「ただ離婚してないだけ」第11 話レビュー:「社会は1度堕ちた人間を許さない」、追い詰められた夫婦が出した答え(※ストーリーネタバレあり)
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Kis-My-Ft2の北山宏光が主演をつとめるドラマ「ただ離婚してないだけ」が、2021年7月7日に放映スタートした。
本田優貴による人気コミックを原作としたこのドラマは、夫の不倫をきっかけに巻き起こる、いつ自分の身に起こっても不思議ではない戦慄の展開で話題沸騰の、未だかつてない不倫サスペンス作品。
本記事ではその第11話をcinemas PLUSドラマライターが紐解いていく。
「ただ離婚してないだけ」第11話レビュー
佐野(深水元基)の脱走を許してしまった正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)。
「俺たちどこまで堕ちるんだろう」「死ぬか」と、絶望の色が濃い正隆の隣で、「私決めたの、3人で生きていくって」と雪映はまだ前を向いていた。というより、訪れるはずだった未来に執着していた。誰が見ても行き止まりの状況なのに。
その後、正隆と雪映は逃亡の旅に出る。並んで海岸を歩く姿は、爽やかな恋愛映画かと錯覚する。「やっと来れたね、新婚旅行」「今が1番幸せ」と呑気に言う雪映。正直なところ、正気か?と思ってしまった。いくつもの犠牲の上に成り立つ幸せなんてあるはずがない。さらに、2人はまだ追われている身なのだ。
一方の佐野は、柿野家から脱走した直後に、仁科(杉本哲太)らに捕まえられてしまう。両手を縛られ、袋を被ったまま水を浴びせられる、フォークで顔や腹を刺される…見ているのが辛くなるくらい痛々しいシーンの連続だった。
拷問の末、正隆が萌(萩原みのり)の遺体を遺棄している証拠を収めたSDカードは、仁科の手元へと渡った。1番避けたかった未来が、どんどん現実になっていく。
佐野が焼死体となって発見されたことをテレビのニュースで知った正隆ら。最初こそ動揺したものの、これで家へ帰れるのではないかとすぐに安堵した。そうだ、この人たちは佐野に写真を撮られていたことを知らないのだった…。そして2人は自宅へ。菜穂(西川可奈子)に「本当の夫婦みたい」と言ってもらえたのは、本当は喜ぶべきことのはずなのに。2人が深めた絆が、あまりにも悲しくてやりきれない思いがした。
正隆の新しい仕事も決まり、平穏な日常を取り戻したかに見えた。
だがもちろん、現実はそんなに甘いわけがない。まずは道端でいきなり創甫に襲い掛かられる正隆。佐野の死を知らされた時、「無駄だよ、姉ちゃんはもう死んでいる」と呟いた表情、そしてナイフを持って正隆の上に馬乗りになる状態が萌とダブる。この子を、この姉弟を、こんな風に変えてしまったのは紛れもなく正隆だ。その事実に直面し、自分がしてしまったことの大きさに動揺しているように見えた。
警察での取り調べを終えた正隆に、「社会は1度堕ちた人間を許さない」と刑事の池崎(甲本雅裕)が呟く。これは創甫のことを指しているようで、その実、正隆へカマをかけたのではないかと思った。お前の罪を社会は許さない、だから覚悟しておけよ、と。そして正隆もまた自分自身を重ねていたようだった。こういう場面でこそ、目線の揺らぎに含みを持たせる北山宏光の表現力が光る。
そして、恐れていた出来事はすぐにやって来た。
仁科が柿野家を訪ねてきて、写真のデータを1億円で買えという。行くところまで行ってしまった感。
雪映は「(お金の)受け渡しの時にあいつらを殺す」と言い始めた。それはさすがに無理なのではないかと思う。正隆も反対する様子を見せるが…。
次回、ついに最終回。
八方塞がりの状況の中、正隆と雪映はどう決着をつけるのか。それがどんな結末だったとしても、受け入れる覚悟をしておきたいと思う。
「ただ離婚してないだけ」第11話ストーリー
正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)の元から監禁していた佐野(深水元基)が逃げ出した。自分たちの身に警察の捜査が及ぶと考えた2人は逃避行生活を送っていた。その頃、佐野はヤクザの仁科(杉本哲太)から再び拷問を受け、正隆たちが萌(萩原みのり)の遺体を掘り返している様子を撮影したSDカードを渡す。正隆と雪映、そして2人の間に生まれてくる子供の運命はどうなるのか…!?
(文:あまのさき)
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