<嵐・二宮和也>『ARASHI 5×20 FILM』の魅力
二宮和也と演技、そしてカードマジック
『ARASHI 5×20 FILM』の二宮和也が一際輝いてみえるのは、これまでの芝居の経験が大きく影響しているためだと考える。
カードマジックを得意とする彼は、以前バラエティー番組の中で「カードマジックの勉強がお芝居に役立った」と話している。マジックの技法の1つに、観客の注意を意図していない別の所に向かせるテクニックの「ミスディレクション」という技がある。人の注意を操るこの技術が、ほかの出演者との会話をスムーズに見せたり、逆に注目してほしいところに目を向けさせたりするのに役立っているという。
何をもって演技の上手い・下手を決めるかは難しいが、わたしはニュートラルな状態を演じられることに二宮和也の演技力の高さを感じている。多くの人に見守られる中、カメラの前に立って自然にふるまうことは、怒りや喜びの感情を表現するよりずっと高度ではないかと思うのだ。それができるのは、彼が子どもの頃からアイドルとして多くの人に注目される立場であり続けたからではないか。バラエティ番組などでも常温でリラックスした印象が強いが、それは一人で家にいる状態とは違うはず。自然にふるまっているように見せることを、後天的に身に付けたのだ。
そう考えると良い意味で、彼は20年間「嵐の二宮和也」を演じ続けてきたとも言えるだろう。それはキャラを演じているというネガティブな意味ではなく、グループのためにより高みを目指す向上心だったはず。
アイドルとして魅せ方を意識し続ける中で、彼は映画『硫黄島からの手紙』で世界的に評価されたり、『母と暮らせば』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したりと演技力で高い評価を受けている。それにもかかわらず、「僕は俳優ではなくアイドルです」と一貫して話してきた。
それは、個人での仕事もすべてはグループのためにやっていると公言してきたことにもつながっている。二宮和也のすべては嵐のためだったのだ。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
©2021 J Storm Inc.