『ディナー・イン・アメリカ』レビュー:ビッチ!アナーキー!クレイジー!エモーショナルな青春ラブストーリーが誕生!
『ディナー・イン・アメリカ』レビュー:ビッチ!アナーキー!クレイジー!エモーショナルな青春ラブストーリーが誕生!
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」
いやはや、冒頭からラストまで徹頭徹尾ビッチでクレイジーな映画です。
開巻早々ゲロ吐くは、悪態つくは、いけないHしちゃうは、ちゃぶ台ひっくり返すは、放火するは……などなど、アナーキーといえば聞こえは良いけど、実際こんな奴が近くにいたらたまったものではない!
主人公のひとりは、そんな社会不適合者(!?)サイモン(カイル・ガルナー)。
そしてもうひとり、誹謗中傷のイジメは毎度のことで、不審者がいきなり目の前で大きな用をたしちゃうは、腐った小動物の死骸を見つけるは……と、とにかく悪運の神様にとりつかれているかのような毎日を過ごしながら悶々とした想いをパンクロックにぶつけるのみの、孤独で気弱な少女パティ(エミリー・スケッグス)。
本作はそんなふたりのラブ・ストーリーですが、その恋が加速していけばいくほど、パティは可愛く映え出し、サイモンもイケメンに見えてきます。
映画とは不思議なもので、こういった社会から疎外された者たちの心情にスポットを当てれば当てるほど、その輝きようはハンパではないほどの魅力を放ち得てしまいます。
ビッチ×アナーキー×クレイジー×……と無限大に掛け算し続けていきながら、いつしか映画は奇跡のクライマックスをプレゼントしてくれます。
そして、その奇跡はさらなる美しくもエモーショナルなビッチを、このカップルにもたらしてくれるのです。
本作は『ズーランダー』『LIFE!』などで知られるベン・ステイラーがプロデューサーとして参加した作品で、監督のアダム・レーマイヤーいわく、彼が育ったネブラスカ州リンカーンの1990年代パンクロックシーンにオマージュを捧げたラブレターであるとのこと。
まさにパンクロックの精神で貫かれたアナーキーでクレイジーで、そしてピュアピュアな青春ラブストーリー。
アメリカの片田舎で繰り広げられる彼らの反逆は、大仰に申せば差別と偏見に満ちた現代社会そのものへのアンチテーゼに他なりません。
生真面目な方はくれぐれも覚悟してご覧ください。(でもそんな人のほうが、いざこの映画の魅力にハマったら、もう抜けられずに元に戻れなくなるかも!?)
(文:増當竜也)
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