アニメ「王様ランキング」で深まる“絆”と渦巻く“陰謀”
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現在、フジテレビ内ノイタミナほかで放送中の「王様ランキング」。十日草輔氏「王様ランキング「(ビームコミックス/KADOKAWA刊)の原作漫画をアニメ化し、「進撃の巨人」でも知られるWIT STUDIOが制作を担っている。
「王様ランキング」と呼ばれる制度のある世界で、主人公ボッジが誰よりも強い王様になることを目指して冒険を繰り広げる物語だ。
デフォルメされた絵柄とは裏腹に、物語の展開は過酷である。「はじめ『王様ランキング』はタイトルこそ違いますが絵本として考えていました。しかし表現したいことが増えたこと、絵本作家への敷居がいろいろと高かったことでマンガになったのです」(コミックス第2巻あとがき)と作者は述べている。人生の初期に絵本や昔話で知る、世の中の不条理な側面がことあるごとに提示されるのだ。
だからこそ、耳は聞こえず話すこともできないが勇敢なボッジや、友人のカゲを応援したくなる。今回は4〜6話の中から印象的な人物を取り上げて紹介する。
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ドーマスとホクロ、二人のけじめ
王妃ヒリングの実家へ向かう旅に出たボッジ一行。護衛のはずのドーマスはボッジを地獄の門と呼ばれる穴に突き落としてしまう。冥府へ通じる穴からは数分ごとに大量の炎が巻き上がっており、落ちれば命はないだろう。ドーマスは剣術の弟子でもあるボッジを殺害しようとしたのだ。
涙を流しながらドーマスは呟く。「私は自分のしたことに誇りを持つべきだ。この良心の痛みは、強く覚悟を持てない私の弱さだ。そうだ、そうに違いない」
彼の憧れはボッス王のような敵の剣を全て引き受ける「力の剣」だった。しかし、彼が受け持った王子ボッジは非力で、どれだけ訓練しても筋力がつかない。それでもドーマスは彼なりに努力した。意思疎通が計りやすいようにヒリングから手話を習い、「必ずあなたを守る」とボッジに誓ったのだ。その言動に嘘はなかっただろう。前王ボッスが亡くなるまでは。
情勢が変われば人の心も変わっていく。彼が次の王にふさわしいと選んだのはボッジではなく、第二王子のダイダだった。そのダイダから密かに下された命がボッジの暗殺だったのだ。だからといって、簡単に割り切れるものではない。
そんなドーマスに刀を向けたのは、同行者ホクロだった。ボッジの世話係として自ら志願したのだ。過去に墓の前で嗚咽していたホクロに、王妃に手向けるはずの花をくれたのが幼いボッジだった。そんなボッジを守れなかった自分自身をホクロは許せなかったのだ。そしてドーマスが自分の腕を切り落としたのも、手をかけたボッジへのけじめなのだろうか。白黒つけられない二人の「けじめ」のつけかただ。
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© 十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング」製作委員会