「じぞ恋」第8話:大人の恋を蝕む“サステナ疲れ”、すこぶる切ない。


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上野樹里主演のドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」が2022年4月19日にスタートした。

本作は、上野演じるヨガインストラクターと松重豊演じる妻に先立たれた父がともに婚活にチャレンジするオリジナルラブストーリー。「ダメな私に恋してください」「初めて恋をした日に読む話」などを手掛けてきた吉澤智子が脚本を担当する。共演は田中圭、磯村勇斗、井川遥ら。

本記事では、第8話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」第8話レビュー


「人生の優先順位ってなに?」

コンサルティングのユーザーである杏花(上野樹里)が、元旦那の晴太(田中圭)の彼女ということを知った安奈(瀧内公美)は、杏花の元を訪れ、問う。

「仕事ファーストで独立を成功させたい」と思っている杏花のことを応援したい安奈だが、晴太の彼女となると話は変わってくる。
「結婚する気もない人を子供に会わせるのは違うでしょ?」と主張する安奈。それは、息子である虹朗(鈴木楽)の幸せを、なによりも願っているからだ。

大阪万博のプロジェクトに行ってほしいと指名された安奈だが、虹朗のことを考えるとどうも決めきれない。杏花の存在を知ったからこそ、尚更なのである。


林太郎(松重豊)への気持ちに気付いた明里(井川遥)は、ついに林太郎に対してお見合いを申し込む。
“動機”の意味を辞書で調べるなんて、よっぽど恋の病に陥っているようだ。

林太郎は「これは、婚活の練習なのか……?!」と疑い電話を掛けるも、お見合い当日までの接触を断られてしまう。
待ち受ける介護、家事能力なし、稼ぎも遺産も人並み、独身の娘有り……自分よりも年下の女性がお見合い、そして結婚するメリットは考えても考えても生まれず、困惑する林太郎。

恋ーー「好きになって、会いたい。いつまでもそばにいたいと思う、満たされない気持ち。」
林太郎の手により紡がれた言葉を読んで、明里にとって林太郎はそういう存在でありながら、一緒にいると満たされる気持ちにもなるということに気付く。

お見合いの場で「私と、交際していただけませんか」と真っ直ぐに伝える明里だが、嬉しい反面動揺が大きい林太郎は「一旦保留にさせてください」と告げ、その場を後にしてしまう。


みなさんお待ちかね、(磯村勇斗)がようやくフランスから帰国。
予想はしていたものの、杏花と晴太の距離が縮まっていることを知り、どこか複雑な心境だ。

「俺はいつだって杏花ちゃんが一番だから」

どんな状況に置かれても、颯の杏花への気持ちは変わらない。ここまで人を好きになれるって、もはや気持ちがいい。

結婚指輪を渡すテンションでスマホリングを渡すシーンには、不覚にもドキドキしてしまった。


独立に向けて奔走し始める杏花と、虹朗と共に歩むこれからの人生を考える晴太。

ルール通り、お互いにお互いを”二番目”ということを尊重し合う二人。
なかなか会えないし、電話する時間も気を使う。どこかすれ違いが起きてしまうのも当然だ。

そんな中、二人の関係性を逼迫する出来事が起こる。
学童保育にいる虹朗が突然熱を出してしまうも、晴太は仕事で川越にいてすぐに迎えに行けない状況。頼れる安奈も仕事で電話がつながらない。

そのタイミングで杏花から連絡が。
晴太は悩むも、杏花に虹朗のお迎えを依頼する。

二つ返事で承諾する杏花だが、杏花も杏花で独立に向けた重要な打ち合わせの真っ只中。

「成功したいなら物事の優先順位を間違えたらいけないと思うんです」
クライアントからの言葉が胸に刺さる。

なんとか両立させたい杏花は、虹朗のお迎えを颯に託すも、やはり気になり打ち合わせの途中で抜け、晴太宅へ。

コントロールできない感情、これこそが恋。

ここでようやく、杏花と安奈がエンカウント。
杏花のことを応援する気持ちは変わらない。
だからこそ「母親になる気がないなら中途半端に虹朗と関わらないでほしい。再婚するなら、私よりも虹朗のいい母親になれる人と再婚してほしい」と実直に告げる安奈。

杏花にとって、なによりも独立が一番だったはずなのに、晴太に気持ちが引っ張られる。

ヴァネッサ・ヨガスタジオでの最後のレッスンで「体も心も日々変わっていきます。新しい世界を受け入れ、新たな自分を見つけていけたらなって思っています」と語る杏花だったが、「私が本当に見つけたい、新たな自分って何なんだろう」と当人が思い悩んでしまう。


モヤモヤとした感情を払拭すべく、晴太にデートを取り付ける杏花。
中華屋台でのほのぼのとした雰囲気、杏花と晴太ならでは。見ているだけで幸せな気持ちになれる。

「私と、結婚を前提に、お付き合いしてもらえませんか?」

意を決して告白する杏花に、晴太の答えはーー「もう、終わりにしましょう」


一方その頃、レディースクリニックからの検査結果を受け取る明里、神妙な面持ち。
林太郎と陽子(八木亜希子)間の秘め事もまだ判明していない中、また一つ心配事が増える。

明里の気持ちを受け取った林太郎の答えはーー「交際はお断りします」


晴太も、林太郎も、告白を断る理由なんてないはず。
ここにきて、なぜこうも上手くいかないのか。

今の幸せがずっと続くわけではない。持続可能な関係性を目指すには、それなりの代償を伴う。
大人の恋を蝕む"サステナ疲れ"、どこまでも皮肉だ。
晴太と林太郎のこの答えは、相手の未来を尊重してこそ出した決断なのだろう。


……それにしても、次回予告の颯による「わざとだよ?」が頭から離れない。
「わざとだよ?」だなんて、「NANA」の幸子からくらいしか聞いたことないよ。

磯村勇斗の口からこの台詞を聞けるなんて……どんな贅沢?


(文:桐本絵梨花)

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