“坂元裕二ワールド”全開な作品「6選」



(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

いつだって観る人の心を容赦なく淀わせながらも掴んで離さない、坂元裕二脚本作品

「好きなドラマは?」と聞かれると「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」と、無意識の内に坂元裕二脚本作品をつらつらと挙げてしまう。

ここ数年で心に残っている恋愛映画といえば、『花束みたいな恋をした』一択だろう。

そして、坂元裕二の魅力に虜になっている私たちとしては、7月16日(土)からはじまるドラマ「初恋の悪魔」に、胸の高鳴りを抑えられずにはいられない。

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“坂元裕二”注目したい、おすすめの「6作品」


(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

「坂元裕二といえば、どの作品が思い浮かぶ?」と問われても、十指に余るほどに溢れているのだから困ってしまう。個人的に、以下の作品たちは外せない。

<ドラマ>

「東京ラブストーリー」
「ラストクリスマス」
「西遊記」
「猟奇的な彼女」
「Mother」
「それでも、生きてゆく」
「最高の離婚」
「問題のあるレストラン」
「Woman」
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」
「カルテット」
「anone」
「スイッチ」
「大豆田とわ子と三人の元夫」

<映画>

『世界の中心で、愛をさけぶ』
『花束みたいな恋をした』

<朗読劇>
「忘れえぬ 忘れえぬ」、「初恋」と「不倫」


ここからは、筆者の脳裏にこびりついて離れない6作品を紹介したい。

「東京ラブストーリー」“かーんちっ”が頭から離れない


「月曜の夜は街からOLが消える」とまで言われ、社会現象にもなった「東京ラブストーリー」

1992年生まれの筆者は、リアルタイムで観ることはできなかった。
再放送で本作品の存在を知り、「東京ラブストーリー」とともにバブル世代のど真ん中を生きられなかったことを悔やむほどには、いわゆる“トレンディドラマ”の世界観にのめり込んだものだ。

第1話、初っ端から赤名リカ(鈴木保奈美)のパワーに圧倒され、どんどん彼女の虜になる。
「赤名リカになりたい」と、何度思ったことか。
思ったことを正直に言ってしまう筆者の性格は、少なからず赤名リカの影響も含まれている、と思う。

大人になった今でも、定期的に見返したくなるドラマの1つ。
大人になった今こそ、赤名リカの率直さが必要だから。

「東京ラブストーリー」の脚本が坂元裕二と知ったのは、「カルテット」で坂元裕二ワールドにぐっと惹き込まれてからのこと。

好きな作品の共通項として“坂元裕二”は必須なのだと、このとき嬉しくも悟った。

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「Mother」芦田愛菜の表現力に打ちひしがれる


坂元裕二書き下ろし作品の中でも、心に大きな衝撃を残した「Mother」
芦田愛菜の子役とは思えない表現力に、誰もが涙を流さずにはいられない。

芦田愛菜が本作品のオーディションで、坂元裕二をはじめとする関係者の心を掴み話題をさらったのも納得だ。

「わたしはこれからあなたを誘拐しようと思う。あなたのお母さんになろうと思う」

勉学に生き、人との関わりに一切興味を示してこなかった鈴原奈緒(松雪泰子)の、道木怜南もとい鈴原継美(芦田愛菜)との出会いをキッカケに人が変わったように母性に満ちていく変遷に、自ずと胸が熱くなる。

若かりし頃の綾野剛によるフレッシュな演技や、坂元裕二作品に欠かせない田中裕子の登場にも注目してほしい。

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「最高の離婚」光生と結夏のこじらせた掛け合いに傷が深まる


「なぜだろう。別れたら好きになる。」
というキャッチコピーに共感せずにはいられない「最高の離婚」

2013年の放送当時、筆者は21歳。
上辺の恋愛しか経験していなかった私に、本作品の真意はわからなかった。

最近になってふと見返してみたところ、大ダメージを食らったことはここだけの話にしておきたい。

神経質で理屈っぽい濱崎光生(瑛太)と、大雑把で陽気な濱崎結夏もとい星野結夏(尾野真千子)の掛け合いに、くすっとしながらもどこか切ない気持ちになり、何度も何度も涙した。

特に、第4話での2人の口論から紐解かれるそれぞれの思いの丈のすれ違いには、胸がギュッと締め付けられた。

どうしてこんなにも上手くいかないんだろうーーでも、すれ違いながらも、結局はどこかでお互いのことを求めている。

30代に差し掛かったからこそ染み入るこじらせた恋愛模様に、傷口に塩を塗るような感覚に襲われながらも深く共感し、悶えるのだった。

「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」同世代で“わかる”が止まらない


上京組の若者たちによる、苦しすぎる青春を描いた群像劇「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」

有村架純、高良健吾、高畑充希、森川葵、坂口健太郎、西島隆弘という当時も今もときめく布陣も相まって、夢見て上京した地方組にぶっ刺さらないわけがない。

特に第5話での“あのシーン”は、まさしく地獄と呼べるものだった。

(有村架純)や(高良健吾)らのたまり場となっている静恵(八千草薫)宅で様々な思いが交錯する6人が一堂に会し、小夏(森川葵)、いや晴太(坂口健太郎)の一言をキッカケに、目をつむりたくなるような修羅場が繰り広げられる。

だが、それ以上に衝撃的だったのは、第6話での高良健吾演じるの変貌具合だ。同一人物とは思えない、とんでもない形相の変化。
高良健吾の俳優としての底力を魅せつけられ、身震いしたことをよく覚えている。

放送当時、筆者と出演者が同世代ということもあり、必要以上に感情移入してしまう思い出深い作品となった。

「カルテット」ありとあらゆる名言のオンパレード


坂元裕二を語るに欠かせない「カルテット」
言うまでもなく、筆者が何度も見返すドラマの1つだ。

めんどくさい大人たちの一足遅れた青春群像劇と思いきや、至るところに隠された伏線や想像もつかないミステリー要素にハラハラが止まらない。

本作品は、坂元裕二作品の中でも郡を抜いて、ありとあらゆる名言を生み出した。

登場人物全員の名言を挙げようにも挙げきれないので、今回は吉岡里帆演じる来杉有朱に焦点を当てたい。

控えめに言って破滅的人間な有朱は、絵に描いたようなサイコパス。それもそのはず、目の奥が笑っていないことがすべてを物語っている。
破滅と言っても自身が破滅するわけではなく、周囲の人を破滅させる天才。この能力、むしろ尊敬する。

そんな彼女を唯一打倒した、ライブレストラン・ノクターンのオーナーシェフである大二郎(富澤たけし)には、カルテットファン一同で拍手を送りたい。

「“いつキスしてもおかしくないぞ”の距離を作るまでが、女の仕事です。ペットボトル1本分の距離を保って下さい。女からキスしたら、男に恋は生まれません。」

「大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、殺したい!」

「人生、チョロかったーーー!アハハハハ」

決して共感はしないし称賛もできないが、「人生、チョロかったーーー!」と言える人生を送れたら、どんなに最高だろうか。

「大豆田とわ子と三人の元夫」“坂元裕二ワールド”が完全に確立


坂元裕二脚本3年ぶりのドラマということもあり期待しかなく、その期待も尚越えてきた「大豆田とわ子と三人の元夫」

三度の離婚歴を持つ大豆田とわ子(松たか子)とその元夫たち三人・田中八作(松田龍平)、佐藤鹿太郎(角田晃広)、中村慎森(岡田将生)を中心とした、ありそうでなかったロマンティック・コメディ。

毎週火曜日21時は“まめ夫”のことしか考えられないほどに、夢中になった。

まめ夫最大の特徴は、これまで以上に煩雑と化した会話劇。一言一句逃さずに聞かないと理解が追いつかない。会話だけでなく、伊藤沙莉によるナレーションも入っているため情報量の多いこと多いこと。

とはいえそれでこそ“坂元裕二ワールド”であり、これこそ私たちが渇望している“坂元裕二ワールド”なのである。

本作品にも数多くの名言が登場するが、筆者の胸に最も突き刺さった台詞をここに記しておきたい。

「好きっていうのは考えることじゃないよ。考える前にあることじゃん」

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『花束みたいな恋をした』誰もが自身の物語と錯覚してしまう


坂元裕二完全書き下ろし作品を、「問題のあるレストラン」の菅田将暉 ×「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の有村架純によるW主演により映画化された『花束みたいな恋をした』

そのへんに転がっていそうな、ありきたりなラブストーリー。だが、よくある恋愛映画とは全くもって異なる。

とある2人の出会いから別れまでの5年間が純粋に、忠実に描かれており、そこにはなんの事件性も抑揚もない。

誰だって麦と絹になり得るからこそ、本作品はいつまでも私たちの心をチクリと刺し続けるのだ。

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さて、坂元裕二フリークな人たちにも、そうでない人たちにも刺さる作品は、果たしてあっただろうか。

「坂元裕二といえば」な作品はこれらにとどまらない。

各人の過去の思い出と坂元裕二脚本作品との関連度が深くなるほどに、占有率は向上していくのだ。

<期待>「初恋の悪魔」は“テーマ×キャスト”に注目


(C)日本テレビ

いよいよ7月16日(土)からドラマ「初恋の悪魔」が放送開始。

“ミステリアスコメディ”ということで、ただのヒューマンものでも恋愛ものでもない一捻り感は図らずも「カルテット」を彷彿とさせる。

また、最高を更新し続けるキャストにも注目だ。

坂元裕二脚本作品には“坂元裕二組”とも呼べる俳優陣が集結する傾向にあるが、今回は新鮮かつ斬新な俳優陣が集結している。

まずは、W主演を務める林遣都仲野太賀
林遣都は坂元裕二脚本作品初出演、仲野太賀は朗読劇「不帰の初恋、海老名SA」「『忘れえぬ 忘れえぬ』、『初恋』と『不倫』」で共演歴はあるものの、映像作品では初出演となる。

ヒロインには、「問題のあるレストラン」ぶりの共演となる松岡茉優
あらゆる場面でキーマンになるであろう柄本佑佐久間由衣味方良介伊藤英明毎熊克哉らなど、意外にも坂元裕二脚本作品初出演を果たす強者が多く揃う。

『花束みたいな恋をした』で菅田将暉の現彼女役として出演していた萩原みのり、そして、なんといっても「anone」以来息を潜めていた田中裕子の登場に、期待は膨らむ一方だ。

こうしてまた、坂元裕二と私たちの思い出が更新されていくのである。

(文:桐本絵梨花)

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