それゆえ、空を飛ぶ悪役という今回の配役は、まさしく、彼のハマリ役と言えるでしょう。
ちなみに、2022年に公開予定の『ザ・フラッシュ(原題)』では、バットマンとして復帰することが決定。
また、スパイダーマンと世界観が繋がると噂される『モービウス』でも登場が決定し、同タイミングで両会社の作品に出演する数少ない俳優になるかもしれません。
『アイアンマン』からの影響
本作は、第3作目で一旦の完結を迎え、『アベンジャーズ』シリーズでの活躍が主となった『アイアンマン』が、珍しくクローズアップされた作品と言えます。
アイアンマンことトニーのお抱え運転手・ハッピー・ホーガンが再登場するほか、ラストには意外な登場人物の出演も……。
また、本作のストーリーの根幹にアイアンマンことトニーの存在が深く関わっており、ある意味では『アイアンマン3.5』とも言うべき、アフターストーリーとなっています。
MCUの中で生まれ変わった新たな人気ヒーロー・スパイダーマンの活躍を描いた『スパイダーマン:ホームカミング』。
過去のスパイダーマン映画と比べると、80年代のティーン青春映画としての側面が強く、若干、物足りなさも感じるかもしれない本作ですが、シリーズ作品としては欠かすことの出来ない一作です。
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