橋本祥平、鳥越裕貴の俳優力を特撮界のレジェンド・坂本浩一監督が絶賛!『文豪ストレイドックス BEAST』インタビュー
——アクションの迫力はやはり、劇場版ならではだと感じました。撮影において、舞台とはまた違うアクションを要求されたと思うのですが、橋本さんや鳥越さんとはどんなやりとりをされたんですか?
坂本監督:二人ともアクションが得意という話は聞いていたんですが、舞台を観て「これだけ動けるんだ。これはすごく面白いぞ!」って実感しました。撮影に入る前に一度キャストに集まってもらって本読みをしたのですが、その日に橋本くんと鳥越くんには残ってもらってアクション練習をしたんです。実際に相手に当てないで見せる舞台のアクションとは違う、映像のアクションを体験してもらいました。アクションにも色々と流派がありますが、自分の流派は実際に相手に当てるので(笑)。お互いの体にパットを巻いて「当てながらやってごらん」と指導したら、2人ともすごくテンションが上がっていましたね(笑)。
2人は仲がいいですし、一緒にお仕事もずっとしているので、息がぴったりなんですよ。それに舞台で場数を踏んでいるから、アクションを覚えるのがすごく早いんです。普通は何度も反復練習をして覚えていくものですが、アクション部の見本を見ただけで覚えちゃうんですよ。後は細かい部分の調整をするくらいです。ここまで吸収力の高いキャストは今までいなかったので、アクションチームもみんなびっくりしていましたね。今回の撮影スケジュールのなかで、あれだけのアクションシーンが撮れたのは、本当に彼らのアクションスキルがあったからこそです。
——監督の想像をも超えるものになったんですね!
坂本監督:超えました(笑)!二人が上手いのでカットを割って誤魔化す必要がないから、自分が思っていたプランよりも長回しをしましたね。
——ちなみに他の俳優さんで、もっとアクションを撮ってみたかったなという人はいますか?
坂本監督:泉鏡花役の桑江咲菜ちゃんがすごくアクションもうまくて、かっこいいですよ。以前彼女が出演した他の作品を担当したアクションチームからも、すごくアクションができる子だよと事前情報を聞いていたのですが、今回ご一緒させていただき実感できました。
あとは、織田作之助(谷口賢志)がメチャクチャかっこいいです!彼も以前特撮作品に参加していましたが、ここまで銃メインのアクションはやったことがないと話していました。でも、動くとその動作ひとつひとつがすべて決まります。流石ですね!2丁の銃をかっこよくバンバン撃つシーンがあるのですが、そこもカットを割らずに実際の迫力が体感できるシーンになりましたね。今作のキャスト陣はどなたもかっこいいアクションをしているので、ぜひ注目していただきたいです。
——では、アクション以外の部分で、橋本さん、鳥越さんを撮っていてどんなことを感じたか、教えてください。
坂本監督:アクションと同じで、記憶力ですね。舞台だと3時間分くらいのセリフ量を一気に覚えると思うのですが、映画の撮影でも同じようにセリフをすべて覚えて来てくれます。長台詞でも、現場で一切台本を見ない。それがやっぱりすごいなと思います。長い台詞でも、全部完璧に覚えてきてそれをちゃんと表現してくれる。舞台で何度か演じているキャラでもあるので、それぞれの表現力も豊かでしたね。アップを撮ったときの目力がすごく強く、アニメから入ったファンの方々も、キャラクターが実在しているという錯覚を起こすと思います。
二人は今までとは逆の立場を演じているわけですが、各キャラクターの奥深さについて精通しているからでこそ演じられるんだと思います。2人とも的確に表現していたので、現場で段取りするときに自分から細かい指示を出すというよりは、ふたりが感じたことをどう映像としてキャプチャーしていくかに集中できました。これまで何度も芥川と敦を演じ、信頼し合う2人だからこそ、実現できたんだと思います。
彼らは次にどういうことをしてくるだろう、自分はそれに対してどう反応したらいいだろう、というキャッチボールをするのが毎日の楽しみでもありましたね。
——橋本さん鳥越さんそれぞれで、印象的だったことがあれば伺いたいです。
坂本監督:橋本くんはセリフがないシーンでも、表情だけで様々な感情が伝わってくるのがすごい。全編を通しての芥川の心情の変化というのが、橋本くんのちょっとした表情の変化ですごくうまく現れています。自分も撮影が進むにつれて芥川にだんだんと感情移入していって、最後には大好きになっていました。それは撮っていた自分だけなく、作品を観た人にも感じてもらえると思います。
鳥越くんはすごくプロフェッショナルな人ですね。いつも楽しく現場を明るくしてくれるムードメーカーですが、カメラが回ると、すっと顔つきが変わって憑依したかのようにお芝居をするんです。みんなを引っ張っていく力もすごくて、本当に助かりました。
——2.5次元というと女性向けというイメージがあるかと思うんですが、本作はアクションの迫力も含めて、男性が見ても面白い作品になっていますよね。
坂本監督:もちろん、すべての方に楽しんでほしいですね。そう、原作者で本作の脚本も担当された朝霧カフカ先生がダークな作品がお好きで、脚本のト書きなどにもバイオレンスな描写が出てきます。それをどこまで表現できるか、というところもこだわりました。2人とも怪我をしたり血を吐いたりというカットが多かったんですけど、バイオレンスをやりすぎて、グロいって女性が引くんじゃなくて、それが美しく見えたらいいなと。血糊メイクが2人ともすごくかっこ良くセクシーなんですよ。その辺は男が見てもかっこいいと思うし、女性が見ても美しいと思えるような、バランスで表現ができたらいいなと思っていましたね。
特撮が好きで興味をもってくださった方にも、燃え要素が随所にあり観やすいと思いますし、いろんな人たちに観ていただきたいなと思います。
観てくださる方々はすでに「文スト」のファンの方が多いかもしれないですが、漫画からアニメ、小説、舞台と数あるメディアミックスを展開している中で、同じ「文スト」の世界観に実写版というのをうまく組み込めるように作ったので、総合的に作品を楽しんでいただく中の一本として、この実写版も仲間に入れてもらえたらな、というのが今の僕の願いです。
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(C)映画「文豪ストレイドッグスBEAST」製作委員会