<ちむどんどん・やんばる移住編>116回~最終回までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第121回:いよいよ最終週
嵐のようにいろいろなぎ倒すように突き進んだ「ちむどんどん」もあと5回です。「やんばる!ちむどんどん!」(演出:木村隆文)のはじまりは暢子(黒島結菜)がやんばるにUターンして1年、実家でレストランを開こうと思いつきます。毎週日曜、地元野菜と郷土料理の勉強会を開いていたときに思いついたのです。
「こんな献立はうちらの代で終わってしまうかもしれないねえ」とおばぁが料理を前に名残惜しそうに言います。その目の前にあるのは2022年代のおしゃれなアレンジメニューという印象です。まだ、80年代ですが、2006年の映画「かもめ食堂」から盛り上がったやさしい食の物語のムードです。若い視聴者や女性には親しみやすくしているのでしょうね。
器もかわいい、おしゃれ食物語、筆者も決して嫌いではありません。ですが、沖縄が本土復帰してから10年強の80年代前半。高度成長期が収まってバブルが来る前の低成長期の日本で、沖縄はどんな感じだったのか歴史を知りたいと思う理屈ぽさが、ふんわりやんばる食堂物語に流されてしまうことを邪魔するのです。
おばぁが「なつかしいさあ」「こういうの食べられるお店ないしねえ」と暢子のアレンジした地元料理を相変わらず喜んでいます。沖縄を観光地的に扱わない気配りから、いろんなことを曖昧にしているわりに、基本的な地元の人たちと地元の料理の描写が観光目線そのものなのはなぜなのでしょう。この感覚は和彦の妙にぶしつけな取材の仕方と同じに思えます。そういう意味では一貫しているんです。このドラマで気を配っているところがどこかということをじぃっと見ていれば、わかってくることがありますよ。
いっそ一気に時代を飛び越えて、2022年、沖縄本土復帰50年、暢子が郷土料理をおしゃれにアレンジし、みんなで沖縄に移住しましょう、沖縄再発見、という流れにしたらわかりやすかったのではないでしょうか。
どちらかというと、東京で引き継いだ矢作(井之脇海)の店のほうが料理人の活気があって、シンプルに沖縄そばが美味しそうに見えました。矢作の後ろで働いている従業員の方がちょっとしか見えないけどよく働いている雰囲気に見えました。こんもりキャベツもいい感じ。やっぱりキビキビ動くことが大事なんだと思います。
暢子がたくさんの野菜をもって海を見ている、まるで、マヨネーズとかドレッシングとかのCMのようです。芋もって立ってる姿も好きでした。こういうときの黒島さん、とても素敵。たぶん、CMの仕事が増えると思います。地元に戻ってからのほうが垢抜けて見えるのが面白いです。
暢子はおばあたちからノウハウを学び、ひさしぶりにメモしています。
「海も山もつながっている」(優子〈仲間由紀恵〉)
出た、「おかえりモネ」。
そう、NHKはいま、絶賛SDGs推しです。地方都市に移住して農業や漁業で自給自足する生き方の提案。家をレストランにするために資材を善一(山路和弘)が隣人たちと持ってきてくれる。これもSDGs。&「ゆいまーる」(助け合い)。
最終週だからいろいろぶっこんできていますが、結局、SDGsに収束する。朝ドラとはNHK がアピールしたいことをテーマにするドラマということかもしれません。そしてその使命を全うした主演俳優はCMの仕事がたくさん入ってきてウィンウィンになる。たぶん、そういう素敵な循環に我々視聴者は巻き込まれているのです。そこはわかったうえでおつきあいしていきましょう。
サーターアンダギーを美味しそうに食べる健彦(三田一颯)を見て、いまはこんなにかわいいけれど、将来、賢秀(竜星涼)のようになりはしないかと不安になりました。まあ和彦(宮沢氷魚)の血が入っているから大丈夫かな。いやでも、内向的でちょっとオタク気質で根拠なき自信だけある能天気な浪費家というような気質になったら最悪ですよね。
智(前田公輝)のお母さん・玉代(藤田美歌子)が健在でした。初期に出て以来、まったく出て来なかったからどうなっているのかと心配していました。
ミステリアス・まもるちゃん(松原正隆)が「吾輩は猫である」を読んでいて、猫だった?という意味なのだろうかとも思いましたが、それにしては房子(原田美枝子)の荷物を持ったり働いているからなあ……。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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