「ユーチューバーに娘はやらん!」第10話レビュー:ついに最終回!千紗の答えに、幸せの意味を考える(※ストーリーネタバレあり)
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秋元康が企画・原作を務める「ユーチューバーに娘はやらん!」で、佐々木希がテレ東初主演を飾る。
人生最高で最悪な日を過ごしたヒロインはテレビ局員とユーチューバー、どちらを選ぶのか!? 金子ノブアキ、戸塚純貴ら豪華キャストで送るラブコメディ。
本記事では、第9話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「ユーチューバーに娘はやらん!」第10話レビュー
総一郎(遠藤憲一)が倒れた。慌てて病院へ向かう千紗(佐々木希)、総一郎のベッドを心配そうな表情で囲む平家の人々。やっとのことで総一郎が呟いた言葉は、「アイルービーバック」だった。
おいおい、これ、どうなっちゃうの……。
そんな折、GETFLICKの上条(竹財輝之助)から榎本(金子ノブアキ)に引き抜きの電話が掛かってくる。ちょうどテレビ局のやり方に、反発を感じていたタイミングだった。
平家の一大事と榎本に訪れた岐路に、最終回の匂いを感じる。
仕事を終えて千紗が家に帰ると、美恵子(斉藤由貴)がハイテンションにメキシコ料理を用意していた。総一郎の席にゴリラと思しきぬいぐるみを置いて話しかける。いや、総一郎生きてるから!
メキシコは総一郎と美恵子が新婚旅行に訪れた地らしいが、明るく死者を弔う“死者の日”を連想してしまった。決して湿った感じにしないその空気は、平家にピッタリなのだけど。
気付けば、「お父さんの物まねが聞きたい」と泣き出す美恵子。すべて空元気だったのだ。あああ、なんてかわいいお母さん。こんな人を悲しませないでよ、総一郎。いやいや、ところで病状は……?
総一郎のことを知った榎本とタックタック(戸塚純貴)は、それぞれに千紗を励ます。
榎本は「あなたは本当に強くて優しい人です」と言い、タックタックは「しょげてるのは千紗さんらしくない、いつでも全力なのが千紗さん」と言う。
これらの言葉に、違和感を募らせる千紗。本当の自分と、2人の目に映る自分にギャップを感じていた。
それを決定付けたのが、見舞いに行ったときに総一郎が話した、千紗の幼い頃のエピソードだった。
妹の風花(若月佑美)が生まれたとき、周囲に「お姉ちゃん」と呼ばれ、必死にお姉ちゃんになろうとしていた千紗。それを見た総一郎は、このままではこの子が壊れてしまうと思い、お姉ちゃんと呼ぶのを辞めたという。
「いつまで背伸びする気なんだ」と優しく語る父の言葉が、じんわり沁みる。
誰しも、割り振られた(と思い込んでいる)役割を演じてしまっていることがあるはず。そこに無理はないのか? それは本当に自分なのか? 改めて見つめ直そうと思った。
結局、ただの胃潰瘍だった総一郎。そんなことだろうと思ってたけど、でも、本当によかった。
腹を決めた千紗は、榎本とタックタックを呼び出す。
2人を抱き締め、「2人が肯定してくれたから、どん底に落ちずに済んだ」と感謝を述べる。たしかに、前代未聞の披露宴以降、千紗の身に起きた色んな出来事を楽しいものに変えてくれていたのは、他でもないこの2人だ。
だが、千紗は「おふたりとは一緒になれません」ときっぱりと言った。背伸びしちゃう、強がっちゃう、ふさわしい人になろうとしてしまう、それは自分ではない、と。これから少しずつ素直になればいい、と榎本は食い下がったが、「努力しないと素直になれないって違う気がする」と言い切った。
もったいない、と思う気持ちもあった。千紗自身も、いくらでも好きになれたと言っていたように。でも、千紗の表情を見れば分かる。これでよかったのだ。
ここでふと、これはもしや佐藤(栗山英宜)とくっついたりするか……? という疑問がふと脳裏をよぎる。
そして、ついに事態は急展開を見せた。
総一郎が入院生活を終えて帰還。「アイルビーバック」とキメ顔をする総一郎、見事な伏線回収だ。
みんなで食事を楽しみ、ダイニングに残っていた千紗と佐藤。榎本とタックタックを振り、総一郎が帰ってきて……と激動の1日を過ごした千紗は少々疲れているようだった。
でも、佐藤の前では憚らず疲れたと言えるし、泣くこともできる。「こうくんは人間と思ってない」と千紗は冗談めかして言うが、これこそがもう答えなんじゃないか。
何しても今更嫌われないと思っているんだろうな、と結論付けた千紗に、「舐めてない?」と言う佐藤はもちろん満更でもなさそう。
結婚したいわけじゃないけど、佐藤となら家族にはなれるという千紗。待って待って、結婚って家族になることだよな? と思っていたら、ちゃんと佐藤がツッコんでくれて一安心。
そして、「なってみる? 家族」という、プロポーズらしくはないけれど、日常の延長にある感じがなんともたまらん会話の末、千紗は佐藤との結婚を決めるのだった。
ユーチューバーか? テレビマンか? この2人のどちらかが千紗と結婚するのか、はたまた千紗はしばらく独身を謳歌するかの2択と思っていたが、なんだか収まるところに収まった感じ。
でも、忘れてはいけないのは、千紗は決して妥協をしたわけではないということ。ここまでの日々を一生懸命悩んだり傷ついたりしたからこそ、辿り着いた答えだ。
人生には大変なことがたくさんあるから、一緒に生きる相手くらい大変じゃない人がいい、という千紗の言葉通り、佐藤の前でなら、千紗はきっと背伸びをせずにいられるはず。日常の中にある幸せって、こういうことなんだろうな。
(文:あまのさき)
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