2021年07月15日

【厳選】今週公開オススメ映画!『竜とそばかすの姫』だけじゃない…!

【厳選】今週公開オススメ映画!『竜とそばかすの姫』だけじゃない…!

『SEOBOK ソボク』

人類初のクローンをめぐる生死の問題をエンタメ要素盛り沢山で描いた快作

(C)2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTS RESERVED

クローンを巡るSFポリティカル・サスペンス・サイキック・アクション&バディ・ロードムービーという、てんこ盛りもここまでくれば大したものと唸らざるを得ない韓国映画の快作。

さらには監督が建築と男女の恋愛を巧みに融合させた『建築学概論』(12)のイ・ヨンジュなので、今回も実にしっとりした情感を漂わせたアーティステックな構えも成されており、まさに全方向から楽しめる(ないのは男女の恋愛要素くらい?)真のエンタテインメントともいえるでしょう。

また主人公は余命宣告を受けた元情報局員ギホン(コン・ユ)と、通常の人間の2倍の速さで老いてしまうものの薬でそれを制御することで永遠の命をものにできるクローン人間ソボク(パク・ボゴム)。

テロリストの襲撃に端を発するふたりの逃走から始まる連帯は、単にバディもの特有の友情めいた情緒を醸し出すだけでなく、死にたくない者と死ねない者の対比が濃厚に浮き彫りになっていくという秀逸な効果までもたらしてくれています。

またそれは同じく不老不死をモチーフにした現在公開中の日本映画『ARC アーク』とも共通した死生観を漂わせており、つきつめて考えるとそれは凡アジア的な生命の思想に辿り着くのかもしれません。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)で日本でも人気を得たコン・ユは今回死を目前に控えた設定ということもあって10キロの減量を経て撮影に臨んだとのことですが、そのげっそりした風情はキャラクターの悲哀感にも大きく貢献しています。

韓国国内のみならず今やアジア全域の人気スター、パク・ボゴムの純粋無垢なクローンとしての、文字通りソボク(素朴)な立ち振る舞いの数々と、それゆえのクライマックスの……おっと、ここから先はネタバレ厳禁!

いずれにしましても、昨今の波に乗るコリアン・ムービー・パワーをまたしても痛感させられる快作です。

●2021年7月16日より新宿バルト9ほか全国公開
配給:クロックワークス
監督:イ・ヨンジュ
出演:コン・ユ、パク・ゴモム



(文:増當竜也)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!