<ちむどんどん・やんばる移住編>116回~最終回までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第118回:「おとなしくしてくれない!」
山小屋から逃げ帰った歌子(上白石萌歌)が夜、眠れなくて優子(仲間由紀恵)と話しています。それを隣の寝室で聞いている和彦(宮沢氷魚)。「好きだと言ったら同じ気持ちであってほしいと欲張ってしまう」
「今日はすごくいいことがあったわけ 人生で一番かもしれない」
智(前田公輝)は欲張りになれと言ったけれど、歌子はとても慎ましいのです。
そんな歌子の気持ちを聞いた和彦はなにかを決意したような顔になります。
翌日、和彦は暢子(黒島結菜)に話をしようとしますが言い出せず、代わりに暢子が自分の悩みを話しはじめます。
「まくとぅそーけー なんくるないさ……であるよね」
「ちむどんどんするかしないかだよね」
……さっぱりわからない話ですが、和彦はなぜか背中を押されたようで、智に沖縄角力を挑みます。
「僕が勝ったら今夜来て、歌子に正直な気持ちを伝えろ」と。
「好きなんだろ? 大好きなんだろ?」と言いながら全力でぶつかっていく和彦。智のほうが断然体力があるはずだけれど、そこは和彦がすきをついて技をかけます。
相撲でケリをつけること、智に勝てる秘技は、賢秀(竜星涼)から聞いたものでした。
賢秀も役に立ったようです。
ここで注目したいのは、賢秀の頭で考えずにカラダでぶつかる作戦と和彦の、智にこそっと話しかけて不意をつくという頭脳作戦を用いた、頭とカラダ、両方を使っていることです。
頭だけでもカラダだけでもだめ。両方が大事です。
だからちむどんどんするかしないかそれだけじゃないと思う。
そして、夜、暢子がやんばるの野菜で作った料理を囲む会が行われます。
地元の人ばかりなのに、観光客が地元料理を喜んでいるように見えますが、暢子が東京で学んだ料理人の技で地元料理をアレンジしそれが地元の人たちにも目からウロコで喜ばせているのでしょう。
素人目には、やんばるの野菜を使ってイタリア料理ふうにしてみるほうが、暢子が東京から何かを持ち帰ってきたことになっていいように感じますが、例えば「上京」という言葉は首都に行くことで、いまは東京に行くという意味が一般的ですが、かつて日本の中心であった京都の人は、東京に行くことを上京とは言わないと言われるようなもので、沖縄には沖縄の誇りがあり、外のものがいいわけでは決してない。その誇りと地元の結束力の強さの揺ぎなさだけは徹底して書かれているように感じます。
そんな理屈ぽい話はさておき。正装した智がやって来ます。ところが、暢子はゆし豆腐を持って来なかったことをわいわい責めます。
第117回から118回にかけての暢子のセリフは、子役の稲垣来泉さんが話せばお似合いなセリフで、20代後半の母になった人物にはそぐわないと感じます。全体的に子供たちを主役にした話だったらすんなり見られるような内容のものが多いんですよね。
だからこそちむどんどんどころかわじわじするわけですが……そこへ博夫(山田裕貴)が「おとなしくしてくれない!」と一喝。暢子はようやく歌子と智のただならぬ雰囲気に気づくのです。
あはは……お金がらみの話じゃないので寛容な気持ちで見ることができます。
山田裕貴さんの一喝する声の大きさと間合いが的確でした。恐怖を植え付けるような怒声ではなく、やや、困ったように、でも耐えかねて発した言葉に聞こえる塩梅もいい。たくさんの作品に出演している理由がわかる演技巧者であります。
山田さんはほんのちょっとの出番でもちゃんと参加しています。「なつぞら」からの朝ドラとのご縁もあるのかなとは思いますが。重宝されるのがよくわかる優秀な俳優だとつくづく感じます。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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