<関ジャニ∞の今を聴いてくれ>4年半ぶりのアルバム「8BEAT」レビュー
関ジャニ∞の10枚目となるオリジナルアルバム「8BEAT」が11月17日にリリースされた。前作の「ジャム」から約4年半ぶりとなる(アルバムとしては2018年5月30日にベストアルバム「GRE8EST」がリリースされている)。
2019年にグループの編成が大きく変わったのちに2020年からはコロナ禍。毎年、行われていたライブツアーもない。テレビで彼らの姿を観ることはできるが、それでも、待ちわびていた。
満を持してリリースされたアルバム。多くのクリエイターと共に作り上げられたアルバムは、これまでの関ジャニ∞で最高傑作となっている。
今回、「完全生産限定盤」「初回限定-Road to Re:LIVE-盤」「通常盤」「ファンクラブ会員限定Eighter盤」の4形態共通で収録されている12曲を紹介する。
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01.8beat
再生した瞬間に鳥肌が立った。
のびやかなトランペットから始まるインスト曲。作曲・編曲は亀田誠二だ。
関ジャニ∞だと「High Spirits」というインスト曲がある。
このときは7人だったが、5人になっても勢いは衰えていない。というより、以前よりパワーがあり、音が粒だっている。
彼らの覚悟が見えるオープニング。とにかくカッコイイ。早くライブで聴きたい1曲だ。
02.稲妻ブルース
作詞・作曲・編曲はPeach。11月19日公開の『土竜の唄 FINAL』の主題歌だ。関ジャニ∞は「土竜の唄」の過去2作で主題歌を担当しており、「キング・オブ・男」、「NOROSHI」の系譜を継ぐ曲だ。
男くさくて、絆と仲間を大事にして好きな女は絶対に守る。
11月11日にベストヒット歌謡祭で初披露されたが、ド派手な屋形船と老舗キャバレーを舞台にした事前収録されたスペシャルパフォーマンス映像が良い。
読売テレビにお金をかけてもらっている……と少し感動してしまった。
老舗のキャバレーが似合いすぎることに彼らの男としての魅力度が上がっていることが感じられる。
キャバレーのステージ+スタンドマイクに色気駄々もれ。脂がのった、というのはこういうことをいうのかもしれない。
03.友よ
2019年11月27日にリリースされた43枚目のシングル「友よ」。
関ジャニ∞は5人になった。ファンそれぞれも思うところはあっただろう。これからどうなるのか、関ジャニ∞としてどんなエンターテイメントを見せてくれるのか。
さまざまな気持ちが交錯する中、5人体制となった関ジャニ∞で初めてリリースされたシングルだ。
「なぁ友よ 人生って最高だろう? だからやめられないんだろう」
安田章大の歌い出しに頭をガツンと殴られたような気持ちになる。
「この身に代えてでも守りたいものは 1円にもならない“信念”てやつだったりするんだよ」
とんでもない所信表明ソングだと思ったけれど、この時代をがむしゃらに生き抜くためには必要な曲すぎた。
たぶん、これからこの曲に救われる人はたくさんいる。
04.凛
フジテレビ系オリンピック・パラリンピックで使用された「FUJI Network. Song for Athletes」。今季オリンピックでは、民放5系列の共同企画テーマソングとして桑田佳祐の「SMILE~晴れ渡る空のように~」が器用されていた。が、フジテレビでは「凛」を聴くことが圧倒的に多かったかもしれない。村上信五がフジテレビのオリンピックメインキャスターなので、その番組を観ている率が単純に高かったからかもしれないが。
番組ではサビ部分が流れることが多い。が、全体を通して聴いてみると、今回のオリンピックでの選手たちの苦悩、選手たちを応援する人たちの想いが描かれているとわかる。
「見果てぬゴールは新たなスタートライン」という歌詞で曲を締めくくるのが痺れる。
05.キミトミタイセカイ
大倉忠義主演ドラマ「知ってるワイフ」の主題歌。
関ジャムではレコーディングの様子がオンエアされていた。難産だった様子が分かるだけに、ファンとしてはより心に響く。
大倉さんってこんな声も出せるのか! とそれぞれの音域の広がりに驚かされる1曲だが、この1年の努力の様子が垣間見れたように思う。
ドラマの内容ともリンクするような切ないラブソングだが、ここまでど真ん中のものはあまりないように思う。
06.Let Me Down Easy
作詞・作曲は川谷絵音。ここまではエモさが強かったけれど、ガラッと変わる。
それほど詳しくなくても、川谷絵音の曲だと分かるぐらいにはバチバチに川谷絵音だ。
歌うのも難しそう……という印象だが、いい意味で関ジャニ∞らしくない。音楽の新規開拓、という感じがするし、関ジャムがあったからこそできた曲なのだろう。
この曲も早くライブで聴きたいタイプの曲だし、前後にどういう曲を持ってくるのかがめちゃくちゃ気になる。
07.YES
作詞はいしわたり淳治、作曲・編曲は今井了介。
いしわたり淳治は前作アルバム「ジャム」収録の「DO NA I」の作詞を担当している。
今回はさわやかな曲調のプロポーズソングなんだけれど、愛が重い。
関ジャニ∞のラブソングは比較的、愛が重めのイメージがある。ここでも変わらず重い。
「恋人でいるだなんて 耐えられない」
「もう 生きる意味に迷わない 君の笑顔が いつも隣にあれば」
この重さが心地よいと思わせるサウンドにも唸らせられる。
08.町中華
「Let Me Down Easy」、「YES」の流れでオシャレな曲が来た……と思いきや、タイトルは「町中華」。でも聴いていると英詞のような? 歌詞を確認しようとすると、「町中華」の部分だけ袋とじになっている。歌詞カードで袋とじ……?
どうやら、日本語と英語のダブル・ミーニング楽曲。英語に聞こえる日本語、日本語に聞こえる英語ということなのだけれど、日本語歌詞だと「花椒 空心菜 ピータン」ですからね、「俺焼売美味い店知ってんで!」ですからね。
提供は岡崎体育さんです。
09.関ジャニ∞ on the STAGE
これまでも「三十路少年」「TAKOYAKI in my heart」を提供した前山田健一による楽曲。タイトル通り、関ジャニ∞のライブがギュッと凝縮されている。
ライブに何度か行ったことがあるファンなら、ついニヤリとしてしまう歌詞のオンパレードだ。
「フードをかぶれば はいアイドル」には「ほんまそれな」となる。フード付きの衣装のときに、どの瞬間に推しがフードをかぶるか、見逃すまいと目をカラカラにしながら見入っているので……。
「ソラヨイ カエラレ ホンデモ コンニチ フラレタ キバッテ ソーデモ カナシミ」の歌詞はデビュー曲「浪速いろは節」から「ワッハッハー」までのシングルの歌詞の一部が引用されていて「中盤戦はぎゅーっと詰め込んで怒涛のメドレー」というのを現している。さすが……ヒャダイン……。
メンバーを紹介する曲っていうのは多くのグループであるけれど、これは新しい。
10.ひとりにしないよ
横山裕主演のドラマ「コタローは1人暮らし」の主題歌。2021年6月にリリースされた関ジャニ∞の最新シングルとなっている。
曲の振り付けも含めて、個人的にはものすごくアイドルらしい曲のように思う。
温かくて寄り添う歌詞に、真似しやすい振り付け。
衣装のカラーも柔らかい。逆にこの「アイドルらしい」というのが新鮮だ。でも、いまだからこそアイドルらしさで勝負ができるのかもしれない。
11.ココロに花
城島茂主演のドラマ「サムライカアサン」の主題歌で、作詞作曲も城島茂が担当している。
「今日がダメでもいいじゃない 明日また頑張りゃいいじゃない」で始まるドストレートな応援歌だ。
「大きくなあれと安らぐように丸めたおにぎりみたく いつか きっと、、、
…… 信じて すぐ横で」
と5人の名前が入っているのがなんだかイイ。
ドラマの世界観もありつつ、でもこの曲は関ジャニ∞でないと歌えない、と思わせられる。
リーダーがこの曲を関ジャニ∞に作ってくれたこと自体がなんだか素敵だ。
12.Re:LIVE
2020年8月19日にリリースされた44枚目のシングル。関ジャニ∞と、ファンであるeighterの共作の歌詞が注目を浴びた。
2019年11月からスタートした47都道府県ツアーもコロナ禍で中断された。新生・関ジャニ∞を実際に見る機会を多くのファンが失った。
変化するグループ、奪われた日常を歌う楽曲は苦しいけれど、希望もある。光を失わせない。
関ジャニ∞の真骨頂とも言える曲なのかもしれない。
新しい可能性を見せてくれそうな予感がする、関ジャニ∞
関ジャニ∞はいつだって泥臭い。とりつくろわない。eighterはそんな彼らが好きだ。
「8BEAT」のポスターに刻まれた文字は、「関ジャニ∞でよかった」。
「たまには自分をほめようや」。
見た瞬間に言葉に詰まってしまう。
そのキャッチフレーズに、思わず多くのファンはこう言うだろう。
「関ジャニ∞のファンでよかった」「eighterでよかった」と。
多くの人がこれからの人生について考えなおす40歳前後。
関ジャニ∞も、そんな年齢に差し掛かっている。
が、変わらずアイドル道を貫き、新しいアイドル像を見せてくれそうな予感がこのアルバムにはある。
むきだしな彼らがみせてくれるこれからは、きっと楽しくワクワクするものに違いない。
11月20日からはアルバムをひっさげて全国ツアーもスタートする。どんなエンターテイメントを見せてくれるのか楽しみだ。
(文:ふくだりょうこ)
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